【比較】マツダ 新型デミオ クリーンディーゼル vs ホンダ フィットハイブリッド どっちが買い!?徹底比較(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
新型デミオ vs フィットハイブリッド -価格対決-
フィットハイブリッドの価格は、売れ筋のFパッケージが176万9,143円、スポーティかつ上級のSパッケージは198万5,143円だ。これに相当するのは新型デミオのクリーンディーゼルターボで、価格は今のところ未定だが、フィットハイブリッドを意識した設定にするだろう。
新型デミオのディーゼルの価格を予想すると、フィットハイブリッド Fパッケージに相当する15インチタイヤを履いた仕様が169万円くらい。16インチを履いた上級グレードは、そのほかの装備も充実させて189~194万円前後だと思う。
ちなみにアクセラスポーツXDは、装備をテンコ盛りにしてアテンザやCX-5のXDを上まわる306万7,200円という高価格となってしまったが、新型デミオはこのようなことにはならない。フィットハイブリッドやアクアにも対抗しなければならないからだ。
新型デミオ vs フィットハイブリッド -動力性能対決-
新型デミオのクリーンディーゼルターボの動力性能は、6速AT仕様で見ると最高出力が105ps(4,000rpm)、最大トルクは25.5kg-m(1,500~2,500rpm)になる。
ディーゼルとあって実用回転域のトルクはきわめて高く、ノーマルタイプのガソリンエンジンでいえば2.5リッター並だ。フィットハイブリッドは、エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力が137ps。体感的には1.8リッタークラスに相当する。
なので動力性能を競えば新型デミオのディーゼルが圧勝するが、新型デミオはディーゼル特有のクセも強い。ガソリンと異なりエンジンノイズは大きめで、高回転域の吹け上がりは鈍い(以前のディーゼルよりは優れているが)。
ターボの過給が立ち上がる前の1,200~1,300rpm付近も、アクセル操作に対する反応が弱く感じる。6速ATであれば、ほとんど気にならないともいえるが、ディーゼルは高トルクの代わりに上記のような欠点もある。
その点、フィットハイブリッドはベースがガソリンエンジンだから扱いやすい。7速ATの変速ショックは今でも若干気になるが、発売当初に比べると抑えられている。新型デミオではディーゼルの力強さが目立つが、フィットハイブリッドも馴染みやすい魅力を備える。
1.3リッターのノーマルエンジンも比べておこう。この対決は互角に近いが、フィットは少し高回転指向。新型デミオは実用回転域の駆動力も相応に確保されており扱いやすい。また、トランスミッションはフィットが無段変速のCVT、新型デミオは6速ATだから新型デミオのほうがダイレクトな運転感覚を味わえる。ただし、平坦路から登坂路に差し掛かった時などは、無段階で変速していくフィットのCVTがスムーズな場面もある。
いずれにしろ、ノーマルエンジン同士では大きな差は生じない。
新型デミオ vs フィットハイブリッド -燃費対決-
フィットハイブリッドのJC08モード燃費はグレードによって異なるが、売れ筋のFパッケージは「33.6km/L」だ。新型デミオのクリーンディーゼルターボは未公開だが、開発者によれば「30km/L」は達成したいという。そこで実用燃費をJC08モードの85%、レギュラーガソリンを1リッター当たり170円、軽油を150円として計算すると、新型デミオのディーゼルは1km当たりの燃料代が「5.9円」、フィットハイブリッドは「6円」だ。ほぼ同じ金額になる。
となれば動力性能が優れている分だけ、「新型デミオのクリーンディーゼルターボの方が高効率」という見方もできるだろう。
新型デミオ vs フィットハイブリッド -走行安定性&乗り心地対決-
筆者が新型デミオ プロトタイプのクリーンディーゼルターボで試乗したのは、16インチタイヤを履いた仕様であった。となればフィットハイブリッドも、16インチを装着したSパッケージで比較したい。
フィットハイブリッドの場合、15インチタイヤを履いたF&Lパッケージと16インチのSパッケージでは、サスペンションの設定も異なる。15インチのF&Lパッケージは、足まわりとタイヤが車重に対して力不足になり、カーブを曲がる時の挙動変化も大きくなりやすい。
その点、Sパッケージはバランスが取れている。乗り心地は硬めだが粗さはなく、F&Lパッケージよりも接地性が高いために重厚に仕上がった。
そして新型デミオのクリーンディーゼルターボは、フィットハイブリッドSパッケージと比べてもさらに骨太な乗り味。やや前輪側の荷重が大きく感じるが、しっかりと車両の向きが変わる。後輪の動きも落ち着いていて、不安は感じにくい。
そしてカーブを曲がっている最中に路上の凹凸を乗り越えたりした際にも、新型デミオは角の立ったショックを伝えにくく、操舵角の乱れも小さい。動力性能/走行安定性/乗り心地については、新型デミオのクリーンディーゼルターボが勝っている。
新型デミオ vs フィットハイブリッド -総評-
新型デミオのクリーンディーゼルターボとフィットハイブリッドを比較した結果としては、前述のとおり「走行性能」と「乗り心地」は新型デミオの勝ちだ。そして「インパネの質感」「運転席の座り心地」「ドライバーの運転姿勢」という面においても新型デミオが上質になる。
半面、「後席の居住性」「荷室の広さと使い勝手」「側方と後方の視界」はフィットハイブリッドが優れている。
つまり、ドライバーの満足感を追求すれば新型デミオ、居住性や使い勝手を含めたトータルバランスを重視するならフィットハイブリッドを推奨したい。特にファミリーユーザーが新型デミオを検討する時は、後席の居住性を確認して欲しい。
ならば、1.3リッターのノーマルエンジン搭載車はどうか。走りについては新型デミオが勝るものの、クリーンディーゼルターボと違って動力性能に大きな差はない。従って新型デミオの優位性が薄れる。しかも1.3リッターモデルは実用指向だから、居住性や積載性も重要で、フィットの魅力が強まってくる。
そこでベストグレード選びだが、新型デミオは価格が高まるものの、クリーンディーゼルターボで真価が発揮される。後席や荷室は狭いから、ドライバーが運転を楽しむための「5ドアクーペ」的にとらえると良いだろう。いわばスペシャルティなコンパクトカーだ。
対するフィットは、新型デミオとの比較でいえば、ハイブリッドではなく1.3リッターのノーマルエンジンを積んだ13G・Fパッケージが魅力的。ファミリーユースにも対応できる多機能なコンパクトカーで価格は割安。まさに王道を行く。だから新型デミオが本格的に発売されても、フィットの売れ行きは大きな影響を受けないだろう。1.3リッターエンジンを軸にした実用的なコンパクトカーであるからだ。
むしろアクアの売れ行きに響きそうだが、トヨタの全店で扱うから店舗数が多い。これも大幅には下降しない。となれば3ナンバーサイズの普通車だ。「輸入車には5ナンバー車が少ないし、国産のコンパクトカーは安っぽくて個性も弱い」と購入に踏み切れなかったユーザーが、新型デミオの購買層になる。
クリーンディーゼルターボの新型デミオが登場したことで、コンパクトカーの新しい世界が開けそうだ。
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