つい見落としがちな道路交通法違反5選

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つい見落としがちな道路交通法違反5選
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意外と知らない、でも知っておくべき道路交通法

運転者として守らなければならないこと、安全のために決められた車両の準備など、道路交通法ではありとあらゆる角度から事細か定められています。全てを読みこなし理解している方は少ないと思いますが、今回は車を運転するのであれば知っておいて損はない、むしろ知っていなければ運転することは怖くてできないくらい重要で、見落としがちな交通違反をピックアップしました。

道路交通法で記された規定は、解釈によっては違反ととられる場合もあります。交通違反を知ることは、賢く安全に運転を楽しむためのコツにもつながります。

違反しがちな道路交通法その1:高速自動車国道等運転者遵守事項違反

高速自動車国道等運転者遵守事項違反
反則金違反点数
大型車12,000円2点
普通車9,000円
二輪車7,000円

高速自動車国道等運転者遵守事項違反と、漢字ばかりが並び頭が痛くなりそうですが、簡単に言えば「高速自動車道路を利用するときは、車を点検してから乗りましょう」ということ。

自動車免許教習場で1度はみなさん習ったはずなのですが、ドライバーとして経験を重ねていくうちに「車検のときに点検しているから大丈夫だろう」と油断して、お出かけ前の出発前点検は忘れがちになっていませんか?ここで言う点検とは特別なものではなく、日々のセーフティドライブのためにも心掛けたい点検、お約束と言っていいものばかりです。

具体的には燃料、冷却水、オイルの量、タイヤの空気圧や溝の深さ、荷物の積載状態です。例えば、高速自動車道路で燃料切れ、いわゆるガス欠になったら、時間をとられるだけでなく、高速自動車国道等運転者遵守事項違反です。これは道路交通法第75条で定められています。車を運転するドライバーは、高速自動車国道などに乗る前に、あらかじめ燃料、冷却水、オイル量、タイヤの空気圧や、タイヤが劣化していないか傷はないかなど、点検しなければいけません。予測することができないトラブルを除き、事前に予測できるトラブルであって、車の点検を怠れば違反となります。基礎点数は2点で、反則金(上記表を参照)を支払うことになります。

 

通行帯違反

さらに、高速自動車道路で気を付けたい違反を紹介しましょう。それは「通行帯違反」です。追い越し車線を走り続けていると違反になります。道路交通法20条1項を見ると「第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によって指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となっているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる」と記されています。

つまり、2車線の場合は一番左側を、3車線の場合は一番左側と中央を走るようにと、明記されているのです。一番右の車線は、追い越しをするときや緊急車両に道を譲るとき、道路状況に応じてやむを得ないときに走ることが許されている車線なのです。何キロまたは何分走り続けたら違反となるのかは定められていませんが、過去に通行帯違反を経験したドライバーに伺うと、後ろに覆面パトカーがいたことに気が付かず5分近くツーリングしていたそうです。通行帯違反は高速道路における交通違反の取り締まりでは常に上位にランクインする違反なので気を付けましょう。

違反しがちな道路交通法その2:泥はね運転違反

泥はね運転違反
反則金点数
大型車7,000円なし
普通車6,000円
二輪車6,000円
原付5,000円
警音器使用制限違反
反則金点数
大型車3,000円なし
普通車
二輪車
原付

ドライバーのマナーに関わる違反ですが、これも道路交通法第71条に定められています。「第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。一、ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること」。泥はね運転は、基礎点数は引かれませんが、大型車は7,000円、普通車・二輪車は6,000円、原付車は5,000円の反則金が設定されています。また、罰則もあり、5万円以下の罰金対象となります。

 

警音器使用制限違反

ドライバーの品格が求められる、マナーを問われる法律は他にもあります。例えば、警音器使用制限違反です。法令の規定によってクラクションを鳴らさなければならないとされている場合や、危険を防止するためにやむを得ないときを除き、クラクションを鳴らしてはならないと道路交通法で定められています。違反すると反則金3,000円です。さらに、罰則もあり、2万以下の罰金または科料となります。

 

その他にも「マナーが悪いね」では済まされない、歩行者に対するドライバーの違反もご紹介しましょう。歩行者側方安全間隔不保持等違反や横断歩行者等妨害等違反です。

 

