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試乗レポート 2017/8/9 10:18

マツダ CX-3(CX3) ガソリンモデル試乗&解説|マツダがCX-3にガソリンモデルを追加する本当の理由とは?(2/2)

関連: マツダ CX-3 Text: 渡辺 陽一郎 Photo: 小林岳夫
マツダ CX-3(CX3) ガソリンモデル試乗&解説|マツダがCX-3にガソリンモデルを追加する本当の理由とは?

マツダが今、このタイミングでCX-3(CX3)にガソリンモデルを追加する本当の理由とは

ガソリンエンジンを加えた背景にはCX-3の販売不振がある。2015年2月に発売された時の販売計画は1か月当たり3000台。人気のカテゴリーだから高めに設定したが、2016年度(2016年4月から2017年3月)の月販平均はわずか1350台にとどまる。

ライバル車が好調に売れる中で、CX-3は目標の半数に達しない。同時期のヴェゼルは月販平均6132台、同じマツダでCX-3よりも高価なCX-5でも2266台だから、CX-3の1350台は販売面での失敗を意味した。マツダのCX-3は動力性能が高く燃費の優れたクリーンディーゼルターボを搭載して外観もスポーティだ。それなのになぜ売れなかったのか。

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【マツダ CX-3が売れなかった理由とは・・・】

まずヴェゼルやXVに比べて後席が狭く、ファミリーカーとして使いにくいことが挙げられる。シートアレンジも単純だ。しかもマツダはすべての車種を「魂動デザイン」で統一するから、CX-3はコンパクトカーのマツダ デミオをアレンジしたSUVのように見えてしまう。

しかし実際には、デミオとは足まわりなどが異なるから価格が高い。発売当初の時点で装備が最もシンプルな2WDのXDは237万6000円、売れ筋のXDプロアクティブは2WDが259万2000円、4WDは281万8000円だから、ヴェゼルハイブリッドXホンダセンシングよりも高い。ディーゼルは高性能で低燃費だから性能もハイブリッド並みだが、安価なガソリンエンジンを用意しないのが辛かった。

このように、CX-3は身内同士の争いにも負けた。デミオは価格競争の激しいコンパクトカーだから、同じディーゼルを搭載するXDツーリングを200万円以下に抑えたので、CX-3は割高感が強まった。

また上級モデルであるマツダ CX-5は、2.2リッターディーゼルターボを搭載する現行XDプロアクティブが2WDなら300万2400円で、CX-3との差額は約40万円だが、CX-5が先代型の時は34万円だった。しかも値引きはCX-5が多く、実質差額は20万円少々に縮まる。後席や荷室はCX-5が断然広く、動力性能も高いから、CX-3は明らかに割高と感じられた。つなりマツダ車の人気がデミオとCX-5に二極分化して、CX-3は落ち込んだ。

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【マツダがCX-3にガソリンモデルを追加する本当の理由】

そこで2017年6月27日、マツダはCX-3に2リッターのガソリンエンジンを加えて、価格の引き下げをねらったわけだ。 2リッターエンジンを積んだCX-3の価格は、2WDで見ると20Sが210万6000円、20Sプロアクティブが228万4200円、20S・Lパッケージが253万8000円、特別仕様車の20Sノーブルブラウンが257万400円だ。装備が同等のLパッケージ同士で比べると、ガソリンの価格はディーゼルに比べて27万円安い。

この値付けは戦略的で、ガソリンを安く抑えた。2016年7月にアクセラが1.5リッターのクリーンディーゼルターボを追加した時は、今回CX-3が搭載したのと同じ2リッターのガソリンを廃止している。そして2リッターガソリンと同じ価格で1.5リッターディーゼルを設定した。つまり2つのエンジンはアクセラでは同額なのだが、CX-3では27万円もの差を付けた。

