メルセデス・ベンツ 新型Bクラス 試乗レポート/西川淳(4/4)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
DCTはVWと対照的にスムースさと効率性を重視
B180(18インチタイヤ)および200(17インチタイヤ)のスポーツサス仕様にそれぞれ試乗することができた。いずれもメルセデスとしては初めて、ランフラットタイヤを標準装備とする。
早速、走り出そう。DCT独特のもたつきはそれほどなく、スムースな始動だ。
両タイヤサイズともに、特に街中の荒れた路面では、時折、突き上げを直に感じる不快な印象があったが、速度が上がっていくにつれてライドフィールにはフラットさが増していく。
ハンドリングは、明らかにスポーティ路線。
もう少し穏やかでもいいんじゃないか、と思うほどだったが、手応えは旧型より乗用車然としていた。低重心化の恩恵だ。
17インチより18インチの方が乗り心地は硬かったから、ことによるとスタンダードシャシーで16インチもしくは17インチであれば、もっとコンフォートだったのかも知れない。
発進時のみならず、DCTの変速は質感重視である。
VWのように“ギアチェンジは張り切っていこう”といった歯切れの良さは期待できない。あくまでもスムースさと効率性を重視したもので、そういう意味ではDCTらしさに欠けるが、それはそれでメルセデスらしいのかも。
アイドリングストップの質感も、このサイズのクルマとしては非常に高く、エンジンが止まろうが止まるまいが、それほど意識しないですむ。
その新型エンジンも、効率重視がきっちりと、その性格に現れていた。決して気持ちよく回るタイプではないから、乗り手にアクセルペダルを踏む楽しみを与えてくれることもない。
ノリノリのトルクで、という感覚はまるでなく、力不足だなあと思っていたら、低回転域では意外に力を出していた、なんていう“縁の下の力持ち系”であった。
何から何まで全面刷新ゆえ、さすがのメルセデスもいきなり完成度を100%にもっていくことは難しいということか。ところどころに気になる点があった。特に大径ランフラットタイヤの躾に詰めの甘さが目立つ。
そのあたり、日本上陸までに“熟成”を望みたい。
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