メルセデス・ベンツ Mクラス 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本株式会社
乗り心地はスポーティSUVという印象
試乗は南フランスの高速道路やカンヌ市内と近郊の山間部、さらに特設のオフロードコースで実施された。用意されたMクラスは約20台。V8の5L、V6の3.5Lガソリン車とV6、3.2Lディーゼルがメイン車種。
3.2Lディーゼルのメカサス仕様に試乗する。エンジンはアイドリング時の振動もガラガラ音もなく、静か。スタートからのトルクも太く、3,500回転からの伸びも鋭い。日本車のディーゼルとは別次元のディーゼルだ。これなら日本でも十分に受け入れられそう。ただし、サスペンションは左右方向のロールがユラッという感じで大きめ。しかもハンドルの動きに対し、レスポンスがよいので余計にユラユラするのだ。
その点、ガソリン仕様に組みこまれていたエアサスは、スポーツ/ノーマル/コンフォートの3段階切り替えで、減衰力が選択できる。スポーツモードは高速走行用のオプションとして15mm車高が下がるバージョンが設定されている。V8、5Lモデルで試乗してみると、市街地でのSモードは細かい上下動が強く、走りづらい。一方、高速でのノーマル/コンフォートモードは上下動が大きめになり、締りがない。走行条件により切り替えると、かなり効果があった。
V8、5L車の走りはトルクの強大さでグングン押していく走り。7速ATはシフトショックもなく、超スムーズ。100km/h1900回転での高速巡航は、まるでSクラスに乗っているように快適で、速いドライブを味わえる。しかし、ワインディングロードでは、ハンドルはかなり重く、フロントの動きも軽快感がない。高速ツアラーという性格だ。
V6、3.5LのML350に乗り換える。このモデルはエンジンも4,500回転までは静か。うなり音も少ない。トルクも低回転からあり、アクセルレスポンスもよい。しかも、ワインディングでの軽快感もあるのだ。乗り心地はスポーツモードでの市街地走行もかたさがなく、スポーティSUVという印象だ。
おそらく、日本ではもっとも使い勝手のよいのが、V6のML350だろう。車両価格も現行モデルが550万円なので、新型も600万円以下に抑えられるはずだ。
最後にオフロードのスペシャルステージでの走りだが、前日までの雨と雪で泥ねい地化したコースを、安定した走りで走破した。とくに降坂速度制御、オフロードABSシステム、最低地上高を110mm拡大したエアサスが有効だった。このセクションで感じたのは、かなり激しい凹凸乗りこえでも、室内のパッセンジャーが大きく揺すられないこと。乗り心地がよいのだ。大半のユーザーは体験しないオフロード走行だが、この分野でも新型Mクラスはライバルを上回っていた。
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