無限フィットハイブリッド 試乗レポート/岡本幸一郎(2/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
フィットハイブリッドの理想に近い足まわりへと仕上げられた
2011年2月のフィットRS用に続き、4月にはフィットハイブリッド用スポーツサスペンションが発売された。
無限では、スポーツサスペンションの開発にあたり、クローズドコースだけでなく、ワインディング、市街地での乗り味など、さまざまな場所で実際に走りながら仕様を煮詰めていくため、発売時期は対象車両の発売後およそ6ヶ月後になるのが一般的という。
また、通常はマイナーチェンジで新たにスポーツサスペンションを設定することはないのだが、今回のフィットマイナーチェンジは内容が大掛かりであったことと、各グレードのキャラクターがより明確になったことから、それぞれに特化した新しいサスペンションが必要と考えて開発に着手したという。
たとえばフィットRSのサスペンションでは、フロントに大径ピストンを採用したり、スポーツタイヤの装着を想定した設定とされたが、フィットハイブリッド用では、エコタイヤからスポーツタイヤまで、さまざまなタイヤにマッチする仕様とされている。
また、ハイブリッド特有といえるリアへのバッテリー搭載などによる重量バランスも考慮した、専用のサスペンションセッティングを施したという。
そして実際に試乗し、「これがフィットハイブリッド!?」と思うほどの仕上がりに感銘を受けた。
ダンピング特性はけっこうハードなのだが、フリクションがなく初期から良く動くおかげで、ゴツゴツ感がまったくなく、乗り心地は快適そのもの。
それでいて大きく姿勢が変わりそうなシチュエーションではギュッと締まって動きを抑え、振動も1~1.5バウンドぐらいでスッと収束させてくれる。
コーナリングではサンルーフが付いた車両ということもあり、ハンドリング面では不利(クルマの高い位置が重くなるため)であるにもかかわらず、外輪が沈む感じも小さければ、内輪が浮く感覚もない。
おかげでバネ上の動きがあまり乱れないため、タイヤがずっとキレイに接地した状態を維持するので、非常に素直で正確なライントレースが可能だ。
また、リアの安定性が極めて高いことが印象的だ。
フェイントを試してもビシッと安定しているほどで、普通ここまで安定していると、アンダーステアが強く出そうなところだが、このクルマはいたってニュートラルステアで、舵の応答性も素晴らしい。
タイヤをミシュランのパイロット・プレセダの195/50R16サイズとしたのもベストチョイスだと思う。
このぐらいの車両重量のクルマに、このサイズのタイヤを履かせると、ベタッとしてドライビングプレジャーが薄れる可能性もあるのではと思うところだが、このクルマは安定した中にキビキビ感のある、絶妙な乗り味に仕上がっている。
また、一連の印象について、速度域が変わるとそれにつれて変化していくものだが、その印象の変化の幅が小さいことも印象的だった。
これぞ無限味!?
フィットハイブリッドにおける理想に近い足まわりといえるだろう。
この記事にコメントする