ロータス エヴォーラ 試乗レポート(2/3)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:オートックワン編集部
高回転仕様のエンジンとダイレクトに感じ取れる6速MT
ロータス エヴォーラに搭載されるエンジンは、トヨタ製の3.5リッターV6。
このエンジンはエスティマなどに搭載される横置きマウントのユニットで、インテリジェント可変バルブタイミング機構を備え、これにロータスが独自に開発した吸排気システムやエンジンマネージメント(ECU)によって280psの最高出力を6,400rpmで発生する。
エンジン回転レブリミット(つまりリミッターが作動する回転数)はノーマルモードで約6,500rpm、スポーツモード(OPのスポーツパック装備車)で約7,000rpmなので、スポーツカーらしい高回転仕様であることがスペックから伺える。
とはいえ、車重は1,382kgとエリーゼに比べれば重いが、パワーウエイトレシオは4.9kg/ps、0-100km/h加速は5秒強とかなりのアスリートぶりだ。この軽量な車重によって、350Nm/4,700rpmのトルクが必要以上に強く感じられる。
感心したのは、静止時から動き始めるときにアイドリングでクラッチミートしてもスルスルと簡単に動き出すことだった。MTが苦手な初心者にも決してハードルは高すぎない。
そして、トランスミッションもエンジンと同じくトヨタ製の6速MT。FF横置き用のユニットをエンジンごとそのままミッドシップ横置きとして流用したかたちだが、これは非常に手堅い選択といえる。
そのトランスミッションのフィーリングは適度なシフトストローク(短すぎず長すぎず)で、ギヤが入ったことがはっきりとダイレクトに手から感じ取ることができる。
この6速MTには、オプションでスポーツギヤレシオが組み込まれたものもチョイスできる。年間2,000台という少量生産が故に、キメ細かなオーダーにも対応して貰える嬉しさがある。
そのオプションには、ハイエンドなアルパイン製のオーディオ&NAVI(バックモニターも装着可能)を装備した「TechPack」、インテリアのグレードアップバージョンの「PremiumPack」、そしてスポーツモードやチタン製エクゾースト、クロスドリルドブレーキディスクなどを装備する「SportPack」が用意されている。
もう一つ注目なのが、2+2となりホイールベースが延長されたボディ構造。これまでどおり、エリーゼなどと同じアルミ材による構成。リベット接続や航空機と同じ手法による接着材を使用するハイテク製造だ。
この基本的な造りは同じだが、まずサイドシルの厚みを100mmから80mmへと20mm薄くしている。これは、乗降性を良くするため。
確かに、エリーゼなどの大きく跨ぐようにして乗り込んでいた感覚はほとんどなくスムーズ。サイドシルが細くなることは剛性低下が懸念されるが、コンポジットルーフ構造(つまりオープンにはならない)を採用しハイテク合成ボディパネル(つまり外板)を圧縮部材(つまり合成が高い)としていることから26,000Nm/degという高い剛性を確保しているのだという。
また、フロント部はアルミ押し出しのサブフレームとし、リヤには溶接鋼のサブフレーム(こちらは鉄)を採用している。これらによって衝突安全性を確保しセパレートパーツとすることで修理費用の低減も図られてるのだ。
サスペンションアームはエリーゼなどの鉄パイプからアルミ鍛造へと変更されている。これによってアーム類の重量に変化はないものの、より高い剛性を確保している。主に重量増への対応だろう。
ダンパーはビルシュタイン製、スプリングは車高調整可能なアイバッハ製とこの手のサプライヤーとしては超高級なブランド品のコンビ。ブッシュ類にはロータスのノウハウが投入された新しいものが採用され、そのおかげで乗り心地はとても良い。
乗り込んで驚くのはインテリアの質感。レザーの出来、光物は全てホンモノの金属を使った(プラスチックじゃない)というだけに高級感ありあり。
それに、とても仕上げが美しい。英国ってやはり・・・とため息ものだ。
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