オープンカー”イヴォーク コンバーチブル”とジャガー F-PACEで往く、雪の上のラグジュアリー体験(2/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:茂呂幸正・和田清志
ホントだって。氷点下の雪国、オープンで走っても全然OK・・・
まず最初に言いたいのだけど、このクルマ、屋根を開けていてもちっとも寒くないんである。それに本気で驚愕した。
外気温はしれっとマイナスを指し続けている。空からは大粒の雪がはらはらとこぼれ落ちて来る。一旦停車をすれば、柔らかなレザーに覆われたシートが、あっという間に白く覆われてしまうほどだ。
しかし、ほんの30~40km/hほど速度を出せば、堅牢なピラーに守られて、水槽のように四角なボディ形状がキャビンを外気から守る。頭頂部にこそ風を感じるものの、室内はまるでコタツの中にいるかのような快適さを誇るのだ。特に前席は本当に暖かく、苦行感なんてひとつもない。後席はそこそこ吹き込むが、それでも居ても立ってもいられないというほどではない。写真をご覧のとおり、こんなに雪降りしきる中でも、だ。
それに、たとえ空力を考え尽くされたスポーツカーでも、ステアリングホイール周辺には風溜まりが出来やすいのか、手元がスースーすることも多いのだが、イヴォーク コンバーチブルにはそれが皆無であったことも強く書いておきたい。
シートヒーターなんかを併用すれば、リアルに雪山でのオープンドライブが「楽しめる」のがことのほか素晴らしい。試乗車にはステアリングヒーターも装備されていたから、さらにドライブは快適なものになった。もちろん我慢できなければ、屋根はクローズしてしまえばいい。48km/h以下なら走行中も開閉できる。
老舗4X4ブランドの伝統は都会派の末弟にもしっかり受け継がれる
試乗は一般道を中心に行なわれたが、冒頭のとおり記録的な大雪により、前日から地元、観光客問わず事故が多発していたほどの状況だ。
しかも、試乗車に装着されていたのはピレリのスコーピオン・ウインター。ヨーロッパ向けのウインタータイヤである。日本の水分量の多い雪、そして摩擦係数の低い氷上路に対してこれ、ホントに大丈夫なの?
そんな不安は乗ればすぐに解消された。
走行モードは4種類。シフトノブ根元のイラストで表示され、そのイラストを挟むようにして配置されている左右ボタンで簡単に選択できる。
もちろん今回はスノーモードを選択したのだが、きめ細やかに路面を読み取り、全車輪がそれぞれ細かにトルク配分をしているのが感じられる。おそらくドライ路面においてももっと微細なレベルでドライバーをサポートをしてくれているのだろうが、ミューが不安定な雪上路ではそのサポート幅が大きいため、クルマ側のサポートを感じやすい。その電子制御の介入の仕方は微に入り細にわたって実に見事だ。一見すると都会派のイヴォークだけど、全面的にクルマが助けてくれる信頼度の高さにおいては、やっぱり間違いなくレンジローバーファミリーなのだ。
凍結路ではタイヤの特性のため、ややズズっと滑る箇所もあったのだが、電子制御が素早く介入して四輪のトルク配分がなされ、スロットルレスポンスを緩やかにして横滑りを防止してくれる。もしさらにスタッドレスタイヤを装着したなら、きっとなんの破たんも起こさないだろうと期待値が高まった。
ちなみに試しにノーマルモードでも走行してみたが、さすがにスリップに対する警告が出まくってしまううえに、挙動がそれなりに乱れててんやわんやになってしまうのでオススメしない。良い子は路面に合わせた走行モードを選んで正しくイヴォーク コンバーチブルに乗りましょう。
この記事にコメントする