マツダ CX-5 SKYACTIV-D(クリーンディーゼル) 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
「本当にディーゼル?」実に滑らかな吹け上がり
わずかにアクセルを踏むだけで、車速が力強く上昇していく。官能的なエンジンといえば、一般的には高回転域の吹け上がりが機敏なタイプだが、CX-5のディーゼルでは対極の楽しさを味わえる。
低い回転域に身を委ねる快感。「時速45km/hでも魅力あるエンジン」は貴重だろう。厳密にいえば、意地悪にATのマニュアルモードを操作して1,500回転以下から加速を開始すると、最初の段階では車速の上昇が鈍い。
1,700回転付近に達すると、駆動力が盛り上がりを始める。この回転域が強力なトルクのスタート地点だと分かる。もちろん、Dレンジで走れば不都合は感じない。
ディーゼルが初体験のドライバーは、低回転域ではカリカリした特有のエンジン音が気になると思う。ディーゼルでは静かな部類だが、ガソリンと比べればクセのある音質だ。注意を要するが、50歳のオジサンになった筆者には懐かしい。
20年ほど前に運転したパジェロ、ランクル、デリカスターワゴンなどを思い出した。冷静に振り返れば当時のディーゼルは高回転域の伸びが悪く、何より窒素酸化物や粒子状物質の排出量がヒドかったが、思い出は都合の良い部分だけ残る。
あの頃の記憶が蘇り、しばし感慨にふけった。CX-5を買えば、30歳の頃に戻れるだろうか・・・とアホな妄想はともかく、42.8kgf-mの真実が分かったところで、さらにアクセルを踏み込む。
吹け上がりは非常に滑らか。本当にディーゼルか?という感じだ。
前述のカリカリ音も、3,000回転に近づくと気にならない。2500回転付近から最高出力の発生する4500回転付近までは、例えて言うならV型8気筒のガソリンエンジンと似た印象だ。昔のディーゼルとは異なる。
Dレンジでフルにアクセルを踏み込むと、約4,800回転でシフトアップ。
テストのためにマニュアルモードを使って同様の操作をすると、5,500回転まで回り切り、2~3秒後にシフトアップした。とはいえレッドゾーンの領域に飛び込んでおり、誤った運転の仕方だが、高い性能を備えることが分かった。
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