メルセデス・ベンツ Cクラス 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ダイムラー・クライスラー日本株式会社
メルセデス・ベンツ Cクラス 海外試乗レポート
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一糸乱れぬ4輪の接地感としなやかなボディコントロール

エンジン

スペインは東海岸の都市、バレンシア郊外で開催された国際試乗会の場に用意をされたのは、ディーゼル・モデルも含め「6気筒エンジンを搭載したAT仕様車」に限られた。具体的には今回テストドライブを行う事が出来たのは、『C350』、『C280』、『C320CDI』の3タイプ。ちなみに、車名から連想される通り3.5リッター・エンジンを積むC350に対し、C280の排気量は3.0リッター。日本市場には2007年の夏に、まずC280が排気量通りの『C300』と名前を変え導入される気配が濃厚だ。

動力性能面で大きな余裕を感じられたのは、やはり272ps/350Nmを発する心臓に7速ATを組み合わせた『C350』。ただし、絶対的なトルクの大きさゆえか時に気になるシフトショックが感じられるのはちょっと残念だった。ローとトップギア間のレンジを広く採れると共に、隣り合うギア間のステップ比を小さく出来るのが多段トランスミッションの基本メリット。となれば、7速AT採用のこのモデルには、よりスムーズなシフト動作を期待してもバチは当たらないはずだ。

一方のC280は、最高出力こそ231psまでダウンをするものの、回転フィールの滑らかさや軽快感、そして前述ATのシフト時のスムーズさでは、C350のそれに勝るとも劣らない印象だった。個人的にどちらをチョイスするか? と問われれば、ぼくの回答は「C280で十分!」というものになるだろう。

メーターシフトエンジンスタートボタンタイヤ走行
走行

それにしても、いずれのモデルでも感心させられたのが、そのボディ・コントロール能力の高さ。路面の凹凸、あるいはウネリを乗り越えてもボディはしっかりと水平を保ち、4輪の接地感にも一糸乱れを生じない、という印象が強い。乗り心地のしなやかさ、そして高速走行時のフラット感の高さは従来型以上で、より高まった静粛性と共にこのあたりに「新しさ」を実感出来るのだ。もはや究極、と思えた従来型の乗り味を確実に凌いだ点こそ、新型最大の価値であると言って良いだろう。

ダンパー減衰力、スロットルの線形、そしてパワーステアリングのアシスト線形をスイッチひとつでまとめてコントロールする“アドバンスド・アジリティ・パッケージ”は、15mmのローダウン・シャシーを採用し、フロントに225/45、リアに245/40という異サイズのシューズを履く“AMGパッケージ”とのセットでC350でのチェックとなった。が、実はこのモデルで最も有り難いと感じたのは、後者のパッケージ内に含まれるステアリングのパドルシフトの存在。ちなみに、高速時の乗り心地はこの仕様でも十分快適だが、低速時に凹凸を乗り越えるとやはりばね下の重さ感が少々気になる。また、前者のモードを『スポーツ』に設定するとATのシフトポイントが全般に高速寄りとなるので、日本の街中で多用する速度ではやや低いギアで引っ張り過ぎとなる傾向が強い。いまだ未定のオプション価格次第でもあるものの、“アドバンスド・・・”の内容は「痛し痒し」と思えるシーンがあったというのがぼくの感想だ。

BMWが「3シリーズのエンジンを基本的に全てリーンバーン直噴化する!」と発表し、フォルクスワーゲンも革新的なツインチャージャー使用の直噴エンジンを「今後標準装備化して行きたい」とアピールする現在、せっかくのフルモデルチェンジのタイミングを得たCクラスがその心臓部を基本的に従来のキャリーオーバーとしたのは、やはりちょっぴり残念なポイント。が、それを除くと各部の進化ぶりというのは、いずれも「さすがはフルチェンジを行ったからこそ」と納得の出来るものだった。

そして楽しみなのはこの後にテストドライブの機会が得られるはずの4気筒モデルたちの仕上がり。それを食する事が出来た時こそが、今でも十分高いこのモデルに対する評価が、確定を出来る時なのだと思う。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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