ジープ ラングラー 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
ジープ ラングラー 試乗レポート
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ラングラー初の4ドア車となるアンリミテッドをラインナップ

ジープを代表する本格的なオフロード4WDとして長い歴史を持つのがラングラー。そのルーツは1941のウィリスMBであり、その直系の子孫としてジープの伝統を今に受け継ぐモデルである。今回はほぼ10年振りのフルモデルチェンジで新型車に切り替わった。本国では昨年のデトロイトショーに出品されており、日本にはやや遅れての投入となった。

ボディは従来のモデルに比べると大型化され、骨格そのものもより頑丈な構造とされてオフロード走破性を高めたほか、新たにV型6気筒3.8Lエンジンを搭載して動力性能を高めるなど、さまざまな変更が行われている。走行性能と同時に安全性や快適性を向上させたのも今回のモデルの特徴だ。

さらに注目されるのはラングラーとしては初めての4ドア車となるアンリミテッドをラインナップしたこと。アンリミテッド後席に3人が座ることができ、ラングラーとしては初めての5人乗りモデルでもある。

このほか、最もラングラーらしいモデルとして悪路走破のための専用の仕様を用意した新グレードのルビコンも設定されている。

ジープの伝統を継承しながらリファイン

新型ラングラーの外観デザインは、従来からのジープの伝統を継承しつついろいろな部分でリファインが進められ、新鮮さを感じさせるものになっている。

ジープのトレードマークともいえる7本スリットのフロントグリルや丸型のヘッドランプ、台形のオーバーフェンダー、脱着式のドア、可倒式のフロントウインドーシールドなどは、いずれもジープ・ラングラーの歴代モデルが採用してきたものだ。同時にフロントウインドーはやや傾斜させて空力特性にも配慮するなど、新しい技術も取り入れている。

外観ではフリーダムトップと呼ぶ独自の脱着式ルーフを採用したのもひとつのポイント。アンリミテッドは唯一の4ドアコンバーチブルという特別な存在となる。

機能的でタフなイメージのインテリアはたくましさと同時に確実な操作を約束する操作性の高さが注目点。大型化されたシートはグレードによって防臭、防汚、褪色防止などの機能を備えたシート表皮も採用している。パワーウインドーやパワードアロックなどの快適装備は初の採用だ。 オーディオが最新の仕様になったほか、最上級グレードのアンリミテッド・サハラではカーナビも標準で装備されている。

このほかアンリミテッドはホイールベースがラングラーより520mmも長く、十分なラゲッジスペースも確保されている。

オフロードはもちろんオンロードでの走行性能も向上

搭載エンジンはV型6気筒3.8LのOHV仕様に変更された。146kWは200psほどの実力で、オフロード4WD用のエンジンとしては十分なもの。特に低速域でのトルク特性に優れており、じわじわと走ってオフロードを超えていくのに適した性能といえる。

アンリミテッドはホイールベースも長く、オンロードでの乗り心地にも配慮されている。時速100km超の領域での高速クルージングも可能なモデルだ。ただ、基本がオフロードでの走りを重視したモデルであるだけに、従来に比べれば快適な乗り心地も最近の乗用車的なSUVに比べたら特に優れているとはいえない。また角張ったボディデザインのため、走行中の風切り音も相当に大きめだ。

最もタフかつプリミティブなラングラーらしいモデルとして設定されたルビコンの性能は、正にオフロードを走るためのものだ。スタビライザーの連結を外す機構なども備えており、デフをロックしてスタビを外した状態で走ると、悪路というか岩や川や泥沼や崖など、道とはいえないようなシーンでも確かな走破性を発揮してくれた。クルマで走るようなシーンではないところまで行くことができるのがルビコンである。ルビコンにのみ6速MTが組み合わされている。

ジープらしいモデルに新しい選択肢が広がった

4ドア5人乗りのアンリミテッドが設定されたことが今回のフルモデルチェンジの大きな特徴だが、素直にこのモデルを選ぶかどうかとなると難しいものがある。

ジープらしいモデルといえるのはやはり標準のラングラーであり、本当にオフロードにまでクルマを持ち出そうとするならルビコンがイチ推しのグレードとなる。そこまで行かないユーザーでも悪路走破性やオフロードでの走りを楽しみたいなら、ラングラーのサハラなどがお勧めである。

アンリミテッドには5名乗車とラゲッジスペース、ハードトップなどの実用性があるとはいえ、快適性のレベルはさほど高くないので、お勧めできるユーザーも限定的なものになる。アウトドアレジャーなどのためにオフロードでの走破性が欲しいが、同時に乗員や荷物の積載性にも配慮したモデルが欲しいというユーザー向けのクルマである。

脱着式ルーフのフリーダムトップによって4ドアでオープンエアドライブが楽しめるのはアンリミテッドだけであり、オフロード性能と合わせて手に入れたいというユーザーには、新しい選択肢が加わったと見るべきだろう。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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