2009年下半期ベスト・バイ・カー/森口将之(2/2)
- 筆者: 森口 将之
【輸入車編】トータルベストカー/ルーテシア ルノースポール
今年7月、弟分のトゥインゴ ルノースポール(RS)とともに、フランスで1,000㎞以上を走破した。
そこで感じたのは、総合性能の高さだった。石畳の街中でも乗り心地はしっとりしていて、高速道路ではどっしり直進する。1日500㎞乗ってもまったく疲れない。室内は4人の大人を快適に収め、ラゲッジスペースはスーツケースを楽に飲み込む。
1台のクルマとして、完璧に近いのだ。それが心地よいサウンドを響かせながら豪快に加速し、ペースを上げても圧倒的な接地感を武器にグイグイ曲がっていく。しかも価格は300万円以下。
エコ+デフレという現代にフィットしたスポーツモデルである。
【輸入車編】ベストハンドリングカー/レンジローバー ヴォーグ
ハンドリングがいいとは、コーナーを速く曲がれることではない。
遅くてもいいから、キャラクターにふさわしい操縦感触を持ち、乗り手の意志どおりに曲がり、どこまでも走り続けたくなる心地良さを備えたクルマだと考えている。その点で印象的だったのが、レンジローバー ヴォーグだ。
繊細なステアリングは操舵自体が快感になるし、コーナーでは4WDの安定感をベースとしつつ、ノーズが動き、ロールして、ボディが旋回し、というプロセスを通じて、クルマとの対話が楽しめる。
スポーツカーみたいにキビキビ走るSUVが増えたからこそ、40年前から走りの世界がまったくブレないこのクルマが魅力的に見える。
【輸入車編】ベストデザインカー/シボレー カマロ
初代カマロのセルフカバーといえるデザインではある。
でもそれが、モダンなクーペでは味わえない迫力や躍動感を生み出している。それでいて、キャビンやバンパーの処理はちゃんと今風になっている。69年式の大径丸型ヘッドランプをLEDとHIDで再現したところなどは最高だ。
しかもインテリアがまた凝っている。ドライバーの前に四角い速度計と回転計を置き、センターコンソールの奥にサブメーターを4つ配置。そして助手席側はだだの壁。
ラグジュアリークーペの対極を行く、シンプルなカッコよさが新鮮だ。ビートルズやマイケルと同じで、いいものは時代を超えていい。それを教えてくれるデザインである。
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