メルセデス・ベンツ Gクラスがフルモデルチェンジ|骨格・車体から先進安全装備の追加まで、全てが生まれ変わった新生ゲレンデヴァーゲン

  • 筆者: オートックワン 編集部
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本

”究極のオフローダー”、39年ぶりに全てが生まれ変わった新世代Gクラス

メルセデス・ベンツ自ら”究極のオフローダー”と呼ぶクロスカントリー4WDモデル「Gクラス」がフルモデルチェンジを実施した。2018年6月6日より日本国内で正式に注文を開始し、ユーザーへの納車は2018年8月下旬以降を見込む。

メルセデス・ベンツのGクラスは1979年にデビュー。ラダーフレーム構造やボディ形状といった基本はそのままに、およそ39年もの間生産を続ける特別なモデルだ。そんなGクラスだが、単に1979年当時のまま生き永らえたワケではなく、もちろん度重なる大幅な改良を加え進化し続けてきた経緯がある。だから今回、メルセデス・ベンツ自身でもあえて”〇年ぶりのモデルチェンジ”とも表現してはいない。

しかし新型Gクラスでは、まず基本の骨格自体から新設計を実施。内外装のデザイン変更やボディサイズの拡大、そして先進安全技術の投入など、全てにおいて刷新を行った。

もしかすると、巧妙過ぎる”キープコンセプト”なデザインのおかげで気付かれない方もいるかもしれないが、今回発表された新型Gクラスは、間違いなく”39年ぶりに生まれ変わった新世代モデル”である。その事実を、まずは改めてここで確認しておきたい。

>>で、どこがどう変わったの!? 全てが変わった新型Gクラスを画像で見る

当初はG550とAMG G63の2グレードを用意|ディーゼルモデルは従来型を継続販売

2018年6月6日の国内発表時点でラインナップされる新型Gクラスは2グレード。「G550」(左ハンドルのみ/15,620,000円)と「メルセデス AMG G63」(右・左ハンドル仕様をそれぞれ設定/20,350,000円)だ。

なおメルセデス・ベンツ日本のプレスリリースには「お客様の多様なご要望にお応えするため、従来型のGクラスも継続して販売いたします」との記載があり、今回ラインナップされなかったディーゼルモデルの「G350d」についてはしばらく併売されるようだ。

>>新型Gクラスに早くもAMG G63が追加、日本へは2018年秋導入か!?

Gクラスの個性を継承したデザインながらボディサイズは大幅に拡大し居住性も向上

外観デザインは一見すると従来型と変わりないように思えるが、ボディサイズは従来モデルと比べると、全長が4,817mm(+53mm)、全幅が1,931mm(+64mm)と拡大。例えば前席レッグルームで従来型比+38mm、後席レッグルームで従来型比+150mmと、室内空間や居住性も大幅に向上した。

そのいっぽうで”Gクラスらしさ”の維持にも最大限配慮。堅牢なプロテクションモール、テールゲート外側のスペアタイヤ、外部に設けたドアヒンジとボディ面に載せるスタイルのボンネット、 突出したウィンカーなど、Gクラス独自のデザインをあえて踏襲させた。いっぽうで従来モデルでは真っ平だったフロント/サイド/リアウィンドウに微妙な曲面が与えられ、空力性能も向上させている。

Gクラスらしいデザインを継承させるいっぽうで、新デザインのフロントラジエターグリル、フロントバンパー、丸形のLEDヘッドライト/LEDリアコンビネーションランプを採用し、最新のいでたちとすることも忘れていない。

大幅にアップデートされながら、Gクラスらしさもしっかり残す巧妙なインテリアデザイン

室内では、Gクラスらしさを象徴する円形ヘッドライトの形状がインパネ左右のエアアウトレットに、ウィンカーをイメージしたスピーカーのデザインとするなど、外観デザインの特徴をインテリアにも反映させた点が新しい。さらに助手席前方のグラブハンドルや、3つのディファレンシャルロックを操作するクローム仕上げのスイッチなど、従来から続く”Gクラス”の伝統も継承させている。

またメーター周りは、他の最新メルセデス・ベンツ車同様の最新トレンドを導入。12.3インチの高精細ワイドディスプレイ2枚が1枚のガラスカバーの下で視覚的に融合したワイドスクリーンコクピットを採用する。センターコンソールにはコントローラーを備えたタッチパッドも備え、直感的な操作が行える。

ラダーフレームから新設計を実施

今回のGクラスフルモデルチェンジで最も注目されるのは、骨格となるラダーフレームの刷新だろう。最大3.4mm厚のスチール鋼板を”ロ”の字型にした鋼材で新設計。MAG溶接技術で組み立てることで、悪路走行時に求められる強度、剛性、安全性を高めた。

サスペンションは、メルセデス・ベンツのGクラス開発チームとメルセデスAMG社が協業。フロントのダブルウィッシュボーン独立懸架サスペンションと、リアのリジッドアクスルを組み合わせて開発した。

フロントのダブルウィッシュボーンサスペンションのコンポーネントはいずれも、サブフレームなしでラダーフレームに直接取り付け。フレーム上のロアウィッシュボーン取り付け点は、走破性向上のため高い位置に設定される。さらにフロントのディファレンシャルギアに対して270mmの地上高を確保し、オフロード性能の向上に貢献している。

独立懸架サスペンションの採用により、ボディフロントエンドの剛性を高めることに成功。サスペンションブリッジと呼ばれるストラットタワーブレースによりフロントストラットタワーを接続することで、ラダーフレームのねじり剛性を高めた。