デミオではCX-3と同じ1.5リッターのディーゼルと、1.3リッターのガソリンエンジンの差額を、装備差を補正すると23万円に設定する。CX-3ではガソリンが2リッターだから、デミオよりも差額が縮まって良いはずだが、前述のように差額は27万円。この比較からもCX-3は2リッターのガソリンを優遇していることが分かる。

CX-3の不振もあってマツダ全体の売れ行きが下降して、2016年の対前年比はマイナス18%に達した。2017年1~6月はCX-5のフルモデルチェンジもあって3.2%のプラスになったが順調とはいい難い。CX-3が2リッターガソリンを追加した背景には、マツダの悲痛な現状がある。

CX-3の開発者は「最近はCX-3に女性のお客様が増えている。発売当初の女性比率は約20%だったが今は40%に達する。そこで運転のしやすいガソリンを設定した経緯もある。また女性のお客様が購入される場合、購入総額を250万円に設定することが多い。この点も考えてガソリンエンジン車の価格を決めた」という。

確かに2WDの20Sプロアクティブ(228万4200円)にカーナビ用SDカード(4万8600円)を加え、さらに購入時に納める税金、自賠責保険料、販売店が受け取る各種の代行手数料を加えると総額で約257万円になる。10万円前後の値引きがあれば250万円以下に収まる。

以上がマツダの現状と、CX-3にガソリンモデルを追加した背景だ。

>>マツダ CX-3 2リッターガソリンモデルを詳しく画像でチェックする

ガソリンエンジンを搭載するマツダ CX-3(CX3)の燃費はどうなる?

マツダ CX-3 20S PROACTIVE 2リッターガソリンエンジン

さて話をCX-3に加えられたガソリンモデルに戻そう。乗り心地や動力性能を確認したので、次に気になるのは燃費の差だろう。

ガソリンの2WD・20SプロアクティブはJC08モード燃費が17km/L。2018年10月から本格導入される国際基準のWLTCモードは16km/Lで、市街地モード:12.2km/L・郊外モード:16.8km/L・高速道路モード:18km/Lとなる。ディーゼルのWLTCは未発表だが、2WDのJC08モード燃費は23km/L(6速AT)だ。

実用燃費がJC08モードの85%、レギュラーガソリンの価格が1リッター当たり130円、軽油が110円で計算すると、1km当たりの走行コストはガソリンが9円、ディーゼルは5.6円だ。1km当たり3.4円の差が生じる。

そしてエコカー減税はガソリンが対象外、ディーゼルは免税だから、購入時に納める取得税と重量税だけでもディーゼルでは9万3900円の節税が行える。この金額を先に述べた価格差の27万円から差し引いた約18万円が、ガソリンとディーゼルの最終的な負担差額だ。

最終差額を燃料代の差で取り戻せるのは5万km少々を走った頃になる。1年に1万kmを走れば、ディーゼルとガソリンの差額を約5年間で取り戻せてしまう。ガソリンではエコカー減税ハズレが不利になった。

▼CX-3ガソリンモデルのWLTCモード燃費表

マツダ CX-3 ガソリンモデル WLTCモード燃費表
駆動方式2WD4WD
WLTCモード16.0km/L15.2km/L
市街地モード12.2km/L11.6m/L
郊外路モード16.8km/L15.8km/L
高速道路モード18.0km/L17.4km/L
(参考)JC08モード17.0km/L16.6km/L

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【ガソリンとディーゼル 買うならどっち・・・?】

こうなると客観的に推奨度が高いのは、従来と同じディーゼルだ。開発者は「今後はディーゼル比率が60%、ガソリンが40%」と予想したが、損得勘定も含めると、しばらく時間を経過すればガソリン比率は20~25%に落ち着く。つまりガソリンを導入したものの、CX-3の売れ行きは目立って上向かない。

