メルセデス・ベンツ Eクラス 海外試乗レポート/河口まなぶ(2/2)

  • 筆者: 河口 まなぶ
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
メルセデス・ベンツ Eクラス 海外試乗レポート/河口まなぶ
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デザイン的にスポーティさが増し、メカニズムも様々なものが進化

メルセデス・ベンツ
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そうした背景の中で登場したEクラスは、先に記した通りデザイン的にスポーティさが増した。加えてこのモデルが登場した時に強く謳われていた、往年のモデルのそれをモチーフとしたポントンフェンダーは姿を消して、ストレートなキャラクターラインにとって変わった。一方でインテリアは従来とほぼ変わらぬ雰囲気でリファインされている。

そしてメカニズムもかなり様々なものが進化している。まず挙げておきたいのがセンシング技術の向上。これまでもEクラスには、ディストロニックプラスやレーンキーピングアシスト、ブラインドスポットアシストなど様々なアシスト技術が搭載されていたが、今回はこれがアップデートされてさらに高い安全性を手にしている。

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例えばレーンキーピングアシストには、車線を逸脱して反対車線に行きそうになった時に対向車がいればESPを効かせて強制的に自車線へ引き戻す機能が与えられた。さらにこれまでシングルカメラでレーンキーピングをしていたが、これがステレオカメラとなることで奥行きを認識できるようになり、歩行者に対しても自動ブレーキが効くようになった。またパワステが電動になったことによってステレオカメラとの組み合わせによるアクティブレーンキープも搭載され、緩いカーブならばクルマの側である程度ステアすることすら実現している。また後突時に前へ押し出されないようにブレーキ圧を高める他、アクティブヘッドライトなども対向車の部分だけを減光する高機能型へと進化している。

こうした様々なアシスト機能が、ドライバーの操作と融合して実現されていることを体感すると、今後は自動操縦をも視野に入っていることが判る。

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さらに搭載エンジンもユニーク。特にE250に搭載される新たな2.0リッター直噴ターボユニットは、最高出力211ps/5500rpm、最大トルク350Nm/1200-4500rpmを発生し、燃費も欧州値ながら約17km/Lを実現する。

しかもこのエンジン、リーンバーンでありながらターボという他に例を見ない最新テクノロジーを採用している。実はこのエンジン、今後のC/Eクラスの主力となる一方で、日産との協業によってインフィニティQ50=日本名スカイラインにも搭載されるユニットである。

また今回はブルーテックディーゼルも、既にMLなどに搭載されている新世代のものに変更されたのもポイント。フェーズが進んだことによって、振動/騒音は以前よりも遥かに少なくなり、ディーゼルの力強い加速と上質な感覚が見事ハーモニーするようになった。

ベーシックモデルに世界最先端のエンジンを“シレッ”と搭載

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そして注目なのが、E63AMG。今回からSと呼ばれるグレードが追加された。

これは今までパフォーマンスパッケージと呼ばれていたモデルがカタログ化されたもの。加えてトピックなのがSモデルでは標準で4MATIC、つまり4WDとなること。しかもこの4MATICはAMGが独自にセッティングしたもので、トルク配分はイマドキとしては珍しく33:67の固定となる。AMGいわく、可変ではなくこの方が逆にセットしやすいし、常に後輪駆動的な味わいを感じさせるものになる、ということだ。

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Sモデルでは最高出力も585psとなるだけに4MATICはある意味必須といえる。

今回は2WDのFRモデルも用意されていたが、さすがに4MATICを体験した後は、かなりリアがナーバスに感じてしまうほど。腕利きならばFRの痛快さを堪能できるが、多くは4MATICで安心なFR感覚を堪能することになるだろう。その意味では今後のAMGのハイパワーモデルは、4MATICに集約されていく可能性もある。

先に記した通り、今回のフェイスリフトの目玉はなんといってもスタイリングで、Eクラスもついにスポーティ路線を歩むことになったのが大きい。そしてEクラスでも、Cクラス同様に世界中で、ボンネットにスリーポインテッドスターが載らないアバンギャルドが大勢を占めるだろう。そう考えるとメルセデス・ベンツのイメージは今後、増々変化していくことになる。

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しかしながらその一方で、技術の真摯な積み上げを見逃すことはできない。特にベーシックモデルに世界最先端のエンジンをシレッと搭載する辺りには、今後の技術競争においての意気込みを強く感じる。

おそらく数年後、メルセデス・ベンツは見た目で大きな変化をしてブランドのイメージを現在とは少し違ったものへと変えるとともに、中身に関しては一層他メーカーを圧倒するほどの内容を手に入れるのではないだろうか?

そして見た目と中身が完全に次世代に移行した時にまた、“自動車の価値観を再定義する存在になっているのではないか?”とすら思えた。メルセデス・ベンツの新製品には、そんなことを妄想させるほどのネタが、数多く詰まっていたのだ。

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河口 まなぶ
筆者河口 まなぶ

1970年生まれ。大学卒業後、出版社のアルバイトをしたのちフリーランスの自動ライターとなる。1997年に日本自動車ジャーナリスト協会会員となり、自動車専門誌への寄稿が増え、プレイステーション「グランツーリスモ」の解説も担当。現在、自動車雑誌を中心に一般誌やwebで自動車ジャーナリストとして活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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