メルセデス・ベンツ 新型Sクラス 試乗レポート|老舗ブランドが打ち出す最高級セダンの新たな価値(2/2)
- 筆者: 清水 和夫
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
人とシステムがより良い関係を構築出来ている新型Sクラス
人とシステムのより良い関係は運転支援でも同じだ。レベル2とは言え、カメラによる標識認識や、地図から想定するコーナーの先読みが功を奏し、ACC(アダプティブクルーズコントロール/ディストロニック)で走っていても、前車がいなくても速度は自動で制御される。
今回のSクラスからディストロニックのスイッチがステアリングホイール上に移動し、左手の親指で操作できるようになった。
あまりきつくないコーナーはステアリングも自動で操舵されるが、あくまでも補助的操舵と理解すべき。だが、ハンドルに手を添えているだけで、システムが操舵し、システムがスロットルを加減する様子は、立派な自動運転のように思えてしまう。だが、制度的にはまだ運転手が責任を持たなかればならない。
100Km/hくらいで曲がるコーナーは安定している。というのは、実際は横Gも発生しているが、イン側にロールするネガティブ・ロールがアクティブ・サスの機能で可能なので、Sクラスなのに、コーナーが得意な感じだ。
乗ると元気にしてくれる”エナザイジング”機能とは!?
ユニークな機能として注目すべきは、ENERGIZING(エナザイジング=活力)という聞き慣れないシステムだ。
今年のCES(ラスベガスの家電ショー)で初めて発表された機能で、音楽やライティングやマッサージ機能で運転中のドライバーの感覚を癒やしてくれる。あるいは元気にさせてくれる。
担当者に話しを聞くと、例えばゴルフで大叩きして暗い気分で帰路につくとき、エナザイジングを立ち上げ6つある機能の内「Vitality 」を選ぶと元気がでる。「実際に試してみたがよく分からなかった」というと「あなたは暗い気分じゃなかったでしょ」と担当者は説明してくれる。
さらに歩行者回避可能な自動ブレーキやスマフォで操作できるリモートパーキング。コネクトシステムでは「Mercedes me connect」が全車標準搭載となり、「おもてなしサービス」が充実している。
ギミックのように思えるシステムも登場しているが、自動運転の時代に「何をもってして高級車なのか?」というメルセデスが自問したときの、アイディアが満載されている。外観はヘッドライトに縦3本のトーチが配された程度だが、中身は驚くほど進化していた。V8とアクティブ・サスのコンビネーションは、最良の乗り味を提供してくれていた。
[レポート:清水和夫/Photo:メルセデス・ベンツ日本]
メルセデス・ベンツ S 560 long 主要諸元
メルセデス・ベンツ S 560 long 主要諸元 [欧州参考値] | |
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新車価格 | 16,460,000円 |
JC08モード燃費 | - |
駆動方式 | 後輪駆動(FR) |
全長 | 5,255mm |
全幅(車幅) | 1,899mm |
全高(車高) | 1,494mm |
ホイールベース | 3,165mm |
トレッド(前) | 1,624mm |
トレッド(後) | 1,637mm |
最低地上高 | 130mm |
エンジン種類 | DOHC V型8気筒ツインターボチャージャー付 |
排気量 | 3,982cc |
エンジン最高出力 | 345kW(469PS)/5,250~5,500rpm |
エンジン最大トルク | 700N・m(71.4kgf・m)/2,000~4,000rpm |
使用燃料 | 無鉛プレミアム・ガソリン |
トランスミッション | 電子制御9速A/T |
※数値の一部は欧州参考値
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