リアサスペンションは、トレーリングアーム左右各4本とパナールロッド1本を備えた新型リジッドアクスルを採用。これによりオンロード走行の快適性がさらに向上した。さらにオフロードでの走破性能の向上にも寄与する。

新型Gクラス 主な基礎性能

■登坂能力:適切な路面で最大100%

■前後アクスル間最低地上高:24.1cm(従来比+6mm)

■最大渡河水深:水中・泥中走行時70cm(従来比+10cm以上)

■安定傾斜角度:35°(従来比+7°)

■デパーチャーアングル:30°(従来比+1°)

■アプローチアングル:31°(従来比+1°)

■ランプブレークオーバーアングル:26°(従来比+1°)

5つのドライブモードが選択できる”ダイナミックセレクト”

新型Gクラスは、”ダイナミックセレクト”によって路面や走行状況に応じて瞬時に5つのドライブモードを切り替え出来る。「コンフォート」「スポーツ」「エコ」「インディビジュアル」の4モードに加えて、今回追加された「Gモード」が選択可能となった。それぞれ、エンジンやトランスミッション、サスペンション、 ステアリング、運転支援システムの特性を最適化する。

新追加の「Gモード」は、3つのディファレンシャルロックのいずれかを作動させる、または通常より2倍以上の駆動力を発揮するオフロード用低速ギアのLOW RANGEを選択した場合に有効となるオフロード走行時用のモード。シャーシの調整式ダンパーとステアリング、アクセル特性を変更し、不要なギアシフトを回避することにより、最適なコントロールと最大限の悪路走破性を確保する。作動時には小さな”G”のアイコンがインパネ内に点灯する。

約170kg軽量化したいっぽうで、ねじり剛性は約55%向上

Gクラスのフルモデルチェンジでは、車体やフレームの軽量化も図られた。高張力/超高張力スチールおよびアルミニウムによる新しい材料構成と、ボディパーツ毎に最適な素材を採用するなどし、約170kgの軽量化を達成している。

例を挙げれば、AピラーおよびBピラーなどのボディシェルは耐荷機能を持つことを考慮し高張力スチール製とし、フェンダー、ボンネット、ドアはアルミニウム製としている。

フレーム、ボディシェル、ボディマウントのねじり剛性は、先代で 6,537Nm/degだったものを1万162Nm/degと、約55%向上。先代と比べ自然なドライビングダイナミクスや快適性の改善に加えて、ノイズレベルなどの面で品質が向上。室内で感じられるノイズや振動も顕著に減少したという。今から乗り比べが楽しみだ。

走りのパフォーマンスも向上

新型Gクラスに搭載されるのは、G550・メルセデスAMG G63共にV8 4リッター ガソリン直噴ツインターボエンジン。

G550はM176型が採用され最高出力422PS/310kW、最大トルク610Nmを発揮する。新たに気筒休止システムを採用し、エンジン負荷に応じて気筒を休止して燃費効率を向上させた。

組み合わされるトランスミッションは9速オートマチックトランスミッション新型「9G-TRONIC」。段数が増えたのにも関わらず、従来の7速ATよりも1kg軽量化され、より効率も高められている。

いっぽうのメルセデスAMG G63についてはメルセデスAMG社が完全自社開発したM177型を搭載。最高出力585PS/430kW(従来型比 +14PS/+10kW)、最大トルク850Nm(先代比+90Nm)というハイパフォーマンスを発揮させる。

性能強化に合わせ、AMG強化ブレーキ、コーナリング時やブレーキング時に硬いスプリングレートへ瞬時に切り替える「AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション」などを専用装備し、高い安定性と俊敏なハンドリングを両立させる。

ステアリング形式がラック&ピニオンに変更され運転感覚も大きく改善

ステアリングは、従来のボール&ナット形式から電動機械式ラック&ピニオン式のステアリングへ変更。ドライビングフィーリングを大幅に改良した。選択したドライブモードに応じて、「コンフォート」、「スポーツ」、「オフロード」の3セットのステアリング特性を切り替えることが可能となり、オンロードでは快適またはスポーティな操舵感が確保される一方、未舗装の不整路では直接的で正確なフィードバックが得られる。

また電動機械式の利点として、パーキングアシストやアクティブレーンキーピングアシストなどの運転支援システムを搭載することが可能となった。

レーダーセーフティパッケージなどの先進安全運転支援システムが待望の標準装備化

新型Gクラスに、いよいよ待望の先進安全運転支援システムが搭載された。全モデルに「レーダーセーフティパッケージ」をはじめとする安全運転支援システムを標準装備し、安全性能が大幅に改善された。

具体的には、車間距離を適切に維持するとともに、先行車が停止した場合は減速して停止する渋滞追従機能を備えた「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」、ドアミラーの死角範囲をレーダーによってモニターして危険性を警告する「ブラインドスポット アシスト」に加え、衝突回避をサポートする「アクティブブレーキアシスト(歩行者検知機能付)」、衝突時の乗員へのダメージを最低限に抑える「PRE-SAFE プレセーフ」、一般道や高速道路の制限速度を表示する「トラフィックサインアシスト」などを含めたレーダーセーフティ パッケージを標準装備する。

また、夜間の安全なドライブをサポートするマルチビームLEDヘッドライトを採用。片側84個のハイパフォーマンスLEDを瞬時に個別に制御することで、前走車などのドライバーを眩惑せずに、より広い範囲を明るく正確に照射し続ける。

また、ボディサイズが大型化したGクラスを支援する「360°カメラシステム」、自動操舵・ブレーキ機能により縦列駐車と車庫入れをアシストする「アクティブパーキングアシスト」も標準装備する。

[レポート:オートックワン編集部]

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筆者オートックワン 編集部
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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