SUVにスライドドアは? 欧米は“ダサい”日本は“欲しい”新型CX-8はどうなる!?
- 筆者: 桃田 健史
世界では、スライドドア=商用車のイメージ
日本では、軽自動車のダイハツ タントから最上級のトヨタ アルファード/ヴェルファイアまで、装着されていることが当たり前になったスライドドア。
しかし、欧米ではスライドドアの乗用車は極めて少ない。なぜならば、スライドドアは”ダサい”からだ。
例えば、北米のミニバンの場合、”サッカーママの車”と呼ばれるように、子どもの学校の送り迎え等に使われる”便利さ第一”のイメージが、男性ユーザーから見ると”ダサい”のだ。
また、アメリカだけでなく、欧州や中東でも、スライドドアは商用車をイメージさせるために”ダサい車”と思われている。東南アジアでは近年、アルファードやヴェルファイアの人気が高まっているが、自ら運転する車というよりは、運転手付の車を意味する”ショーファーカー”として認知されている。
こうした世界での社会情勢を加味して、自動車メーカーは世界標準車であるSUVに、スライドドアをあえて設定することはない。
スライドドア人気の原点は、GMシボレーアストロ?
では、日本ではどうしてミニバンのスライドドアに対して、ユーザーが抵抗感が少ないのだろうか?
時計の針を少し戻すと、日本でミニバンブームの基礎ができたのは1980年代の中頃だ。RV(レクリエーショナル・ヴィークル)が人気となる中、本来は商用車の部類にいるトヨタのタウンエースとハイエースの乗用が人気となった。
その後、90年代初頭に、タレントの所ジョージ氏がプロデュースしたアメ車系の雑誌などで、GMシボレーアストロの乗用化の企画が当たり、芸能人やスポーツ選手などの間でアストロが人気となり、そのトレンドが一般にも広がった。
アストロはスライドドアの商用車であり、アメリカで乗用している人は90年代当時も、また2017年の現時点でもほとんどいない。90年代当時、筆者はカリフォルニア州ロサンゼルスに在住していたが、日本では人気となっていた、アストロにエアブラシでボディペイントするといった需要もアメリカでは決して多くはなかった。
あれは、あくまでも日本の一部メディアが演出した、日本向けのガラパゴスなブームに過ぎなかったのだ。当時、1ドル90円前後という円高時代であり、アメリカやカナダから日本向けに新車や中古車のアストロを大量に輸出し、”ひと山当てた”アメリカ在住の日本人が大勢いた。
そうしたアストロブームが、日本の自動車メーカーのスライドドア型ミニバンの商品企画を後押ししたと言える。
気になるSUVの新型CX-8だが…
では、今年10月の東京モーターショー2017にデビューする予定のマツダ新型CX-8はどうなるのか?
MPVを廃止して、CX-5より大柄で、北米仕様のCX-9とは別のSUVラインアップとなる新型CX-8なのだから、何か特別な仕掛けがあってもおかしくはない。
となると、スライドドアという発想もなくはない。トヨタ、ホンダ、日産の日系ビック3とは別の路線を行くことで、ブランドの存在感を際立たせるためにも、スライドドア型の中大型SUVという発想は面白い。
だが、販売の現場からは「ユーザーはSKYACTIV-D(ディーゼルエンジン)のミニバンが欲しかった」という声はあれど、「CX-5にスライドドアを」といった要望は上がっていない。
奇をてらうことはなく、やはり新型CX-8は通常型の3列シートSUVになるのだろうか?
ただし、3列目へのアクセスが”とても楽”という話なので、リアドアになんらかの工夫があるのかもしれない。
[Text:桃田健史]
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