積雪の鹿児島で「ロードスター」に試乗する／マツダ ロードスター 試乗レポート(1/2)

ロードスター試乗会前日、なんと鹿児島で大雪が！

2016年1月24日、九州地方に大雪が降った。

その翌日、僕は「マツダ ロードスター」の試乗会が行われる鹿児島に飛ぶために、羽田空港にいた。朝の2便は欠航。乗る予定の3便目は、福岡到着あるいは羽田に戻るという条件付きでの運航になった。運を天に任せるような状況だった。

上空で機長から、鹿児島空港の除雪が完了したとのアナウンスがあった。

しかし着陸のために下降を始めた飛行機から見えるのは「北海道？」と思ってしまうほどの銀世界。山道では数台のクルマが立ち往生していた。

積雪は14cmにすぎないが、ここは南国鹿児島。バスやタクシーを含め、多くのクルマはスタッドレスタイヤはおろかチェーンの備えもない。除雪車もわずか。

こんな状況でロードスターに乗るのか、とちょっと気が重くなった。

バスに乗り、高速道路は通行止めだったので、一般道で鹿児島市内に向かう。小高い山の上にある試乗会場に着くと、ずらっと並ぶロードスターの後輪に何か付けてある。チェーンだ。

会場が高台にあるので、安全に下まで降りることができるようにというマツダの配慮だったのだが、チェーンが巻かれたロードスターを見て、喜んでいいのか、悲しんでいいのか、気持ちを整理できないまま試乗に臨んだ。

積雪の桜島をバックに、目指すは指宿

最初の試乗車はビルシュタイン・ダンパーやレカロシートを備えたRS。

目的地は50kmほど南にある指宿だ。しかし当初ルートに予定していた指宿スカイラインは通行止めだったので、海沿いの道を流していくことにした。

チェーンを付けたロードスターの第一印象は、単気筒エンジンのオートバイ、ヤマハSRのようだった。チェーンを装着した後輪近くに座るので、振動もそれなりに伝わし、なによりも発する音がタタタ・・・と小気味良かったのだ。

でも速度を上げると振動がマシンガン的になって、ちょっと辛い。平地の路面には雪がなかったので、チェーンを外し、雪の桜島を写真に収めると、南を目指した。

チェーンの音が消えると、代わりにRSに装備されているインダクションサウンドエンハンサーが発する心地よいサウンドが耳に届いた。幌を開けていても閉めていても適度な音量に感心した。

地方は静かだ。鹿児島も例外ではない。そんな場所で大音量のスポーツカーは顰蹙そのものだ。

乗り手に高揚感をもたらしつつ、周囲への影響を抑えたこのチューニング、絶妙だと思った。