ただし先の述べたようにディーゼルの運転感覚は個性が強い。慣れ親しんだガソリンの運転感覚を好むユーザーも多く、選べる自由が得られたことはメリットだ。

マツダのクルマ造りは超神経質!?運転しやすさを左右する「躍度」とは

マツダ CX-3 20S PROACTIVE

なお今回のCX-3の報道試乗会では、まったく別のプログラムとして「躍度」に関するレクチャーも行われた。「躍度」とは加速度の変化を示す言葉だ。アクセルペダルの踏み方を一定にして、直線的に加速していく時は、加速力自体は強くても躍度は小さい。逆に加速中にアクセルペダルを踏み込んだり戻したりすると、加速を続けながらも躍度は変化する。

マツダがめざすのは、ドライバーの操作に忠実な躍度が発生して、そのコントロールがしやすいことだ。従来からマツダは、過敏でも鈍くもない、ドライバーの操作に忠実に反応するクルマ造りをめざしている。そのひとつのとらえ方、尺度が躍度と考えれば良い。

CX-5のガソリンエンジン搭載車を使って、実際に躍度の違いを体感した。このCX-5では助手席に座る開発者がパソコンを操作すると、アクセルペダルの操作に対するエンジン出力の高まり方を調節できる。そして先行車に追従走行を行う。先行車は緩い加速と素早い加速を行い、自車もそれに合わせて加速することで、躍度の違いに基づく運転感覚を確かめる。

最初の体感では、アクセルペダルを踏み込んでも反応が鈍く、さらに踏み増すと駆動力が一気に立ち上がった。運転しにくく気分も悪い。

次の体感は、アクセルペダルを少し踏んだだけで駆動力が急激に高まるタイプ。これも予想外に加速するから運転しにくいが、車両重量に対して駆動力の不足した車種では似たような動きをすることがある。アクセルペダルを少し踏んだだけで早期にエンジンパワーを立ち上がらせ、力不足をカモフラージュするわけだ。この制御では早々に動力性能を使い切るから、さらにアクセルペダルを踏み増しても駆動力が高まらず伸び悩みが生じる。

最後の体感はアクセルペダルを踏んでも反応が鈍いパターンで、これはエコモードに多い。ドライバーが過度にアクセルペダルを踏み込んだ時の反応を抑え、低燃費で走らせるのがねらいだが、エンジンの反応が鈍いから細かな速度調節がしにくい。運転の楽しさも削がれる。

このように躍度が運転操作に忠実でないと扱いにくく、安全も阻害され、ドライバーの走る楽しさを奪ってしまう。

マツダ広報の陰謀!?CX-3にガソリンエンジンを搭載した“真の狙い”は「躍度」にアリ

マツダ CX-3 20S PROACTIVEと渡辺陽一郎さん

ここで話は再びCX-3に戻る。追加されたガソリンエンジンのメリットには、躍度がドライバーの操作に忠実で、コントロールしやすいことが挙げられる。

逆にディーゼルはターボの装着もあり、アクセルペダルを控え目に踏んでも、駆動力(トルク)が急に立ち上がることがある。だからディーゼルで発進する時は、無意識のうちに、探るような感じでアクセルペダルを踏むことが多い。

デモンストレーションに使われたCX-5がガソリンエンジンだった背景にも、躍度の良し悪しを知る上で、ガソリンが適していることがあるのだろう。ディーゼルターボはガソリンに比べて躍度が劣るのだ。従ってCX-3のガソリンは、動力性能や燃費、価格の安さではなく、自然な動力性能の高まり方と、速度調節のしやすさで選ぶ。それが躍度を大切にするマツダ流なのかも知れない。

それにしても今回の報道試乗会、CX-3のガソリン車試乗と躍度の体感プログラムをまったく別の内容として企画しながら、出席者は知らない間にガソリン車の良さを再発見する仕組みになっていた。やるねぇマツダ広報!

その知恵を国内向けの商品開発に生かしていただきたい。

[Text:渡辺陽一郎 Photo:小林岳夫]

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