2009年下半期ベスト・バイ・カー／岡本幸一郎(1/2)

【国産車編】トータルベストカー／ホンダ ステップワゴン

新型ステップワゴンが身につけた、5ナンバーハイルーフミニバンとしての実力の高さを、私は大いに評価しています。

まず、セレナやヴォクシー／ノアと比べても、こちらのほうが走りがイイ。持ち前の軽快さは健在で、乗り心地もよくなっています。

そして、ようやくCVTを手に入れたわけですが、やっぱり4速ATよりもイイですね。さらに、ミニバンとして「ここがこうなっていてうれしい！」と感じさせる多くの要素を持っています。

段差がなく室内にアクセスできる乗降性はもとより、低床のままルーフが高くなったので、室内の広々感が増しているし、床下収納式になった3列目シートは、女性でも簡単に操作できるところもありがたい。

さらに、マルチビューカメラやスカイルーフ、フローリングフロアの設定など付加価値の高さもポイント。「コレいいな！」が凝縮されたクルマだと思っています。

内容のわりに価格はリーズナブル。コストパフォーマンスの高さでも、他モデルより一歩抜きん出たと思います。

【国産車編】ベストハンドリングカー／スバル インプレッサ WRX STI specC

インプファン待望のスペックCが、現行モデルでもようやく発売されたわけですが、これがなかなかの仕上がりでした。

もともと標準のWRX STIだって素晴らしいフットワークを持つクルマ。それに対しスペックCは、細かな変更点はすでにお伝えしているとおりですが、実際のドライブフィールにおいても回頭性が高まり、ロールが抑えられたほか、リア機械式LSDによるトラクション、ボールベアリングターボによるレスポンス向上など、標準のSTIに対する走行性能の向上を実感することができます。

さらに今度のスペックCは、今までとはちょっとキャラクターが違っているのです。従来はストイックに性能を追求しており、快適性は二の次とされていましたが、今回はスパルタン過ぎることもなく日常使用にも十分に耐えうる仕上がりとなったところもポイントです。

しかも、価格は標準のSTIとまったく同じというのも驚き。STIを買うのに、スペックCを選ばない理由なんてないのでは？と思ったほどです。

2009年末受注分まで900台の限定販売ですが、あとどのくらい残っているのかな？

【国産車編】ベストデザインカー／日産 フーガ

まったくやられました、このスタイリング。

最初に写真を見たときは、デフォルメされたデザインで、保守的なオヤジさんの多い日本では売れなさそうだとネガティブに捉えていたのですが、実車を一目見たとたん、その思いは一変！

今では車格云々を抜きにして、スタイリングだけならジャガーやマセラティとも張り合えると思っています。

直線や平面部分のまったくない、どこにも隙のないエクステリア。その流れを汲みつつ、触感にもこだわったレザーシートや、パネルに銀粉を刷り込んで新しい感覚の質感を与えたインテリア。どちらも非常に魅惑のデザインです。

ただ、初期受注は好調なようですが、日本ではやがて売れなくなるかもしれません。でも、それでいいじゃないですか。あまり日本市場に配慮していたら、ここまで潔いデザインにはならなかったでしょう。

とにかく日産さん、よくぞこのデザインで出してくれました！これほどセクシーなセダンが国産メーカーから生まれたことを誇らしく思います。

古希（70歳）を迎えたウチの父にも乗って欲しいけど、似合わないかな・・・？