メルセデス・ベンツ S450試乗│新世代エンジンとなって復活した“直6”にエンジンの未来を感じた!(1/3)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:茂呂 幸正
“直6”が新世代エンジンとなって復活!
メルセデス・ベンツ Sクラスに新たに追加されたS450は、ついに復活した直列6気筒エンジンを搭載して話題を呼んでいる。
直6は完全バランスと言われ、振動が少なくバランサーシャフトも不要となるので、回転フィールに優れるエンジンだ。だが、近年は衝突安全を考えた際に長い前後長が不利となり、V6エンジンに取って代わった経緯がある。そうした流れの中で、最近まではBMWがわずかに生産するのみにとどまっていた。
しかし、ここに来てメルセデス・ベンツが直6エンジンを復活させたきっかけとなったのは、このエンジンが単なる直6ではなく、ISGと呼ばれる機構を組み込んだ新世代直6エンジンだからである。
直6エンジン復活のカギは、現代らしいエンジンの「電化」
ISGというのは、インテグレーテッド・スターター・モーターの略で、日本では既にスズキがSエネチャージでも使っていた機構&名称。しかし、今回メルセデス・ベンツが直6に組み合わせたISGは、スズキのようにベルト式のスターター/オルタネーターではなく、エンジンとトランスミッションの間に最高出力22ps、最大トルク250Nmを発生する電気モーターを与える仕組み。つまりこのモーターがスターターとジェネレーターを兼ねるのだ。しかもこのISGは48V電源システムと組み合わされており、約1kWhの容量を持つリチウムイオン電池が与えられる。
こうしてISGは減速時には回生ブレーキによる発電を行い、加速時にはエンジン回転の低い領域で補助動力のモーターとして使われて、力強い加速を実現する仕組みとなっているわけだ。
なぜ衝突安全的に不利だった直6エンジンが詰めるようになった理由を記すのを忘れていた。
今回、この直6はISGを組み込んだことで、従来のスターター/ジェネレーターが不要となり、これを駆動するベルト類もなくなったことで、エンジン自体のコンパクト化に成功。この結果、再び直6エンジンを搭載することが可能となったのだ。
つまり、現代らしいエンジンの「電化」によって直6エンジンは復活を果たした、といえる。
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