THE NEXTALK ~次の世界へ~ 本田技研工業 グローバルテレマティクス部 サービス開発室 主任 野川忠文 インタビュー(2/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
サーバーとフローティングカーデータが決めて
日々進化を続けるホンダのインターナビは、一度使ってみると、他のナビゲーションでは満足できなくなるとの声を耳にする。そもそも、インターナビと普通のカーナビゲーションとは、何がどう違うのか?
【野川忠文】インターナビもカーナビゲーションであることに変わりありませんが、特長は、通信ができることです。
当初は、お客様の携帯電話とつないで情報コンテンツを取ってくる仕組みでしたが、2010年から専用の通信機器を標準搭載し、リンクアップフリーのサービスを開始しました。リンクアップフリー対応のインターナビをお買い上げいただくと、サーバーのサービスが通信費無料でご利用いただけます。 要約すれば、サーバー連携型であるのがインターナビの特長で、通信しないカーナビゲーションと比べ、情報の量や精度が格段に違います。
もう一つは、自動車メーカーとして初めて「フローティングカーシステム」を2003年から導入したことです。お客様の走行情報を、いまの言葉で言えば“シェアする”サービスで、アップロードされた走行情報を交通情報化し、提供します。
これによって、従来はVICS(Vehicle Information and Communication System/道路交通情報通信システム:筆者注)が設置されている道路以外の情報はわかりませんでしたが、それ以外の道路でも、Honda車が走行していれば、走行情報から渋滞予測などして提供できます。
一台のクルマに搭載されたカーナビゲーションという機器一基の限られた能力だけでなく、情報拠点となるサーバーを備え、そこと通信することで、より多くの精度の高い情報をドライバーが手に入れられるのが、インターナビだというのである。
そのサービスは、年を追うごとに進化している。
【野川忠文】2008年から開始した「インターナビ・ルート」では、ルート計算をサーバーで行うことによって、普通のカーナビゲーションでは計算できないようなルート案内ができます。
2011年3月から開始した「インターナビ・リンク」では、インターナビを装着していなくてもHonda車ユーザーであればどなたでも、パーソナルコンピュータや携帯電話、スマートフォンなどを使って、ドライブに役立つ交通情報や、燃費などの情報サービスを無料で受けることができます。
すなわち、カーナビゲーションでは、クルマに乗ったときだけ情報が得られたのに比べ、クルマ以外の場所でもドライブ計画を立てたり、燃費を調べたりできるので、自分たちはマルチデバイスといった呼び方もしています。そして、カーライフを豊かにするサービスという大きな括りで提供しています。
2008年からの「インターナビ・ルート」では、目的地に早く着くだけなら当たり前で、ほかにも「最速無料優先ルート」「ETC割引ルート」「省燃費ルート」「スマートルート」など、ニーズに応じた多彩なルートを選択できる。
こうしてインターナビのもたらす威力を聞くと、これまでのカーナビゲーションがとても幼稚な機器に思えてしまう。それは、道案内をしてもらうだけでは不十分なほど、クルマを取り巻く使用環境が、複雑化していることの表れでもある。
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