メルセデス・ベンツ 新型E220d 4MATIC オールテレインに試乗|これこそ次のトレンド!? イイとこ取りな都市型クロスオーバー(2/2)

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直線のみならずワインディングまで愉しいE220d 4MATIC オールテレイン

欧州などでは3種類のエンジンラインナップ(2リッター直4ガソリンエンジン、3.5リッターV6ツインターボガソリンエンジン、2リッター直4ディーゼルエンジン)を用意するが、日本仕様はモデル内でも人気の“BlueTEC”ディーゼルエンジン(194ps/400N・m)を搭載するE220d 4MATIC All-Terrainをチョイスした。アウトドアでの走行やロングドライブを視野に入れれば、低い回転数からトルクが生まれてかつ、燃費にも優れたディーゼルはかなり魅力的だと思う。

走り出してみれば、アイドリングからパーキングスピードあたり、超低速域の静粛性・制振性の低さはやはり少し気になった。だってEクラスなんだもの、もっと静かでもいいんじゃないのかと思うくらい、独特のカラカラとしたサウンドが耳に入るし、振動もそこそこには感じてしまうのだ。でもこれこそがディーゼルエンジンならではの愉しみのひとつでもあるし、普段音楽やラジオを楽しむ人ならすぐに慣れてしまえるレベルであるとも言える。ソコが気になるならガソリンエンジンを選んで下さいよと言われれば、ぐうの音も出ない。

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しかしそんな印象は、高速道路に入り中速域でクルーズを始めた瞬間に一転した。

特にレーンチェンジやタイトなコーナリングのとき、エンジンユニットの重さを感じさせないくらいに鼻先が軽く、ハンドリングがスムーズなのだ。四輪駆動の4MATICも手伝って、ワクワクするほどのスポーティな押し出し感を味わいながら、ぐいぐいとカーブの先を目指して行けるから、むしろ直線よりもワインディングが愉しい。

これって、エアサスの味付けの妙とも言える。可変するダンパーはどうしても減衰がメカサスほど安定してくれないから、ともすればフワフワしたような妙な揺り返しを起こすことも少なくない。が、これは見事なまでにズバっとキマっていて、思わず「さすが」なんて言ってしまったではないか。

また、初期に感じていた振動も、速度域が高くなればピタっと鳴りを潜め、従来のEクラスらしい紳士的な挙動におさまってゆくのも感じられた。

快適性や先進安全技術に加え、タフな悪路走破性も兼ね備える万能選手

今回は市街地周辺のみの試乗になったが、クロスオーバーとしての性能にももちろんぬかりはない。

先述のエアサスはただの車高調ではないのだ。

セルフレベリング機構を備えているというのがキモで、荷重がかかったときに車体を水平に保つというもの。これこそまさにEクラスらしい・・・というか、この機構自体が高価なものなので、並みいる高級車にしか採用されていないのだけど、これを惜しげもなくクロスオーバーモデルに導入してくるあたりメルセデス・ベンツらしい。

さらにお馴染みの走行モード選択「ダイナミック・セレクト」には専用のAll Terrainモードが追加されている。これは悪路走行の際、35km/hまでで作動し、車高を+20mm上げるとともにESP(横滑り防止機能)とASR(ホイールスピン抑制機能)を最適化するというもの。

これに、もしものときのための先進安全技術と運転支援技術「セーフティ/ インテリジェント・ドライブ」もEクラス同等。

「オールテレインAll Terrain=すべての地形」とはいえ、ラグジュアリーを犠牲にはしないところに、真の人気の理由があると睨む。

そしてこのワゴンベースのクロスオーバーモデルこそ、実はSUVに代わる次のトレンドなんではないか、と密かに推測している私である。外れたらゴメン。

[Text:今井 優杏/Photo:島村 栄二]

メルセデス・ベンツ 新型Eクラス オールテレイン 主要スペック

メルセデス・ベンツ 新型E220d 4MATIC All-Terrain[4WD] 主要スペック

価格

9,288,800円[消費税込]

全長

4,950mm

全幅(車幅)

1,860mm

全高(車高)

1,495mm

ホイールベース

2,940mm

駆動方式

4MATIC(4WD)

車両重量

1,940kg

乗車定員

5名

エンジン種類

直列4気筒 DOHC 直噴ディーゼル インタークーラー付ターボチャージャー

最高出力

143ps(194PS)/3,800rpm

最大トルク

400N・m(40.8kg・m)/1,600-2,800rpm

トランスミッション

9速AT

燃費消費量

16.8km/L(JC08モード)

使用燃料

軽油

サスペンション

AIR BODY CONTROLサスペンション(セルフレベリング機能付)

タイヤサイズ

245/45R19(前後)

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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