ランボルギーニ ウラカン 海外試乗レポート/大谷達也(2/2)

ランボルギーニ ウラカン 海外試乗レポート/大谷達也
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ボディに軽量なアルミを幅広く用いているのは先代ガヤルドと同様だが、ウラカンではさらに一歩踏み込み、アルミとカーボン・コンポジットを組み合わせたハイブリッド・シャシーを初採用した。この結果、ボディシェルはガヤルドより10%も軽くなっているのに、捩り剛性は50%も向上したという。やはりカーボンの効果は絶大だ。

サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式となるが、注目されるのはダンパー内に封入した磁性体に磁力をかけることで減衰力を調整するシステムを用意した点にある。アウディでいうところのマグネティックライドだが、これにより路面状況にあわせてサスペンションの特性を調整することが可能になった。

この新しいサスペンションの性能をフルに引き出すのに役立つのがANIMAと呼ばれるシステム。イタリア語で“魂”を意味するANIMAは、ステアリングに取り付けられたスイッチひとつでエンジン、ギアボックス、駆動系、スタビリティ・コントロール、前述したダンパーなどの特性を調整。刻々と変化する路面状況、運転状況にあわせて、これらすべてを統合制御するというものだ。その効果は後ほど説明するが、ウラカンに求められた「親しみやすさ、扱いやすさ」を実現するうえで見逃せない役割を果たしていた。

5.2リッターの大排気量エンジンのおかげで低速トルクもたっぷり

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今回の試乗コースはランボルギーニの本拠地であるイタリア北部のサンターガタを出発。パルマ、ピアチェンツァなどを通過して地中海に出た後、カンヌやモナコなどの街々を巡ってコートダジュールにあるポールリカール・サーキットを目指すというもの。しかも、ポールリカールではミニサーキットでの試乗まで用意され、限界付近のハンドリングを存分に味わえるという贅沢なメニューである。

サンターガタの街をウラカンで走り始めた瞬間、その圧倒的な快適性に舌を巻いた。前述したANIMAはもっともコンフォート性の高いストラーダに設定してあるが、20インチサイズのピレリPゼロからはゴツゴツとしたショックがほとんど伝わってこない。ランボルギーニ史上、もっとも快適な乗り心地であることは間違いない。しかも、デュアルクラッチ式ギアボックスを採用したおかげでギアチェンジも滑らか。市街地を流す程度のペースであればエンジン音も決してうるさくないし、5.2リッターの大排気量エンジンのおかげで低速トルクもたっぷりとしていて扱いやすい。これだったら、東京の渋滞路を走らせていても不快には思わないだろう。

ランボルギーニ ウラカン

イタリアの高速道路“アウトストラーダ”に乗り入れたところでANIMAをスポルトに切り替える。すると、足回りの設定がややハードになるほか、ギアチェンジがより素早くなり、ときおりコツンというショックを伝えてくる。さらにアクセルペダルを大きく踏み込んだときには、V10エンジンがクォーッと迫力のエグゾースト・サウンドを奏でるようになる。「ちょっとやりすぎかな?」の気がしないでもなかったが、ステアリングの座りがよくなるので高速道路を走るには都合がいい。おかげで長距離を走り続けてもほとんど疲れが残らなかった。

傑出したパフォーマンスをフルに味わう

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そしてポールリカールのショートコースでは、ウラカンの傑出したパフォーマンスをフルに味わうことができた。アクセルペダルをフロアまで踏みつけると、2速、3速にシフトアップするタイミングはまたたく間にやってくる。しかも、4輪でエンジンパワーを路面に伝えるため、どんな急発進を試してもタイヤが鳴ることは皆無。つまり、エンジンパワーがすべてクルマの加速に役立てられるので、それこそ身体がシートにめり込むような圧倒的な加速感を味わえるのだ。

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サーキット走行時にはANIMAのコルサというもっとも過激なセッティングを試したが、このモードではハンドリングのレスポンスがより鋭敏になるので、クルマがわずかにスライドし始めたところでステアリングを修正するという、スポーツドライビングの真髄ともいえる醍醐味を味わえる。

このとき、610psの大パワーを誇るウラカンは、いくぶんステアリングを切り、アクセルペダルを強く踏み込んでいくだけでタイヤのグリップを失わせることができるが、フルタイム4WDはスタビリティ志向に躾けられているため、いきなりオーバーステアに転じてリアがアウト側に振り出されることはない。コーナリングスピードを高めていくと、フロントがわずかにアウトに流れ始め、限界に近づいたことをドライバーに伝えてくれるのだ。

このときの挙動はあくまでも穏やかなので、腕に覚えのあるドライバーであれば、アクセルペダルをわずかに戻すだけでウラカンのノーズをコーナーのイン側に引き戻すことができるだろう。

自動車評論家の大谷達也さん

つまりはアクセルオンでアンダーステア傾向を示すわけで、もしかするとレーシングドライバーには物足りなく感じられるかもしれないが、一般的なドライバーにとっては極めて安全な設定といえる。むしろ、多くの人々がスーパーカーの限界を垣間見ることのできる設定として、筆者はこれを高く評価したい。

低速域ではあくまでも快適、そして高速ツーリングを苦もなくこなし、サーキットではホンモノのスポーツドライビングを楽しめる。

ウラカンは、ランボルギーニの狙いどおり、実に変幻自在なスーパースポーツカーに仕上げられていたのである。

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大谷 達也
筆者大谷 達也

1961年、神奈川県生まれ。エンジニア職を経験後、1990年二玄社に就職し、CG編集部に配属となる。以来、20年間にわたり同誌の新車情報、モータースポーツに関する記事を企画・編集・執筆。2010年3月フリーランスとなる。現在もCGの編集・執筆業務に携わる傍ら、ENGINE、GENROQ、東京中日スポーツ新聞、レーシングオンなどにも寄稿。日本モータースポーツ記者会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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