マツダ CX-3 2018年大幅改良モデル 徹底解説│ディーゼルエンジンのライトサイジング化や内外装を大幅変更(1/2)

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技術指向のマツダらしいすべての機能を刷新したCX-3

ヒット作が続くここ最近の今日のマツダ車の中で、売れ行きの伸び悩む車種がコンパクトSUVのCX-3だ。2015年2月に発売された時の販売計画は、1ヶ月に3000台だったが、2017年1~12月の月販平均は1265台にとどまる。発売当初に搭載したエンジンは直列4気筒1.5リッターのクリーンディーゼルターボのみだったが、販売不振を受けて2017年6月に2リッターのガソリンを加えた。それでも計画台数の42%しか売れていない。

ちなみにCX-3のようなコンパクトSUVカテゴリーは、今の国内市場に適した売れ筋ジャンルとされ、ホンダ ヴェゼル、トヨタ C-HRなどは販売が好調だ。それなのにCX-3は残念な状態にある。

そこで2018年5月17日に大幅な改良を実施した。発売から3年以上を経過したこともあり、改良の範囲は幅広い。クリーンディーゼルターボは排気量を従来の1.5リッターから1.8リッターに拡大して、2リッターのガソリンエンジンにも改良を施した。

足まわりは前輪側のコイルスプリング、ショックアブソーバー、スタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)を改良して、フルモデルチェンジでないのに18インチタイヤを新開発している。

このほか外観、シートの座り心地、安全装備まで、ほとんどすべての機能を刷新した。このあたりは技術指向のマツダらしさだ。

フロントマスクやホイールの他、内装に至っては全面的に手が入れられている

まず外観では、フロントマスクのラジエターグリルを変更した。グリルの輪郭がハッキリと分かる形状にして、存在感と質感を高めている。

18インチのアルミホイールも変更された。従来型のスポークでは、ブラックの部分を強調していたが、新型は切削の輝きを際立たせている。SUVらしく大径に見えるデザインだ。

内装はインパネからシートまで、全面的に改めた。インパネの上部は、運転席から助手席の前側まで伸びる横長のデコレーションパネルとエアコン吹き出し口の形状を変えて、ボリューム感を強めた。デコレーションパネルの素材は、Lパッケージについては、新たにスウェード調人工皮革のグランリュクスを使う。肌触りが上質だ。

前席の中央に位置するATレバーを収めたセンターコンソールの形状も大幅に変わった。パーキングブレーキの操作方法が従来のレバー式から、オートホールド機能を備えた電動式になったからだ。パーキングブレーキをスイッチで操作するから、センター部分のスペースが節約され、十分なサイズを備えたアームレストを装着できた。この下側にはマルチボックスが備わる。

シートは背もたれや座面の形状、シートを縁取るパイピングなども見直した。前席の座面には、CX-8と同じく振動を減らす効果の高い高減衰ウレタンを採用している。足まわりだけでなく、シートでも乗り心地を向上させるように配慮した。

効率向上を狙い、ディーゼルエンジンは1.5リッターから1.8リッターに拡大

メカニズムの変更ではエンジンが注目される。特にクリーンディーゼルターボのSKYACTIV-D(スカイアクティブD)は、前述のように排気量を従来の1.5リッターから1.8リッターに拡大した。

このねらいは効率の向上だ。動力性能を高めるのではなく、環境性能と実用燃費を向上させ、なおかつ運転がしやすく、伸びの良い加速感も味わえるようにした。燃料噴射については、超高応答マルチホールピエゾインジェクターを採用する。4段の多段階噴射が行われ、噴射タイミングと噴射量も緻密に制御することで、燃焼期間を短縮した。ディーゼル特有の騒音も減っている。

また排気量を拡大したことで酸素の供給力が高まり、すべての運転領域で、排気ガスを燃焼室に環流させるEGR効果が得られるようになった。動植物に有害な窒素酸化物が低減される。

燃費数値は WLTCモードのみで表記

排気量を1.8リッターに拡大した新しいクリーンディーゼルターボの動力性能は、最高出力が116馬力(4000回転)、最大トルクは27.5kg-m(1600~2600回転)だ。1.5リッターの従来型に比べて11馬力高まり、最大トルクは等しい。トランスミッションは、従来と同じく6速のATとMTがある。

燃費数値は新しいWLTCモードのみで表記され、6速ATの2WDは20km/L、4WDは19km/Lだ。WLTCには市街地/郊外/高速道路の3モードがあり、これを平均的な使用時間の配分で構成した数値が、先に挙げたWLTCモードになる。各走行モードの内訳を2WDで見ると、市街地:16.8km/L、郊外:20km/L、高速道路:22.2km/Lだ。

ガソリンエンジンにはCX-5と同等の技術を投入

2リッターのガソリンエンジンは、エッジカットピストン、低抵抗ピストン、新ノズル付き拡散インジェクターなどの技術を取り入れた。先行してマイナーチェンジを行ったCX-5の2リッターエンジンに準じるが、チューニングは異なる。CX-3では最高出力が150馬力(6000回転)、最大トルクは19.9kg-m(2800回転)とした。

注目されるのは最大トルクで、CX-5の20.3kg-m(4000回転)に比べると、最大値は小さいが、実用回転域の2800回転で発生させている。最大トルクを3000回転以下で発生させるガソリンエンジンは、最近では珍しい。CX-3では運転のしやすさに重点を置いた。

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筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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