歩行者側方安全間隔不保持等違反

歩行者側方安全間隔不保持等違反
反則金点数
大型車9,000円2点
普通車7,000円
二輪車6,000円
原付5,000円

歩行者側方安全間隔不保持等違反は、道路交通法第18条で定められています。歩道と車道の区別がない道路を車が通行する場合は、歩行者と車との距離を安全に保てるように間隔をあけて、徐行運転で通行しなければなりません。これに違反すると、基礎点数は2点、反則金は大型車9,000円、普通車7,000円、二輪車6,000円、原付車5,000円となり、罰則は3カ月以下の懲役または、5万円以下の罰金となります。

 

横断歩行者等妨害等違反

横断歩行者等妨害等違反
反則金点数
大型車12,000円2点
普通車9,000円
二輪車7,000円
原付6,000円

横断歩行者等妨害等違反は、車は横断歩道または自転車横断帯に近づいたときは、歩行者、自転車が明らかにいない場合を除き、すぐに停止することができる速度で進行しなければなりません。横断しようとする歩行者等がいたときは、横断歩道等の直前で一時停止して歩行者が優先です。横断歩道が無い交差点も歩行者が横断しているときは、歩行者の通行を妨げてはいけません。これらは全て道路交通法38条で定められています。違反すると基礎点数は2点、反則金は大型車12,000円、普通車9,000円、二輪車7,000円、原付車6,000円。罰則は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金です。全ての歩行者に対してはあらゆる思いやりと注意が必要です。

違反しがちな道路交通法その3:安全運転義務違反

安全運転義務違反
反則金 違反点数
大型車 12,000円 2点
普通車 9,000円
二輪車 7,000円
原付 6,000円

安全運転義務違反と言われてもなかなかイメージできませんが「運転時に危ないことをしないでください」ということです。例えば、片手運転をする、よそ見をしながら運転する、片手で飲み物を飲みながら運転する、搭乗者とおしゃべりに夢中になりながら運転する、道を間違えて急に車線変更を行うなどです。これらは全て安全運転義務違反にとられかねないことであり、違反になるかどうかは警察官の判断にゆだねられています。万が一、交通事故になった場合は、被害者側であったとしても過失割合によっては安全運転義務違反となるケースがあります。基礎点数は2点、反則金は大型車12,000円、普通車9,000円、二輪車7,000円、原付車6,000円で、罰則は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金です。

携帯電話使用等(保持)違反、安全不確認ドア開放等違反、停止措置義務違反
反則金違反点数
大型車7,000円1点
普通車6,000円
二輪車6,000円
原付5,000円

※携帯電話使用等違反、交通の危険があった場合は違反点数2点

その他、携帯電話使用等(保持)違反、安全不確認ドア開放等違反、停止措置義務違反など、別項目で道路交通法に明記されている違反も広義の意味では、全て安全運転義務違反につながるものとなります。運転中に携帯電話やスマホを使用する人は今も少なくありません。画面を見ていなくても保持しているだけで違反です。その他、安全不確認ドア開放等違反は、安全確認をせずにドアを開き、後続車等に危険を及ぼした場合に違反となります。コンビニエンスストアに立ち寄った際に、すぐに車に戻ってくるからと鍵をかけまま車から離れたことはありますか?それは停止措置義務違反となります。車に鍵をかけたまま、または窓を開けっぱなしにしているなど、他人に簡単に運転できる状態で車から離れることは、防犯面だけでなく危険もともないます。

違反しがちな道路交通法その4:整備不良違反

整備不良(制動装置等)違反
反則金違反点数
大型車12,000円2点
普通車9,000円
二輪車7,000円
原付6,000円

整備不良(尾灯等)違反
反則金違反点数
大型車9,000円1点
普通車7,000円
二輪車6,000円
原付5,000円

車を走らせていると、テールランプやブレーキランプが切れている車をよく見かけます。また、明らかに車高を落とし過ぎている車、タイヤが車体からはみ出し過ぎている車(※)も見かけますよね。これらは全て交通違反です。

※タイヤが車体からはみ出ているのは少し前までは違反でしたが、2017年6月22日より保安基準が一部改正され、10mm未満であれば車体からはみ出しても違反ではなくなりました。

