ランドローバー 新型ディスカバリー4（2014年モデル）試乗レポート／九島辰也(1/2)

オフロードを知り尽くした男たちが選んだモデル

一年くらい前だっただろうか、先輩モータージャーナリストからランドローバーのラインナップでどれが自分におすすめか、と質問された。大人の色気のあるしっかり稼いでいる方なので、この場合レンジローバーを新車で買うというのもムリのない選択である。

だが、全方位的に考えておすすめは「ディスカバリー4」と答えた。その理由は明白。これまでランドローバーが主催する世界中のイベントに足を運んできたが、つねにオフロードで活躍するのはディスカバリー。他のモデルのオフロードイベントでもサポートカーとして使われる。つまり、オフロードを知り尽くした男たちが選んだのがこいつ。その意味からも大人の男が乗るのにふさわしい一台と考えたからだ。

それに、これまで「ジープ」を散々イジってきた立場からもディスカバリーは侮れない。進化するテレインレスポンスとこのパッケージングはかなり強力な組み合わせだと自信を持って言える。

そんなディスカバリーの2014年モデルをテストドライブした。試乗コースはフランス、ドイツ、スイス。そこでの市街地とワインディング、ハイウェイの走りを試すというものだ。というのも、今回の目玉は新エンジンと新トランスミッション。その使い勝手のよさがメインとなる。

新パワートレーンを採用し、本気で燃費向上と二酸化炭素排出量の低減に取り組む

具体的には3リッターV6のスーパーチャージャーが積まれた。すでにジャガー「XF」にラインナップされるV8をベースにしたモジュラーユニットで最高出力は340psを発揮する。そしてトランスミッションはこれまでの6速から同じZF製の8速ATにスイッチ。6速とほぼ同じハウジングで多段化を実現した優れものである。今回日本仕様はこの変更にともない5リッターV8をカタログから落とした。これでレンジローバーおよび、同スポーツとは線引きされたこととなる。

新パワートレーン採用の目的は走りもそうだが、燃費の向上と二酸化炭素排出量の低減が挙げられる。今回、インテリジェントストップ／スタートを備えることからもかなり本気だ。まだ日本での認証がおりてないことからJC08モードは発表されていないが、もしかしたらけっこう期待していいかもしれない。実際に走ってみて、そんな印象を受けたことを報告しておこう。

この他ではトランスファーケースにオプションの単段速ボックスが追加された。これは簡単にいうと4WDのローレンジを持たないもの。ディスカバリーのヘビーデューティなオフロード性能を必要としない人向きだ。ただ、それでも4WDであることは変わらない。トルセン・ディファレンシャル付きは通常前後42：58でトルク配分する。雨天時の高速安定性は抜群だろう。それに約18キロの減量にも役立つ。