ランドローバー フリーランダー2 海外試乗レポート(竹岡編)
- 筆者: 竹岡 圭
- カメラマン:ランドローバー・ジャパン株式会社
ランドローバーというメーカーのマジメさを感じるんですよね
4×4専門メーカー、ランドローバー初の小型車として、1997年にジュネーブショーでデビューした初代フリーランダー。当初はMTのみのラインアップだったために日本導入が見送られ、実際日本にやってきたのは2001年2月。「V6 2.5リッター 5ATモデル」が加わったときだったんですね。
ランドローバーはモデルチェンジのサイクルが長いので、あれれ?もうフルモデルチェンジなの?といった感じがしちゃいますけど、フリーランダーの2代目、フリーランダー2が来年の夏頃にはやってくることになりました。今回は、ひと足お先にアフリカ大陸のモロッコで試乗させていただいたんですけど、まず第一印象は、あららこんなにデッカクなっちゃったの~?だったんです・・・。
小さい方が便利なような気がするんですけど・・・
初代から流用されたものはゼロ!という、まったく新しくなったフリーランダー2。ボディサイズは、全長50mm、全幅109mm、全高32mmとひと回りほど大きくなっちゃったんですよね。ちなみに重量も100kg増加。ランドローバーの中ではいちばん小型かもしれませんが、世間的に見ると小型とはちょっと言いがたいサイズですよね。なんたって全幅1,900mm超えてますから・・・。
フリーランダー2だけでなく、最近の世界中のクルマが大きくなる傾向に合わせると、仕方ないのかもしれませんが、今回のボディサイズの拡大をいちばん強く要望したのはアメリカだそう。アメリカ人は体格がいいもんなぁ・・・ランドローバー車もアメリカで売れてるし…っていうのが、本音のようです。日本に住む私としては、是非ともベビーフリーランダーを作って欲しくなっちゃいますけどね。それにオフロードって狭い道も多いし、気が生い茂ってるところも多いし、岩もゴロゴロしてるところが多いしと、この“多いし”をクリアしつつ、目的地ギリギリまでクルマで入っていくためにも、小さい方が便利なような気がするんですけど・・・。まぁ、今後に期待したいところですね。
頑丈さではライバルに負けてません
さて、文句ばかり並べ立てたボディですが、デザイン的にはずいぶんカッコよくなりました。レンジローバー譲りといってもいい雰囲気で、ブランドとしての統一感も醸し出されていい感じ。さらにこのボディ、一部ライバルの2倍は高いとウワサされるほどの高剛性。なんでも、レンジローバーとカイエンの次に頑丈だって言いますから、とにかく頑丈さではライバルに負けてません。このアタリはさすが、4×4専門メーカーですよね。
さて、初代に比べパワーも燃費も上回る新開発の直6 3.2リッターエンジンですが、確かに天地がひっくり返りそうな段差や、水や砂埃でもビクともしませんでした。ベースはボルボとフォードとの共同開発でも、まったくの別物というのに納得できる性能。ただし味付け的には、もう少し低回転重視のほうがオフロードには向いているかもしれませんね。その代わりといっちゃなんですが、オンロードではハンドリングもキビキビめなので取り回しもよく、快適そのものでした。
「えぇっ?!」ってとこもなんとなく走れてしまう
だからといってオフロードが弱いかといえばそんなことはなく、テレイン・レスポンスのおかげでスイスイ行けちゃうんですよ。まぁ大抵のところならば、切り替えナシの通常走行で行けちゃうんですよね。このテレイン・レスポンスっていうのは、エンジン、トランスミッション、4×4システム、サスペンションなどを統合制御して最適なクルマの状態を瞬時に作り上げてくれるシステムなんですけど、前後のトルク配分も路面状況に応じて自動的に変更してくれるんですよね。オンロードというか通常モードの場合、燃費などを考えて前輪重視に配分されていますけど、イザとなったら瞬時に9割まで後輪にトルク配分。だからFFベースでもかなりのところまで行けてしまうんです。私としては普通に走ってるだけなのに、「えぇっ?!」ってとこもなんとなく走れてしまいます。
路面状況に合わせて、草・砂利・雪などの滑りやすい路面用モード、泥・ワダチモード、砂地モードの3つのモードからピッタリなものをチョイスすればOK。適切な制御のおかげで、オフロード体験が少なく、砂漠やガレ場なんて初めての私でも、つまり高度なテクニックなんか何もなくても走りきれてしまうんです。さらに、急な下り坂の場合は、初代にも装備されていたヒル・ディセント・コントロールを使えば怖いものナシ。
この初めてでも普通に走りきれてしまう性能を、ランドローバー車の中ではエントリーモデルとなるフリーランダー2に落としこんできたっていうところに、ランドローバーというメーカーのマジメさを感じるんですよね。ランドローバーの世界へいざなうエントリーモデルとしては、まさにピッタリな性格に仕上がっていると言っていいでしょう。もちろん、オフロードの世界にドップリ浸かっているツワモノの方たちにも、コンパクトゆえの機動力の高さは満足していただけるに違いありません。
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