なぜ?あのAsahiKASEIが電気自動車“AKXY”(アクシー)を発表、その意図とは
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:オートックワン編集部・GLM
AsahiKASEI(旭化成)は2017年5月17日、自社グループが開発・製造する自動車関連部材やシステムを用いて完成させた電気自動車(EV)のコンセプトカー”AKXY”(アクシー)を発表した。
製作には京都のEVベンチャー「GLM」がデザインや製作、そして車体設計・パワートレイン設計を担当。プラットフォームに同社のEV第一号車”トミーカイラZZ”のものを流用するなどし、実走可能な仕上がりとした。
当日、東京都内で報道陣向けに行われた発表会でも、実際にアクシーが会場後方からステージに向け走行。ステージ上に停車したアクシーのガルウィングドアの中から、登壇者の旭化成株式会社 高機能ポリマー事業部長 吉田 宏 常務執行役員が現れるという演出を披露していた。
切っても切れない、自動車と旭化成の深~い縁
旭化成がクルマ!? と驚く方もいるかもしれない。旭化成と言えば食品用ラップフィルム「サランラップ」や化学繊維素材、あるいは戸建て住宅「ヘーベルハウス」などが有名だが、実際にはかなりの広範囲で自動車と深くかかわっている企業なのだ。
例えば、エアバッグやタイヤには同社の高強度・高耐久性ナイロン66繊維”レオナ”が広く用いられている。また同社の高機能樹脂部品は、ライトからグリル、バンパー、ホイールキャップなどの外装、インパネやトリム類、シートクッション材、さらにはエンジンマウントやオイルパンなどなど、本当に広範囲で使用されている。さらにはエコタイヤ向け合成ゴムや内装用の人工皮革も手掛るなど、自動車とは切っても切れない大切な存在なのだ。
またそうした”素材”だけではなく、グループ会社ではLSI(半導体集積回路)やセンサ類、EV用電池などに用いられるセパレーターなども手掛けるなど、その範囲は想像を超えるほど多岐に渡る。
旭化成グループの総力を結集して誕生したEVコンセプトカー”AKXY”(アクシー)
今回発表されたEVコンセプトカー”AKXY”(アクシー)は、こうした旭化成グループが持つ様々な技術群を、部門の壁も超え横断的に活用。自社開発の部材やシステムを実に27品目使用するほか、開発中の最先端技術なども搭載した。
旭化成では国内外の自動車メーカーや部品メーカーに対しさらにアピールすべく、まだまだ知られていない同社の自動車関連素材などを、近未来のコンセプトカーという1つの大きなパッケージにまとめた。まさに旭化成が企業広告で訴求する”昨日まで世界になかったものを”(Creating for Tomorrow)を地でいくような展開だ。
まずは2017年5月24日(水)から26日(金)まで開催される「人とくるまのテクノロジー展2017」へ出展。まだアクシーに搭載出来ていない先進部材や構造材、部品なども一堂に会する展示を行う。
”AKXY”(アクシー)って、どんなクルマ!?
さて、旭化成のEVコンセプトカー”AKXY”(アクシー)とはどんなクルマだろうか。
AKXYとは、Asahi Kaseiの頭文字「A・K」 x(かける) お客様(YOU)の頭文字「Y」から誕生した造語だ。先にも記した通り、京都のEVベンチャー「GLM」が手掛けたEV第一号車”トミーカイラZZ”のプラットフォームを使用。国内外で人気の高いクロスオーバーSUVのスタイルを採用することでさらに訴求力を高めた。
ボディサイズは全長x全幅x全高が4685x1813x1562mmと現実味のある大きさ。しかし球体を思わせるまあるい形状は独特の個性的なもので、内装もその球体に包み込まれるような意匠とした。トミーカイラZZ譲りの305ps(225kW)の高出力モーターを搭載する。乗車定員は前1名後2名の合計3名乗り。
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