メルセデス・ベンツ CLA180 試乗レポート/今井優杏(2/2)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
そしてCLAがAクラスと共用しているのはグリルだけではない。コンポーネントも共用しているから、兄弟車という関係でもある。
しかし単にAクラスに4ドアクーペの皮を被せただけではないところが、さすがメルセデス・ベンツなのだ。
まずは流線形のクーペボディからもたらされたエアロダイナミクス。なんとCd値が0.23と量産車(!!)最高水準。
そしてサスペンションのCLA専用セッティング。加えてAクラスよりも前後オーバーハングが長い分、とても硬質で接地感の高い、剛性を肌で感じるようなかっちりした乗り味に仕上がっているのだ。
両方に乗り比べると正直言って全然ベツモノ。
Aクラスで若干感じた硬さ・ゴツゴツ感もきれいにいなされて一言で言うなら“とても良く出来たセダン”という表現に尽きる。
このEモードではとにかく燃料噴射量を抑えるエコ第一主義的な運転モードのため、アクセルの踏みだしのレスポンスがもたっとするのが若干苛立たしい。かといってやみくもにえいっとふめば、ターボがいきなりドカンと効いてしまい、トルクが膨らみ挙動がガクガクしてしまうので、丁度いい加速具合を見つけるには慣れが必要かも知れない。
また再加速の際にも注意が必要で、積極的に高いギアに入っていくために、高速道路の合流や再加速が必要な坂道での息継ぎの際にも若干のぎこちなさを感じる人は多いと思う。
一方Sモードだが個人的にはこちらの方が厄介だと思った。
“アクセルレスポンスが上がる”とか“燃料をリッチめに噴射する”というよりもとにかくローギアで引っ張る制御のせいでやたらトルク感あるグイグイ加速を楽しめるものの、なかなかシフトアップしてくれないため、ギアに負担をかけている罪悪感が半端ないのだ。
車内音もそれ相当にうるさくなるし、お世辞にも爽快感は少ないと思う。そう……言うなれば昔のマニュアルNAスポーツカーに乗っている感じ。
この辺が気になる人は間違いなく250の方が向いていると思うので、是非その辺をご注意願いたい(ちなみに今回すでにラインナップされて発売されるCLA 45 AMGにはすでにドイツで試乗してきたが、こちらは文句なし、圧巻の気持ちよさだ!)。
とはいえ普段使いで燃費重視の人には180で十二分。
加速はもとよりボディ剛性など“総合クルマ力”で見ればAクラスよりもBクラスよりも明らかにメルセデスらしさ満点。
ファースト・メルセデスにするなら、ある意味CLAが一番お勧めだと思った。
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