車のニュートラルギア(Nギア)は何のため?意味や正しい使い方を解説

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  1. 車のニュートラルギア(Nギア)がある意味は?
  2. ニュートラルギアを使うのは緊急時に使う!
  3. ニュートラルギアをむやみに使うとギアを痛める可能性がある
  4. 下り坂でニュートラルギアにすると燃費が良くなるのはウソ!
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オートマチック車(AT車)にはP、R、Dギアのほかにニュートラルギア(Nギア)がついています。普段から使用するわけではないので、何に使うのか、何のためについているのか疑問に思う方もいるかも知れません。今回はそんなニュートラルギアの意味や使い方を解説します。

車のニュートラルギア(Nギア)がある意味は?

ニュートラルとは、前進ギアにも後退ギアにも噛み合っていない状態

ニュートラルギア(Nギア)を選択すると、ギアがエンジン動力から完全に離れます。ニュートラルにしている間、エンジンをいくら回しても車は全く動きません。ニュートラルの意味は中立。まさにどのギアにもつながっていない中立状態になるのがニュートラルギアです。

同じ停車系のギアにパーキングギア(Pギア)がありますが、これは車の止める役割を持っています。Pギアは停めるため、Nギアは、止めも進めもしないという違いがあるのです。まとめるとこの通り。

NギアPギア

ギアの噛み合い

噛み合っていない

噛み合っている

タイヤは動くか

抵抗なく動く

ロックされ動かない

Pギアがタイヤをロックすることで車を止めているのに対し、Nギアは動力とギアを切り離すことで車を止めているというわけですね。

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ニュートラルギアを使うのは緊急時に使う!

押したり牽引したりして車を動かすときがニュートラルギアの出番

通常、駐車をする時にはPギアを使います。また信号待ちなどの停車時ではDギアに入れつつフットブレーキをかけるのが基本。車が止まっている時に使うというイメージのあるニュートラルギアですが、こう見ると使いどころがわかりませんね。

そんなニュートラルギアにも活躍する場面が“緊急時”です。車にトラブルが起き自力走行ができなくなった場合、ギアをニュートラルに入れた状態で、レッカー車や他の車に牽引してもらい、車を移動させるのです。

なぜニュートラルギアを使うのかというと、タイヤの回転に抵抗がかからないからです。Dギアの場合、ギアと噛み合っている分だけ、タイヤの回転に抵抗がかかってしまいます。もちろんタイヤに抵抗どころかロックがかかっているPギアは論外です。

車が動かなくなるトラブルは案外多く訪れるもの。エンジントラブルであったりエンジン以外の故障であったりと、それはある日突然やってきます。たとえメンテナンスをまめにしていたとしても、突然車が動かなくなることはどうしてもあるんです。

もし動かなくなった場所が踏切のど真ん中だったらと思うとゾッとします。そんな時にとっさに行動できるよう、今回紹介したニュートラルギアを使った故障車の移動は是非憶えておいてください。

ニュートラルギアにさえ入れれば、後ろから数人がかりで押すだけでも、車はなんとか動くものです。

ニュートラルギアをむやみに使うとギアを痛める可能性がある

頻繁にニュートラルギアに入れるのは本来の使い方ではない

オートマチック車は頻繁なギアチェンジを想定して設計されたものではありません。そのため、赤信号のたびにDギアからニュートラルギアに戻すといった頻繁なギアチェンジを繰り返していると、ギアを痛めてしまう可能性があります。

停車時にNギアに入れていると、後続車が追突しそうになった時などに急発進をすることもできません。ギアを守る意味からも、緊急回避に備える意味からも、信号待ちはDギアに入れた状態でブレーキを踏んでおくのが基本です。

ギアオイル(ATF)による冷却ができず、最悪の場合焼き付いてしまう

ニュートラルギアでの停車がギアを痛めるという話をもう少し詳しく説明します。

オートマチック車にはATF(オートマチックフルード)という液体が使われています。ATFはオートマチック車のエンジンとギアに関わる様々な働きをこなしているオイルで、その働きの一つがギアの冷却。ギアに触れたATFがギアの熱を受け取り、そのATFがオイルクーラーという場所で冷却されるという仕組みになっています。

ギアがニュートラルに入ったままだと、ATFによるギアの冷却ができません。最悪ギアが焼き付いてしまうこともあります。

エンジンやギアの焼き付きが起きると、修理には多額の費用がかかってしまいます。ギアの焼き付きを防ぐ意味からも、やはり信号待ちなどの停車時はニュートラルではなくDギアに入れるのが正解です。

下り坂でニュートラルギアにすると燃費が良くなるのはウソ!

燃料供給が止まるわけではないので燃費は良くならない

下り坂は一度加速がつけばアクセルを離しても車は進み続けます。そのため、“ギアをニュートラルにすることで燃費が稼げるのでは?”と考える人がいます。しかし、下り坂でのニュートラルギア使用が燃費の向上につながることはありません。むしろ燃費や安全面に悪影響を与えてしまうのです。

まず燃費について説明しましょう。ニュートラルに入れている間もエンジンは動き続けています。動力が伝わっていないというだけで、エンジン自体はアイドリングを続けているのです。なのでニュートラルに入れることによる燃費上のメリットはありません。

さらには、ニュートラルではなくDギアに入れて坂道を下る場合、ギアとエンジンがつながっていることから、エンジンブレーキがかかります。するとエンジンの動きは抑えられ、場合によってはアイドリング状態であるニュートラル時よりも燃費の向上が見込めるのです。

燃費向上という視点から見た場合も、下り坂ではDギアを選ぶべきです。

エンジンブレーキが使えないのでフェード現象やべーパーロック現象による事故のリスクも

下り坂でニュートラルに入れるとエンジンブレーキが効きません。そのため、スピードの調節を全てフットブレーキに頼ることになります。そうなると出てくる問題が、ブレーキトラブルであるフェード現象とべーパーロック現象。

フェード現象はブレーキパッドのゴムなどが、べーパーロック現象はブレーキフルードがそれぞれ加熱され問題を起こすトラブルです。どちらも結果としてブレーキング能力を失ってしまう大変危険なトラブルです。

それらの問題を引き起こさないためにも、下り坂はDギアでエンジンブレーキとフットブレーキを併用する走り方をしましょう。

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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