仏・DSにフラッグシップのSUV「DS 7 クロスバック」発表 ~新アクティブサスも搭載~【ジュネーブショー2017】
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パリ・ヴァンドーム広場近くで初披露された「DS 7 CROSSBACK」
「リヴォリ」、「フォブール」、「オペラ」に「バスティーユ」と聞けば、パリを訪れたことがなくても何となく聞いたことのある地名だろう。これらの名で内装の仕様やグレードを表すのにふさわしいクルマは、確かに従来なかった。2017ジュネーブショーが差し迫った2月28日、パリのヴァンドーム広場の隣ヴォルネー通りの会場で披露された、DSの新たな旗艦モデル「DS 7 CROSSBACK」(ディーエス・セブン・クロスバック)である。
ボディサイズは4.57×1.89×1.62mという堂々たるもので、レクサス NX300hやアウディ Q3、BMW X1にボルボXC 60らと競合する。
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今回お披露目されたのは、DS 7 クロスバックのファースト・ロット限定仕様「ラ・プルミエール」。
ワインレッドのレザー内装に、クルー・ド・パリという彫り模様を施したメタルパネルという、シックな素材コントラストもフランス的だが、14個のスピーカーを備えたオーディオシステムもフランスの高級メーカー、フォーカル・エレクトラ製。シトロエンから独立後に初めてゼロからDSブランドとして企画された最高峰モデルだけに、フランスのメゾン・ブランド的な伝統工芸と先端技術を融合させるという、DS独自のラグジュアリー観が炸裂した一台といえる。
DS 7 クロスバックのプラットフォームは、プジョー 308やシトロエン C4ピカソで高い評価を得ているEMP2。ドライブトレーンは、まずガソリンでは高圧インジェクションでさらに高効率化された1.6リッターターボのTHP225を筆頭に、THP180、1.2リッターターボのピュアテック130の3種類。
ディーゼルは2リッターターボのBlueHDi180に加え、新開発の1.6リッターターボであるBlueHDi130の2種類が用意される。MT以外のトランスミッションはEAT8というアイシンAW製の新たな8速ATを採用した。これらは2018年1月の欧州、同年前半に予定される日本市場での発売時のラインナップだが、2019年には100ps強の電気モーターと13kWhのリチウムイオン・バッテリーを後車軸モジュールに組み込んだ、4WDのPHEV仕様もアナウンスされている。THP225との連携で約300ps・450Nmの最大出力&トルクに、ZEVモードで約60㎞の自律走行が可能という。
先進の”半自動運転”技術も搭載
さらにADAS(先進運転支援システム)に関する装備面でも、DS 7クロスバックは最新鋭の半自動運転環境を実現している。
「DSコネクティッド・パイロット」は、、30km/h以上で設定した後は0~180㎞/hの広い速度域で作動するアダプティブ・クルーズ・コントロールに加え、高速道路走行中のレーンキープ機能や、最新世代のパーキング・アシストもバンドルされている。また安全パッケージとして「DSセーフティ」が用意され、赤外線センサーによって歩行者や動物を感知するDSナイトヴィジョンに、ドライバーの瞼の動きをモニターして疲労や居眠りを警告する機能も備わる。
もうひとつ、プレミアムならではのこだわりは、「DSアクティブLEDヴィジョン」というフルLEDのコンビネーションランプに表れる。車速によって駐車中や市街地か高速道路といった走行状況を検出し、自動的に5種類の点灯モードを使い分け、自ら見やすいだけでなく外からも視認しやすくなるという。
ちなみに「魅せる」ための演出として、フロントの片側3灯は点灯時または消灯時に、1灯づつ180度回転してライトオン・ライトオフとなる仕組みだ。照射機能には何ら関係しない演出だが、ステアリングの動きに応じて照射方向を変えるという「動くヘッドライト」は昔のオリジナルDS以来のものだ。一見、ワウ・ファクター狙いの演出のようだが、DSだからこそ、別名「光の街」(ville de lumière) パリ発のプレミアムSUVだからこそ、許される何か、かもしれない。
ともあれ、Dセグメントにおけるボルボといい、ドイツ車的プレミアムに対するオルタナ勢力が、CセグメントではDSというフレンチ・ラグジュアリー方面から勃興してきたことは興味深い。ジュネーブでの受注に応じて生産計画が確定されるはずで、その行方に注目だ。
フランス・パリで2017年2月28日に行われた「DS 7 CROSSBACK」事前お披露目イベントの模様
DS 7 クロスバックの事前発表会は、いわゆるグローバル企業のお約束となった、ステージ上でCEOが身振り手振りを添えて熱弁するという、ジョブス的プレゼンとは程遠く、まるでガイド付き訪問の枠組で美術展や博物館を巡るような体験だった。
インテリア内装や走行機能のプレゼン台が部屋ごとに配され、担当デザイナーやエンジニアの解説を聞きながら、それぞれの内容を詳しく発見するのだ。アパレルやジュエリー・ブランドの展示会に近い感覚で、CEOやデザイナーがクルマ全体を見せるのは最後という、一風変わったアンヴェールだった。
[レポート:南陽一浩/Photo:DS AUTOMOBILES・南陽一浩]
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