F1は速さを競うだけではない?マシンの「色」で美しさも競う!?(2/3)
- 筆者:
- カメラマン:ホンダ技研工業
美しさは効率に直結、だから美しいチームは強い
自動車レースの現場で“見映え”は非常に重要だ。F1チームやインディカーの美しさに対する考え方は、ピットにも現れている。その考え方とは“ピットはスポンサーのショールーム”というものだ。
セッティング作業や修復を行なうピットガレージは、チリひとつ落ちていないのは当たり前。ピットガレージ床面には絨毯が敷かれ、壁は美しいパーティションが囲まれる。マシンにはケミカルのワックス剤と磨きのためのウェスを持った専用のスタッフがいて、常にボディを磨いている。
最近では、スーパーフォーミュラもこうした見映えが進化してきた。もう一歩踏み込んで、マシンのカラーリングが美しく輝けば、人気が上がるはずだ。
20年ほど前、ニッサンGT-Rがル・マンに参戦していた時、『日本車はピットが汚い限り、ル・マンには勝てない』という原稿を書いたことがある。美しさと速さは密接な関係があるからだ。
美しいピットは、要は整理されている。メカニックがスパナをどこに置いたからわからなくなって探しているようでは、迅速な作業はできない。
そうした基本的な考えで、GT-Rの隣のポルシェのピットは、床に絨毯が敷かれて美しく整えられ、掃除機を持ったスタッフが常時床面を掃除していた。掃除機で吸われてしまうから、床にボルトを落したりしなくなるという効果もある。美しさは効率に直結し、だからポルシェは強かった。
サーキットも日本は、今ひとつ美しくない
翻って、サーキット全体を眺めると、日本のサーキットは、もうひとつ美しくない。ポイントのひとつは、ランオフエリアの芝生だ。たとえば、イギリスGPの会場であるシルバーストン・サーキットは、飛行場跡地を利用しただだっぴろい場所だが、最近リニューアルしたこともあり、芝生の手入れが行き届いている。
イギリスGPが行なわれるのは6月から7月であり、1年中で最も天気がいい時期。だから芝生がきれいな季節なのだが、それだけではなさそうだ。
日本のサーキットは、芝が枯れていたり、縁石との境目が美しく刈りとられていなかったり。日本には四季があるから、という理由もあるが、イギリスのゴルフ場では、季節の変化に合わせて、数種類の芝生を養生し、常に緑色にしているという話も聞く。もちろん、そうしたクォリティを確保するためには予算も必要だが、見映えの大切さが深く理解されている、ということだ。
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