ジャガーの「イマ」がすべてここにある/「Jaguar F-TYPE S COUPE MT」ショートインプレッション(2/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志・島村栄二
勇ましいスポーツカールックでありながらも、いっぽうでは艶かしく動物的でもある
まず、なんといってもこのFタイプの最大の魅力は、この世にもレディーなスタイリングにあると感じる。
ロングノーズでショートデッキ。ボンネットにはハイスペックなスポーツカーであることを性能とデザインの両方から訴える、ボンネットベントがふたつ並ぶ。FタイプSには19インチタイヤが装着されていて、サイドビューも勇ましい。
こんなふうに、スポーツカーとして至極正当なルッキングのはずなのだけど、ジャガーの手にかかれば、スポーツカーもただのメカでなくなってしまうのだ。
ボディラインの構成があくまでも柔らかく、曲線を多用してまるで波打つ水面のように有機的なこと、そして、控え目に配置されたヘッドライトのサイズ感、その瞳の中の、直線と曲線の組み合わせがすべらかで、威圧感を与えないこと。
それらの円みをおびた印象が380psを発生させる獰猛なエンジンを巧妙に抱き、なんとも艶めかしくも動物的な、そう、ジャガーみたいなね、そんな雰囲気をまき散らしている。ジャガーってやっぱり、魔性の表現が上手だ。
シンプルなインテリアは本気(ガチ)のスポーツ仕様
エレガンス薫るエクステリアに反して、インテリアはカーボンなどを多用したシンプルな本気スポーツ仕様。シートはヘッドレストまで背面が一体型になっているセミバケット形状で、ややゆったりしているために日常でも窮屈さを感じることはない。
Fタイプならではの特徴として、今回試乗が叶ったのは6速のマニュアルトランスミッションを搭載しているのだから当然として、たとえオートマチックを選んだところであの、ジャガー共通のリング状シフトセレクターは搭載されない。シーケンシャルにも対応する、スティック式のシフトレバーが採用される。
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