【試乗】ホンダ ヴェゼル ~岡崎五朗のクルマでいきたい(ahead)~
- 筆者:
SUVの力強さとクーペの美しさの融合
ヴェゼルのデザインテーマは「SUVの力強さとクーペの美しさの融合」だという。なるほど外観をよくよく眺めてみると、そこここにこだわりの造形が見つかる。
なかでも印象的なのは、フロントフードとフロントフェンダーをつなぐ大胆な造形と、後方に向け跳ね上がるダイナミックなキャラクターラインだ。
そうそう、サッシュに組み込んだ隠しリアドアハンドルも、クーペ的な雰囲気を生み出している要因のひとつである。
SUVの力強さを表現するのは大径タイヤと、それを包み込むワイルドなフェンダーだが、フェンダーがボディ同色仕上げになる最上級グレードでは、せっかくのSUVテイストが薄れてしまうのが残念なところ。残念さに輪をかけるのが、とても素敵に仕上がったブラウン内装が最上級グレードでしか選択できない点だ。
生産効率、販売効率の追求も大切だが、できることなら選択肢をもっと増やして欲しいところである。
パワートレーンは1.5L+CVTと、1.5Lハイブリッド+7速DCTの2種類。販売の約8割を占めるハイブリッドの走りは上々だ。
スポーツモードを選択すればキビキビと走るし、それ以外のモードではリアクティブフォースペダルが、違和感を感じさせない範囲でペダルの重さをコントロールしスムーズで燃費のいい走りをサポートしてくれる。
気になったのは乗り心地の固さ。開発担当車は「ホンダらしいスポーティーな走りを重視した結果」と説明してくれたが、ホンダらしさ=スポーティー。スポーティー=固い足。よって固い足=ホンダらしさという3段論法はマツダが10年前にやっていたのと同じこと。
足をしなやかに動かして接地性を確保するのがトレンドとなっているいま、考え方としてはいささか古さを感じてしまう。デザイン、パッケージング、パワートレーンにはキラリと光るところがあるだけに、マイナーチェンジに向け再チューニングを望みたい。
ホンダ ヴェゼル
「フィット」と共通のプラットフォームをベースに持つコン パクトSUV。上半身は艶のあるクーペ・デザイン、下半身はSUVならではの力強さを表現した。魅力はデザインだけでなく、走りのパワーやシートアレンジの充実など実用性も兼ね備えたところ。Xグレードでは、ガソリン車とハイブリッド車の価格差は34万円(FF)となっている。
ホンダ ヴェゼル 1.5 ハイブリッド X 主要諸元
車両本体価格:¥2,417,143 / 全長× 全幅× 全高(mm):4,295×1,770×1,605 / 車両重量:1,280kg / 定員:5 人 / エンジン:水冷直列4 気筒横置 / 総排気量:1,496cc / 【エンジン】最高出力:97kW(132ps)/6,600rpm / 最大トルク:156Nm(15.9kgm)/4,600rpm / 【モーター】最高出力:22kW(29.5ps)/1,313-2,000rpm / 最大トルク:160Nm(16.3kgm)/0-1,313rpm / JC08 モード燃費:26.0km/L / 駆動方式:前輪駆動
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