ジープ 新型グランドチェロキー[2014年モデル] 試乗レポート/九島辰也(2/2)
- 筆者: 九島 辰也
- カメラマン:茂呂幸正
ジープ史上初のエアサスを採用
では、ラレードとリミテッドの違いだが、一口に言うとサスペンションの形式が異なる。ラレードは通常のバネ式なのに対しリミテッドはエアサスがあてがわれる。現行型で採用されるエアサスという仕組みは、ジープ史上はじめてのもの。技術面でメルセデスとの提携があったためMクラスのそれが使われた。もちろん、それによる優位性は大きく、オフローダーとしての性能を上げた。オフロード走行では車高を上げ、アプローチ&ディパーチャーアングルを稼ぐ。アメリカでのオフロード走行はヨーロッパと違いロックセクションの比重が大きい。そのためこうしたアングルの拡大はそのまま性能アップにつながる。
ただ、今回の試乗コースではエアサスの恩恵はそれほど感じなかった。というのも試乗会会場となったのは山奥のキャンプ場。そのためワインディングメインのテストドライブとなった。
結論から言うと、ラレードの気持ちのいい走りに軍配が上がった。リニアで素直な挙動がSUVらしく好感を持つ。コーナーリングでは少しのロールをキープしながら安定した自然な感じのフラットライドを見せる。ボディ剛性も上がったのだろうか、ねじれ剛性にも強いキャビンは安心感もある。これに対しエアサスは少し不自然な挙動となる。どうしてもあとから入力に対し対処するといった感覚が拭い取れない。なので、ロールもいきなりある角度からグイッと持ち直す印象だ。ただ、直線での柔らかな感触からして高速道路ではかなりいい働きをすることが察せられる。エアサス本来のメリットはそこで発揮しそうだ。
ZF製の8速トランスミッションに変更
ところで、今回トランスミッションが8速になったことも見逃せない。サプライヤーはZFということだから、FR系の高級ビッグサルーンなどと同じパーツと思われる。6速のミッションケースと同じ大きさでさらに軽量化にもなる話題のギアボックスである。
そしてそれが滑らかな走りを実現する。クロスレシオのそれはまるでCVTのようなシームレスな感覚を与える。また、今回念願のパドルシフトが付いたことでよりアクティブな走りもトライできた。特にワインディング中心だったのでそれを多用した。コーナー手前の減速時にも多いに役立ったのはいわずもがなだ。それにこの8速ATは燃費にも貢献しそうだ。7速からオーバードライブ的に使える。もっと言えば、このクルマはレギュラーガソリン対応。見た目の迫力とは裏腹にお財布にやさしい走りができそうだ。
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