フォルクスワーゲン up!vs ホンダ フィット(フィットハイブリッド) どっちが買い!?徹底比較(2/3)

【up! vs フィットハイブリッド 走行性能対決】滑らかな操作にはややコツが必要なup!と扱いやすいフィットハイブリッド

フォルクスワーゲン up!フォルクスワーゲン up!

次は走行性能を比較してみよう。

エンジンは、up!が3気筒の1リッター。最高出力は75馬力(6,200回転)、最大トルクは9.7kg-m(3,000~4,300回転)になる。車両重量が920kgと軽く動力性能に不足はないが、パワフルともいえない。

ATは「5速ASG」と呼ばれるタイプで、VW車に幅広く使われる「7速DSG」に似ている。

ただし、DSGが2つのクラッチを使うのに対してASGは1つだけ。そのために変速時の動きが粗い。

Dモードで走ると変速に時間を要し、加速時には前後方向の大きな揺れが生じる。運転のコツは、シフトアップのタイミングを見計らってアクセルを緩めることだが、けっこう気を使う。クラッチ操作の不要な「半自動AT」と割り切り、マニュアル操作を行った方が思いどおりに走れる。

25年くらい前までは、一部の高性能エンジンは扱いにくかった。ゲームの攻略のようにアレコレ試しながらコツをつかみ、滑らかに走ると満足したものだ。up!の「5速ASG」にも似た面はあるが、VWの「上質なツール」というブランドイメージとは合致しにくい。特にMT車の運転経験が乏しいユーザーは、試乗車で渋滞路なども試し、不都合を感じないか確認したいところだ。

ホンダ フィットハイブリッド

対するフィットハイブリッドは、当然ながら普通に走る。

1.3リッターエンジンとモーターの駆動力を合算したシステム最高出力は98馬力。

巡航時に軽くアクセルを踏み増すと、反応の素早いモーターの駆動力が即座に立ち上がる。車両重量はup!よりも120kg重い1,140kgだが、1.6リッタークラスの動力性能で加速力に余裕を感じる。ATも無段変速式のCVTだから加速感は滑らかで、up!よりも扱いやすい。

【up! vs フィットハイブリッド 走行性能対決】コーナリングでは重いフィットハイブリッドよりも軽快なup!が有利

フォルクスワーゲン up!フォルクスワーゲン up!

動力性能ではフィットハイブリッドが有利だが、コーナリングやレーンチェンジにおける軽快感ではup!が逆転する。

ボディの傾き方が少し大きめだが、良く曲がってスポーティな印象だ。対するフィットハイブリッドは、シャシー性能に対してボディが重すぎる。素早い操舵では挙動も若干乱れ気味で、up!に比べると楽しさは乏しい。

up!で興味深いのは、ポロやゴルフとは走りの性格が少し違うこと。

ほかのVW車は、後輪を踏ん張らせる安定指向。コーナーでは相対的に旋回軌跡を拡大させやすく、操舵に対する反応も鈍めに抑えられているが、up!はVW車では少し曲がらせる傾向が強く、徹底的な安定指向ではない。シャシー性能も影響しているが、先の「5速ASG」も含めて「クルマ好きのオジサン」に受けそうな車種だ。

乗り心地は、両車ともに街中では硬め。低い速度域では互角だが、速度が上昇すると両車で差が開く。up!は、車両重量の割に重厚感が高まって快適だ。フィットも粗さは薄れるが、up!ほど快適ではない。up!における高速域の乗り心地と運転感覚は、VWの素性を感じさせる。

乗り心地に差が付いた背景には、タイヤと指定空気圧の違いもある。

up!のタイヤは14インチ(165/70R14)のブリヂストン・エコピアEP25。指定空気圧は前輪側が200kPaで後輪側が180kPaと一般的だ。対するフィットは15インチ(175/65R15)で、ダンロップ・エナセーブ31。指定空気圧は前輪側が230kPa、後輪側が220kPaとup!よりも15~20%は高めになる。

これに車両重量の増加(ノーマルエンジンのフィット13Gより120kgほど重い)に対応した足まわりの設定も加わり、乗り心地が硬めになった。

ホンダ フィット

一方、1.3リッターのノーマルエンジンを搭載したフィットと比べたらどうか。

フィット13Gスマートセレクション(132万円)に横滑り防止装置を加えると142万5,000円。149万円の2ドア「move up!」に近い価格になる。

この比較でも動力性能はフィットが勝るが、ハイブリッドに比べると性能の差は縮まる。モーター駆動の支援がなく、登坂路ではエンジンノイズも高まりやすい。

コーナリング時などの軽快感は、車両重量が1,020kgと軽いので、ハイブリッドに比べると重い印象は受けない。それでも操舵に対する正確性はup!が勝る。乗り心地は13Gスマートセレクションも硬めの印象。市街地ではup!が少し快適で、高速道路に入るとさらに差が開く。走りは全般的にup!が優勢だ。

居住性、積載性、収納設備の使い勝手などは、ハイブリッドと同様でフィットが優位。荷室の広さはノーマルエンジン仕様ではさらに拡大し、up!に差を付ける。

up!が2ドア、フィットはリアシートのドアを持つことも大きな違いだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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