レクサス LS 海外試乗レポート(河村康彦編)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:トヨタ自動車株式会社
レクサス LS 海外試乗レポート(河村康彦編)
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新しいLSが、いよいよ世界の道を走り始める

1989年に誕生の初代LSが、全てを白紙状態から開発をスタートさせるという険しい道に挑んだ結果に名声を勝ち取る事に成功したように、新型LSも「従来モデルから継承のコンポーネンツが何一つ存在しない」と語る通り、“いばらの道”のごとき困難な課題に挑戦をしたのが大きな特徴だ。

エンジン/トランスミッションから成るパワーパックはもちろんの事、骨格に当たるボディや運動性能を決定づけるシャシーなども、このクルマの場合全てが「完全新設計」。単なる見た目の刷新などではなく、こうして自動車を構成する全ての要素の同時リニューアルに挑んだところに、今度のLSの価値があり、そして同時に難しさがある事は想像に難くない。

塗装品質をはじめ、内外装各部の仕上がりは一級レベル

そんな新型LSのルックスは、フロントマスクの造形をはじめ写真で目にすると少々インパクトに欠けた、ちょっとコンサーバティブなものと感じる人が少なくないかも知れない。が、実際の佇まいは写真よりも遥かに存在感が高い。各部の張りは歴代LS中で最も豊か。パネル面への複雑な映り込みからそれが計算し尽くされたデザインの持ち主である事も納得出来る。塗装品質をはじめ、内外装各部の仕上がりはもちろん一級レベル。ただ、そうした中でダッシュボード・センターパネル周りのスイッチの煩雑さがやや旧態依然に感じられてしまうのが惜しい。

今や世界のライバルは、多くの装備品のため余りにも増え過ぎたスイッチ類を、いかに優れた使い勝手を確保しながら減らすかを、知恵を出し合いながら競っている状況にあるのだが・・・。

快適性の高さが際立つフットワーク

初代モデルが世界に衝撃を与えた静粛性は、今度も「圧倒的」と表現出来るものだった。新型では、外部からのノイズの遮断性が極めて高い事と、ノイズ・レベルの高まりの走行速度への依存性が低い事が印象に残る。『380ps』を誇るのであればもう少しガツンと背中を押すようなカリスマ性が欲しいとも思ったが、絶対的な加速力とそのスムーズさももちろん一級品だ。

フットワークの仕上がりは、複数種類の設定仕様によるものを何台かのテスト車で経験をしたが、いずれもまずは乗る人に快適性の高さをアピールするよう感じられるものであったのが特徴。実は、オーストリアでの国際試乗会で設定されていた風光明媚ないくつかの湖を巡るルートでは、バカンスシーズンという事もあり存分にチェック走行をするのは叶わなかった。ただし、ハンドリングの正確性は歴代モデル中で明らかに圧倒的に高く、ここでも「これまでのLSづくりのしがらみにとらわれていない」という開発の姿勢を実感出来る事になった。

こうしたファースト・インプレッションの持ち主であれば、例えドイツ・アウトバーンの速度無制限区間に乗り入れてもそんな国生まれのライバルに負けないフットワークを披露してくれるはず ----- そんな期待に胸が膨らむ新型LSだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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