メルセデス・ベンツ 新型Sクラスクーペ（S 550 4MATIC・S 65 AMG）試乗レポート／河口まなぶ(3/3)
- 筆者： 河口 まなぶ
- カメラマン：茂呂幸正
Sクラスクーペのハイライト「ダイナミックカーブ機能」
そして、今回のSクラスクーペでハイライトといえるのは、S65 AMGに搭載される「ダイナミックカーブ機能」だろう。
このダイナミックカーブ機能は、ABC（アクティブボディコントロール）の機能のひとつ。これまでクルマはコーナリングするときにロールによってカーブ外側にボディが傾いたが、ダイナミックカーブ機能はまるでバイクがカーブ内側に体を倒してコーナリングするように、ボディをカーブ内側に傾ける逆ロールとすることで遠心力を打ち消す。
これは体験してみると実に不思議な感覚で、これまで感じたロールがないのが新しい。コーナーではこれまで傾く車体に対して体をシートに押し付ける感覚があったが、それがないのはすごく新鮮だ。
そして何より感心するのは、V12エンジンのフィーリング。いまや貴重ともいえる12気筒エンジンは、その数値の大きさ以上に滑らかに回転する感覚が超絶に気持ち良い。その感覚を味わうのはまさに“夢見心地”であり、いつまでも味わっていたいと思えるだけの感触に溢れている。
圧倒的な存在感、美しいフォルム、先進と優雅が融合したインテリア、そして圧倒的なパフォーマンス、豊かな乗り味走り味、先進の安全性・・・全てが最高のレベルであり、まさに究極のパーソナルクーペといえる存在。それがSクラスクーペである。
ただしこれを手に入れるには、S550 4MATICで1,690万円が必要であり、最高峰モデルであるS65 AMGに至っては実に、3,120万円という、マンションと同様の予算が必要となる。
もっとも、そんな価格を見ても、現物に触れると「確かに」と思わせる内容がこのクルマには確かに、ある。
S 500 4MATICクーペ 主要スペック
※欧州参考値（価格除く）
全長×全幅×全高：5,027×1,899×1,411mm／ホイールベース：2,945mm／エンジン：DOHC V型8気筒ツインターボチャージャー付／総排気量：4,663cc／トランスミッション：電子制御7速A/T／駆動方式：全輪駆動（4WD）／最高出力：335kW（455PS）5,250-5,500rpm／最大トルク：700N・m（71.3kg・m）/1,800-3,500rpm／タイヤサイズ：（F）245/45R19（R）275/40R19／価格：1,690,000円
S 65 AMGクーペ 主要スペック
※欧州参考値（価格除く）
全長×全幅×全高：5,044×1,913×1,424mm／ホイールベース：2,945mm／エンジン：DOHC V型12気筒ツインターボチャージャー付／総排気量：5,980cc／トランスミッション：電子制御7速A/T／駆動方式：全輪駆動（4WD）／最高出力：463kW（630PS）4,800-5,400rpm／最大トルク：1,000N・m（102.0kg・m）/2,300-4,300rpm／タイヤサイズ：（F）255/40R20（R）285/35R20／価格：31,200,000円
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1970年生まれ。大学卒業後、出版社のアルバイトをしたのちフリーランスの自動ライターとなる。1997年に日本自動車ジャーナリスト協会会員となり、自動車専門誌への寄稿が増え、プレイステーション「グランツーリスモ」の解説も担当。現在、自動車雑誌を中心に一般誌やwebで自動車ジャーナリストとして活躍。記事一覧を見る
自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。
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