マツダ アテンザが大幅改良|内外装のデザイン変更や新型エンジンの搭載など、ビッグマイナーチェンジを徹底解説!(2/2)

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足回りの改良で、走行安定性と乗り心地が大幅にアップ

動力性能や燃費と併せて、走行安定性と乗り心地も改善した。サスペンションのセッティングを刷新して、タイヤも新開発とした。マイナーチェンジでタイヤまで新たに開発することは珍しい。

改良点は多岐にわたり、まず車両の基礎ともいえるボディがある。サスペンションから入る力を、確実に受け止められる構造にした。サスペンションの取り付け部分などの剛性も高めている。

ショックアブソーバーは前輪側を大径化して、前後ともに設定を変えた。後輪側はトップマウントの材質がウレタンになり、ショックアブソーバーの頂上部分でも、減衰力が発生する構造にした。

操舵に応じた駆動力の微妙な制御で、安定性や快適性を高めるGベクタリングコントロールも改良を受け、全般的にトー変化が抑えられて走りの安心感が底上げされた。これを受けて乗り心地を向上できた面もある。

全般的には、足まわりを早いタイミングから動かすことで挙動変化の開始時期を早め、入力の最大値を抑える考え方だ。従来からアテンザの足まわりは、車線変更時などの唐突感を抑えていたが、この性格をさらに進化(あるいは深化)させた。

新開発されたタイヤは、側面部分が上下方向に、柔軟に伸縮する造りにした。その代わり接地面はしっかりと踏ん張り、快適な乗り心地と、反応が遅れることのない運転感覚を両立させている。

安全装備もさらに充実

装備については、ユーザーの関心が高い安全面が進化した。センサーには単眼カメラとミリ波レーダーを使うので、歩行者を検知して緊急自動ブレーキを作動させることが可能だ。そこでマイナーチェンジ後には、アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートが夜間歩行者検知機能を備えた。

アダプティブLEDヘッドライトも進化した。この機能はハイビーム走行中に対向車や先行車を検知すると、相手車両を照らす部分だけを消灯して、ハイビーム状態を維持しながら相手車両の眩惑を抑えるものだ。今回の改良では、LEDが20ブロックに細分化され、照射のコントロールが従来以上に綿密になった。

これらの安全装備の応用技術となるレーダークルーズコントロールも進化して、停車している状態からでも追従走行が可能になっている。

ドライバーの死角を補うモニターでは、ボディの四隅に装着されたカメラ映像を合成させ、車両を上空から見たような画像として表示する360度ビューモニターが採用された。

このほかカーナビの進行方向に関する情報、道路標識などをメーターパネルの上部に見やすく表示するアクティブドライビングディスプレイは、従来は透明のモニターを使っていたが、新型ではフロントウインドウに照射する。

国内でも、海外に用意される2.5Lターボを搭載したスポーティグレードなども必要

現行アテンザは2012年11月に発売され、今まで数回にわたり変更を受けてきた。マツダのCX-5は、先代型が2012年に発売され、2017年2月には2代目の現行型にフルモデルチェンジされた。そうなるとアテンザも一新されて良い時期だが、前述のようにセダンとワゴンの市場が海外でも冷え込んでいるから、マイナーチェンジで済まされてしまった。

2017年(1〜12月)におけるアテンザの月販平均台数は532台だから、CX-5の15%だ。CX-5が2017年に新型になり、売れ行きを2016年の約2倍に増やしたことを差し引いても、アテンザの販売状況は厳しい。今はマイナーチェンジで済ませ、次期アクセラから採用が開始されるスカイアクティブXを使って、フルモデルチェンジする見込みだ。

その時期が2020年以降にズレ込むようなら、海外に用意される2.5リッターターボを搭載したスポーティグレードなども必要だろう。今のセダンのユーザーは、50歳以上が80%を占めるが、アテンザでは20代など比較的若い年齢層も多い。セダンとワゴンの比率も各50%で、ほかの車種と違ってワゴンに偏っていない。理想的にはボディをもう少しコンパクトに、価格も下げて欲しいが、スポーティなガソリンターボを設定すると、ディーゼルとは違う渋めのスポーツセダンになるだろう。

ロータリーエンジンが休眠状態の今、昔から繋がるマツダの本質は、アテンザとロードスターによって支えられている。昔ながらのマツダファンとしては、そこをもう少し強化して欲しい。

[Text:渡辺陽一郎 Photo:島村 栄二]

マツダ 新型アテンザの主要スペック

マツダ アテンザ(2018年大幅改良モデル)の主要スペック
車種名アテンザ(セダン)

グレード

20S など

25S L Package

XD など

駆動方式

2WD

2WD

2WD

トランスミッション

6EC-AT

6EC-AT

6EC-AT

価格(消費税込)

2,829,600円~

3,542,400円

3,240,000円~

WLTCモード燃費

15.0km/L

14.2km/L

17.8km/L

市街地モード燃費

11.7km/L

10.6km/L

13.9km/L

郊外路モード燃費

15.4km/L

14.5km/L

17.6km/L

高速道路モード燃費

17.2km/L

16.8km/L

20.8km/L

全長

4,865mm

4,865mm

4,865mm

全幅(車幅)

1,840mm

1,840mm

1,840mm

全高(車高)

1,450mm

1,450mm

1,450mm

ホイールベース

2,830mm

2,830mm

2,830mm

乗車定員

5人

5人

5人

車両重量(車重)

1,510kg

1,540kg

1,620kg

エンジン

直列4気筒

直列4気筒

直列4気筒直噴ターボ

排気量

1,997cc

2,488cc

2,188cc

エンジン最高出力

156PS/6000rpm

190PS/6000rpm

190PS/4500rpm

エンジン最大トルク

20.3kgf・m/4000rpm

25.7kgf・m/4000rpm

45.9kgf・m/2000rpm

燃料

無鉛レギュラーガソリン

無鉛レギュラーガソリン

軽油

マツダ アテンザワゴン(2018年大幅改良モデル)の主要スペック
車種名アテンザワゴン

グレード

20S など

25S L Package

XD など

駆動方式

2WD

2WD

2WD

トランスミッション

6EC-AT

6EC-AT

6EC-AT

価格(消費税込)

2,829,600円~

3,542,400円~

3,240,000円~

WLTCモード燃費

15.0km/L

14.2km/L

17.8km/L

市街地モード燃費

11.7km/L

10.6km/L

13.9km/L

郊外路モード燃費

15.4km/L

14.5km/L

17.6km/L

高速道路モード燃費

17.2km/L

16.8km/L

20.8km/L

全長

4,805mm

4,805mm

4,805mm

全幅(車幅)

1,840mm

1,840mm

1,840mm

全高(車高)

1,480mm

1,480mm

1,480mm

ホイールベース

2,830mm

2,830mm

2,830mm

乗車定員

5人

5人

5人

車両重量(車重)

1,530kg

1,560kg

1,630kg

エンジン

直列4気筒

直列4気筒

直列4気筒直噴ターボ

排気量

1,997cc

2,488cc

2,188cc

エンジン最高出力

156PS/6000rpm

190PS/6000rpm

190PS/4500rpm

エンジン最大トルク

20.3kgf・m/4000rpm

25.7kgf・m/4000rpm

45.9kgf・m/2000rpm

燃料

無鉛レギュラーガソリン

無鉛レギュラーガソリン

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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