レクサス 新型LS(LS460/LS600hL) 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
新たなレクサス顔“スピンドルグリル”がLSにも採用!
これはフルモデルチェンジか!?と驚かされたのが、レクサスLSのマイナーチェンジである。
基本部分は従来と共通だが、フロントグリルが大幅に変更された。
「スピンドルグリル」と呼ばれる、糸巻を横から見たような造形のラジエターグリルが備わり、視覚的な迫力が大幅に増した。テールランプはLEDを使ったL字型で、後ろ姿も新鮮味を打ち出している。
「スピンドルグリル」は、2012年1月にフルモデルチェンジされた「GS」や4月にマイナーチェンジされた「RX」など、“レクサスの新しい顔”となっている。そして、今後は次期ISにもこのグリルが採用される予定だ。
LSはマイナーチェンジでこのスピンドルグリルが採用されたため、従来から受け継がれているボディサイドとのバランスが難しい。側面にも手が加えられたが、基本はスッキリとしたデザイン。斜め前から見るとフロントマスクが誇張され、外観をひとつの塊として捉えにくい。
「スピンドルグリル」には、フェンダーを大きく張り出させたスポーティ指向のボディが似合う。開発者によれば、変更の背景には北米など海外市場のニーズがあるという。メルセデス・ベンツやBMWは、いずれも顔立ちが個性的。「レクサスは押しが弱い」と評価され、スピンドルグリルが採用された。
ただし、日本は海外とは事情が異なる。海外におけるトヨタ車は、70年代前半のオイルショックにおいて「燃費に優れ、安くて壊れにくい日本車の代表」として普及した。
対する日本国内では、1955年に登場した初代クラウンがトヨタ車の出発点。トヨタは「高品質で馴染みやすい自動車メーカー」として国内で認知され、2005年にスタートしたレクサスのブランド力でも、いまだに「トヨタ」には追い付くことができない。
LSもクラウンに準じた見方をされるから、「スピンドルグリル」も賛否両論だ。
もっとも、トヨタ車も変わり始めており、近々登場予定の次期クラウンは、保守的だったロイヤルサルーンも含めて目立ち度満点な顔立ちへと変わるというウワサだ。
今後のトヨタ車が次期クラウンの路線で発展すると仮定すれば、レクサスとの整合性は図られるだろう。そこには相当な「賭け」も伴うだろうが。
いずれにしろトヨタ、レクサスともに今はデザインの過渡期。それを象徴するのが、LSのマイナーチェンジで採用された「スピンドルグリル」だ。
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