2010年6月17日
今日もEV
朝のラッシュも後半戦、というタイミングで、梅雨真っ只中とは思えない快晴の下をワニ助にての出発。首都高もまずまず流れエアコン使用ながらボード・コンピューターに10km/リッター超を記録して到着となったのは、八景島シーパラダイスの対岸に位置する日産の追浜工場に隣接の“グランドライブ”。で、ここで開催されるのは、年末の発売がアナウンスされている電気自動車『リーフ』の事前取材会。実はこのイベントはすでに先週からスタートしているらしく、その報告をすでにテレビ等でご覧になった方も居るのでは?
もっとも、この種の“取材会”となると大人数を一斉に集めてのトコロテン式プログラムを行うのが得意?な日産らしく、蓋を開ければ今回もやっぱり「試乗はコース2周でお願いします」との案内。日本に4台しかない一昨日のミニEだって「30分をお好きに」の貸し出しだったのに、4kmにも満たないコースを2周しただけでは正直なところ、試乗も何もないもの。でも、こんなチョイ乗り状態でも、各メディア共にきっと一見では真っ当なカタチの『試乗記』に仕立て上げちゃうんでしょうね。と、かくいう自分だって、依頼があれば何となくカタチになった原稿を書かざるを得ないわけですが。。。
というわけで、そんな試乗印象には余り深く触れたくない(られない)ので、そこはこの先ネットやら雑誌やらにも色々と露出をされるであろうそちらをご覧いただくとして、結局、本日一番タメになったのは、こちらは“時間無制限”で相手をして貰う事が出来たエンジニア諸氏との雑談の内容。どうやら、ゴーン社長は「補助金ナシでもガソリン車とコスト勝負が出来る時期を2年後と見込んでいる」(←そんなに早く!?)とか、「リーフ購入者にはインセンティブとして、日産レンタカーから“遠出”用の車両を格安で借りられるような仕組みを検討中」(←マル秘じゃないよね・・・)とか、「コースティング時の回生力やクリープ力は、とにかく一般的なCVT車と変わらない事を前提にチューニングしている」(←さすがは世界初の“量販”EV)などというハナシは、とても面白かった内容のホンの一部。
そうそう、第一報を耳にした際にちょっと不自然さを感じた「日産が低コストの急速充電器を内製」のニュースにもチェックを入れてみると、これまたやっぱり今まで耳にした事のない裏話があったりして。ここに書くと長くなっちゃいそうなので、それはまだネタとして持っておこうかな(笑)
ちなみに、駆動用バッテリーサプライヤーであるオートモーティブエナジーサプライ(株)の51%の資本を持つ日産には、どうやらもはやこの先、どこかライバルメーカーが革命的な新バッテリーをリリースしたとしても、そちらに乗り換えるというオプションはない模様。すなわち、このサプライヤーには「常に世界最先端を行くEV用バッテリーを供給する」という使命が課せられているわけで、果たしてこの先それをクリア出来るか否かもとっても興味深い事柄。
ところで、そんなバッテリーの小型化が達成された場合、「空いたスペースにバッテリーを加えて航続距離を伸ばす可能性はあるのか?」と訊ねたところ、「それで価格が上昇するのであれば、積まないと思う」というのがアンオフィシャルながらの回答。つまり、現時点での日産EVは、航続距離よりもコストにプライオリティが置かれているという事。“コンパクト・コミューター”か“スーパースポーツ”に特化をして複数所有層を狙う他社のEVに対し、いきなりCセグメントというマス・マーケットど真ん中に打って出た事も含めて、このあたりの戦略はなかなか面白いもの。
いずれにしても、リーフ開発に携わるエンジニア諸氏が、大変そうでありつつもとても活き活きと“楽しそう”に見えたのには、こちらも嬉しくなったもの。なるほど、エンジン付きの自動車に比べれば、EVは改めての自動車創成期に立ち会っているようなものですもんね。個人的には今でも、ゴーン社長が強引に進めるEVプロジェクトのシナリオには納得出来ない部分も多いけれど、それでもとりあえずは「それならお手並み拝見」と年末のデビューを指折り数えて待つ気分になって来たのも事実ではアリ。
というわけで、まるで真夏の炎天下のような陽射しの中を帰路に付いたら、なんと外気温計は途中で34℃などという冗談のような数値までを表示。でも、「明日からはまた梅雨空に逆戻り」という天気予報をラジオで聞きながら、“乗れた”よりも“聞けた”の方が遥かに価値の大きかった本日のタスクは終了。

筆者プロフィール:河村康彦
1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。
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