ホンダ N BOX 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)

ホンダ N BOX 試乗レポート/渡辺陽一郎
ホンダ N BOX 走行イメージ ホンダ N BOX 走行イメージ ホンダ N BOX 走行イメージ ホンダ N BOX フロント ホンダ N BOX リア ホンダ N BOX フロント ホンダ N BOX リア ホンダ N BOX サイド ホンダ N BOX フロントマスク ホンダ N BOX テールランプ ホンダ N BOX ホイール&タイヤ 画像ギャラリーはこちら

前輪駆動ベースの軽自動車では最も広い室内空間

ホンダ N BOX インパネ
ホンダ N BOX フロントシートホンダ N BOX リアシート

居住性はどうか。まずはインパネのデザインだが、価格相応の仕上がりで質感に不満はない。ただし、タントやパレットに比べると収納設備の数は限られる。インパネの上部も、フタの付いたボックスではなくトレイになる。

フロントシートの座り心地は快適。着座位置を上下に調節するリフターは付かないが、座面の奥行寸法やバックレストの高さには余裕を持たせた。座り心地も柔軟。ベンチタイプだから、ゆったりと快適に座れる。

リアシートは足元空間の広さに驚く。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先には握りコブシが4個入る。VIP向けセダンのセンチュリーでも握りコブシ3個だから、かなりの余裕だ。

ちなみに前後に座る乗員のヒップポイント間隔は、Nボックスでは1150mmに達する。ワゴンRの985mm、パレットの1025mm、タントの1135mmを超えて、前輪駆動ベースの軽自動車では最も広い。セダンの一般的な数値は800~950mm前後だから、背の高い軽自動車のリアシートはいずれも足元空間が広いが、その中でもNボックスはダントツのゆとりを持たせた。

ここまで車内を広く取れた背景には、前述のセンタータンクレイアウトのほか、エンジンも新開発にして空間効率の向上を図ったことが挙げられる。前面衝突時にエンジンの補機類を効果的に壊す工夫も盛り込み、車内の最前部に置くことで室内長を伸ばした。ライフに比べると、ペダルの位置が70mm前寄りに付く。

ホイールベースも2520mmと長い。前輪駆動の軽自動車ではダイハツ車の2490mmを追い抜いて最長になり、フィットと比較しても20mm上まわる。iは2550mmだが、エンジンをボディの後部に積むから比較はできない。

ホンダ N BOX スライドドアホンダ N BOX リアシート(跳ね上げた状態)

リアシートの座り心地はどうか。座面の奥行はフロント側の480mmに対して475mmとほとんど同じだが、実際に座ると460mmくらいに短く感じる。バックレストに相応の厚みがあり、何気なく腰掛けると着座位置が少し前寄りになるからだ。意識的に深く座れば、大腿部までサポートされる。

Nボックスのセールスポイントとして、ボディ後部の両側に装着されたスライドドアも重要だ。この間口も広い。開口部の寸法は上下が1245mm、左右が640mmだから、パレットの1230mm/580mmを上まわる。

注意したいのは、スライドドアの間口を広く取るために、センターピラー(ルーフを支えるボディ中央部の柱)が少し前寄りにあること。長身のドライバーが運転席のスライド位置を後方に寄せて座ると、乗降時にピラーが邪魔をする。左側の視界も若干だが遮られやすい。

それでも窮屈感なく乗り降りできるスライドドアのメリットは大きいだろう。

以上のようにNボックスは、エンジンのサイズをコンパクトに抑えて室内長を長く確保し、センタータンクレイアウトで床を低く下げ、上下/前後の両方向で室内空間を拡大した。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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