自動車の整備不良は大きく2つに分けられています。一つは、保安基準の規定により車両等にそなえなければならない装置が装備され、不備がないこと。もう一つは、不法改造などをしていないかどうか。保安基準の規定の装置は、テールランプ、ブレーキランプなどの球切れがしていないか、ハンドル、ブレーキなどが壊れていないかどうか。安全に走行ができない車では交通の危険を生じる可能性があると判断され、整備不良、交通違反となります。

不法改造の例としては、地上高9cm以下の車高が低い車や、車検に通らないオーバーフェンダーの装備、ウイングの装着、運転席助手席のガラスに貼るフィルムも可視光線透過率70%以下の場合は違反となります。また、ブレーキ、テールランプは赤色、方向指示灯は赤または黄色と定められているのでこれを指定以外の色のものに変更するのも違反です。このほかにも車の部品は多くの定められた項目があるので、車をカスタムする際は慎重に行いましょう。

基本は「交通の危険を生じさせるおそれがある」、または「他人に迷惑を及ぼすおそれがある」に当たる場合は全て違反となります。整備不良となった場合、最小限度の必要な応急処置を施しても安全に運転することができない場合は、故障車両となり運転を継続することができません。そうなるとレッカー車を頼むか、知り合いに牽引をお願いするなどさらに費用も労力も増えます。そうならないためにも、日ごろから車の日常点検を行って車の健康を保つようにしましょう。 なお、上記の整備不良には罰則もあり、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金となっています。

違反しがちな道路交通法その5:携帯電話使用等(交通の危険)違反

携帯電話使用等(交通の危険)違反
反則金違反点数
大型車12,000円2点
普通車9,000円
二輪車7,000円
原付6,000円

携帯電話使用等(保持)違反
反則金違反点数
大型車7,000円1点
普通車6,000円
二輪車6,000円
原付5,000円

ご存じの通り、車を運転している際は携帯電話の使用、画面を注視することは禁止となっています。違反した場合は、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。ただし、ハンズフリー装置を併用して携帯電話等を使用するのは今のところ禁止されていません。道路交通法では「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれも行うことができないもの」に関しては、走行中の携帯電話等の使用を禁止しています。

わかりにくい表現になりますが、禁止対象となるのは、送信マイクと受信スピーカーの両方を手に持った状態で使用する装置です。そのため、タクシー無線のように、すでに車に取り付けられているスピーカーから音がでる装置に関しては、手に持つことなく受信することが可能なため、規制対象にはなりません。ハンズフリーの装置もこの規定に属しているため、通話OKとなります。しかし、気を付けなければならないことがあります。ハンズフリー装置を用いたとしても万が一、事故を起こした場合は、道路交通法の70条「安全運転義務違反」に問われることになります。運転中の携帯電話等の使用は運転への集中力が無くなってしまうため、緊急の場合を除き控えるのがベストです。

また、道路交通法では問題なくても都道府県の条例が新たに設けられているケースがあります。例えば東京都では「高音でカーラジオ等を聴く、イヤホーン等を使用してラジオ等を聴くなど、安全な運転に必要な交通に関する音又は、声が聞こえない状態では車両を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は、公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホーン等を使用するときは、この限りではない」と記されています。

例えば、ハンズフリー装置を使用している際に、警察官によるアナウンスが聞こえない場合はこれに該当するので、安全運転義務違反となる場合があるのです。走行中、緊急でやむを得ない場合は運転者が通話できるケースがあります。それは「傷病者の救護又は公共の安全の維持のための当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うもの」。傷病者の救護の場合の例としては、同乗者がいない場合、または同乗者が1名でその同乗者が体調不良となった場合など、やむ得ない場合は運転者が病院に電話することが可能です。公共の安全維持のための例は、警察官が、無線機が装備されていない車を同乗者無しで運転している場合で、犯罪捜査のために走行中連絡しなくてはならないケース等です。

安全を意識した点検や運転マナーを忘れずに

安全を意識した点検や運転マナーを忘れずに

車を運転している際に起こる出来事は、全てハンドルを握る運転者の責任です。運転する際の車の点検や運転のマナーは同乗者や周囲の車、歩行者の安全の確保のために必要なことばかりです。安全運転を意識することで周囲に対しての思いやりを持ち、交通規則を守って幸せな車生活を送りたいものです。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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