発売前から話題独占のワゴンHV!プリウスワゴンとフィットシャトル/大谷達也(3/3)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:茂呂幸正/オートックワン編集部
7人乗りの選択肢ではミニバン扱いもできるプリウスワゴン
とはいえ、対するプリウスワゴンも手をこまねいているだけではない。
まず、ゆとりあるボディサイズを生かして、フィットシャトルにはない7人乗りを用意。しかも、この7人乗りには、従来のニッケル水素バッテリーに換えて高性能なリチウムイオンバッテリーを搭載、スペース効率の向上に生かしている。1列目、2列目シートの、特に横方向の広さでも、寸法的に余裕のあるプリウスに分があるはずだ。
いっぽうで、これまでプリウスの弱点とされていた乗り心地や静粛性の面にも改良が施された。特に、乗り心地面で期待が持てそうなのが、「ばね上制振制御」と呼ばれる新機軸。これは路面の凹凸を駆動用モーターの力で打ち消そうとするもの。
ちょっとわかりづらいが、たとえば大きな段差に乗り上げようとするとき、直前でアクセルをちょっと抜いてあげると前輪が沈み気味になり、結果的に段差に乗り上げた際の衝撃を和らげることができる。これと同じことを、モーターの力で自動的に実現しているのが、この「ばね上制振制御」であろう。
また、ボディの要所要所に遮音材、吸音材、制振材などを配置、これまで以上の静粛性を実現したという。
いかがだろうか?どちらもメーカー期待のモデルであるだけに、全方位にわたる改良が施されているようだ。
とはいえ、プリウスの高級・省燃費路線、そしてフィットのお手軽・総合性能路線、という前述の位置づけは基本的に変わっていないと思われる。
この影響が端的に表れているのが価格で、フィットシャトルのハイブリッド仕様が181万円からとすでに発表されているのに対し、プリウスワゴンの価格は未発表ながら、現行型プリウスは最廉価版でも205万円だから、少なくとも235万円前後あたりの値付けになるはず。また、プリウスワゴンの7人乗りミニバン仕様では高価なリチウムバッテリーを採用するので、300万円くらいではないかと予想している。
しかも、全長は20センチを越す差がある。したがって、プリウスワゴンとフィットシャトルは完全に別のクラスのクルマといえるかもしれない。
それにしても、もともとの人気モデルをさらに磨き上げているのだから、プリウスワゴンとフィットシャトルが好評を博すのは間違いのないところ。
きっと、プリウスとフィットは今後も激しい販売合戦を繰り広げることだろう。
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