マツダ 新型CX-8 試乗レポート|SUVに3列シートという新たな価値観を提案する(2/2)

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2.2リッターディーゼルターボはさらに性能アップ、実用域での使い勝手も向上した

CX-8の走りはどうか?

エンジンはお馴染み2.2リッターのクリーンディーゼルターボ“スカイアクティブD”だが、新型CX-5に比べても、更なる改善の手が加わった“進化版”だ。急速多段燃焼と可変ジオメトリーターボなどの採用によって、CX-5の175ps/420Nmから190ps/450Nmに出力アップ。とはいえ、CX-8の車両重量は1.8~1.9トンなので、動力性能は1.6~1.7トンのCX-5に対してプラスマイナスゼロかな……と思いきや、むしろCX-5よりも力強さを感じたほど。これなら北米で販売されているCX-9用のスカイアクティブGの2.5リッターターボはいらない。

特に印象的だったのは実用域で、CX-5に搭載されている従来型もいいディーゼルエンジンだと思いつつも、ゼロ発進や街中での再加速時などにアクセルを踏む→反応しない→よりアクセルを踏む→急激にトルクが立ち上がる……と言ったように、滑らかに走らせるのにコツが必要だったが、新スカイアクティブDはアクセルを踏んだ瞬間から期待以上のトルク特性で、そこからレッドゾーンまでシームレスに加速。つまり、エンジン側もより滑らかな走りに近付いているのだ。

個人的にはこれまでは「多段ATが欲しいよね」と思っていたのだが、このエンジンなら6速ATでもいいかな……と。もちろん“一括企画”なので他のモデルにもすぐに水平展開されると思うのでご安心を。

ちなみに簡易計測だが、実燃費は首都高速を50~60キロ走って17~18km/Lだった。

CX-8の“スムーズで滑らかな走り”はもはやセダンをも超えた!

フットワークは、より進化したスカイアクティブシャシー/スカイアクティブボディやGベクタリングコントロールなどにより、大柄なボディを感じさせない自然なハンドリングと落ち着きある乗り味が上手にバランスされ、マツダの目指す「スムーズで滑らかな走り」は、より明確になったような気がした。

しなやかな足の動きやストローク感、目線のぶれなさ、ロールのさせ方、4つタイヤにシッカリ仕事をさせている部分などは、もはやセダン系のフラッグシップであるアテンザを超えてしまっている部分も……。そういう意味ではマツダ社内でも次期アテンザのハードルは一段と高くなったと思っている。

ただ、欲を言えば横方向だけでなく縦方向(=快適性)ももう少し滑らかに動いてくれると嬉しい。そろそろ可変ダンパーを使ってもいいような気がしているのだが……。

ディーゼルであることを忘れさせる静粛性の高さに、マツダも社長専用車に起用した

また「静粛性の高さ」にもビックリした。ディーゼルノック音を低減させたエンジンの進化はもちろん、車体側の吸音性能アップも相まって、車内ではよほどの急加速をしない限りはディーゼルであることを忘れてしまうほどのレベルだ。更に静粛性や風騒音にも今まで以上にこだわっており、その効果は1列目/2列目だけでなく、1列目/3列目の会話明瞭度の高からも確認することができた。その結果、BOSEオーディオの性能もより発揮しやすくなっているのだ。

一般的にクロスオーバーSUVの多くは、スポーティ方向に振ったセットのモデルが多いが、それはCX-5以下のモデルに任せ、CX-8はどちらかと言うとボルボXC60/XC90のように「SUVのGT」と言ったイメージだ。その印象は運転席だけでなく2列目/3列目も同じで、特に2列目はビジネスシーンでも使えるだろうなと思っていたら、マツダ小飼社長の専用車がCX-8に変更と聞いて納得。

新型CX-5からさらに使い勝手も改善されたCX-8の安全支援機能

CX-8に搭載される安全支援デバイスは、前出の360度モニターを含めた先進安全技術「i-ACTIVSENS」の全てを設定。危険認知や運転支援、衝突回避支援・被害軽減の全ての領域をより高いレベルで実現させた。ちなみにCX-5で指摘されたマツダレーダークルーズコントロール(MRCC)と普通のクルーズコントロールの切り替えロジックが間違えにくい方法に変更されたのは、細かい部分ながら嬉しいポイントの一つだ。

ただし、360度モニターの切り替えスイッチが使いやすい場所にないのはマイナスポイント。個人的には、ステアリングホイール右下のスイッチ類に設定するのではなく、ステアリングスイッチもしくはコマンダーコントロール部にあると操作しやすいと思う。更に言えば、マツダコネクトのモニターのサイズや機能は最新トレンドに対して取り残されてしまっている。他の部分の進化に対して、ここだけ牛歩(!?)なのは、なぜなのだろうか?

CX-8は新しい時代の“高級車”と呼べる1台だ

結論。3列シートレイアウトが話題になりがちだが、最新マツダラインアップの中でも、新型CX-8は最も見た目と走りがマッチしている一台だ。

インパクトや派手さはないが、“本質”へのこだわりは次世代マツダへの序章とも言えるかも。立ち位置的には日本向けマツダのフラッグシップクロスオーバーSUVだが、ある意味「新時代の高級車」なのかもしれない。

[レポート:山本 シンヤ/Photo:小林 岳夫]

マツダ 新型CX-8 グレード別価格一覧
グレード駆動方式価格(税込)

XD

2WD

3,196,800円

4WD

3,429,000円

XD PROACTIVE

2WD

3,537,000円

4WD

3,769,200円

XD L Package

2WD

3,958,200円

4WD

4,190,400円

マツダ 新型CX-8主要諸元

全長

4,900mm

全幅(車幅)

1,840mm

全高(車高)

1,730mm

ホイールベース

2,930mm

駆動方式

2WD/4WD(i-ACTIV AWD)

乗車定員

6/7名

エンジン種類

SKYACTIV-D 2.2(水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボ)

最高出力

190PS(140kW)/4500rpm

最大トルク

45.9kgf・m(450N・m)

トランスミッション

6速AT(SKYACTIV-DRIVE 6EC-AT)

燃費消費量

<FF>15.8km/L(WLTCモード) | <4WD>15.4km/L(WLTCモード)

使用燃料

軽油

サスペンション形式[前/後]

マクファーソンストラット式/マルチリンク式

タイヤサイズ

225/65R17・225/55R19

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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