2013 ホンダ 雪上試乗会レポート前編「プレシジョン・オールホイール・ステア」「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」編(2/2)

2013 ホンダ 雪上試乗会レポート前編「プレシジョン・オールホイール・ステア」「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」編
ホンダの先進技術搭載車両「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」搭載車(左奥)と「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」搭載車(右手前)[共にプロトタイプ] 「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」(左)と「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」(右)[共にプロトタイプ] 「2013 Honda 雪上試乗会」試乗車ラインナップの一例[市販モデル] 「2013 Honda 雪上試乗会」会場の模様 「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] 「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] 「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] 「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン1 「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン2 「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン3 「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン4 画像ギャラリーはこちら

「プレシジョン・オールホイール・ステア」と「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」の違いは?

前置きが長くなった。さっそく雪上試乗の話に移ろう。まずは今回の目玉「プレシジョン・オールホイール・ステア」と「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」について。

両者は、つまるところ狙いは概ね同じ方向性なのだが、アプローチの仕方がまったく違うところが面白い。実はすでに両者に別の機会に栃木プルービンググラウンドにおいてドライ路面で試乗したことがあるのだが、雪や氷の上でどのような走りを披露してくれるのか興味深いところだ。ホンダはもともと4WS技術に関して積極的なメーカーだが、これプレシジョン・オールホイール・ステアも、リアのトーを変化させることでヨーモーメントをコントロールするというもの。そして、同様の既存のシステムと異なり、プレシジョン・オールホイール・ステアでは左右独立して制御を行なっている点がポイントだ。これにより、リアタイヤの使い方の自由度がこれまでよりも広がっている。

左右独立で後輪を制御「プレシジョン・オールホイール・ステア」

「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン3

「プレシジョン・オールホイール・ステア」の試験車両で、あらかじめ設定された短いスパンでのスラロームと、もう少し幅を拡げたコースでのレーンチェンジを試したところ、本当に思い通りに走ってくれた。

ハンドル操作に対して素直に向きが変わり、フロントがスッと入っていって、中速程度であれば、後輪を前輪と逆相にすることで、よりターンインをスムーズに行ない、リアもキレイについてくる。

つづいて、欧州郊外のワンディングを模したという「EU郊外コース」へ。

やはり、後輪を操舵して無理に姿勢をつくるのではなく、ごく自然な仕上がりになっている中で、意のままの曲がり、走りを楽しめることに感銘を受けた。これと同様のことは以前、舗装路で試乗したときも感じたのだが、はるかにグリップの低い雪上でも同じように運転する楽しさを感じられたのはたいしたものだ。なお、同システムは「アキュラRLX」(日本未発売)より市販車に採用されている。

「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」[試験車両]「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」[試験車両]「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」[試験車両] テスト走行シーン3「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」[試験車両] テスト走行シーン1「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」[試験車両] テスト走行を終えた岡本幸一郎氏

3モーターハイブリッド搭載の「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」

「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン5

もう一方の「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」搭載車も同じコースで試乗した。

こちらは、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)に内蔵したメインのモーターのほか、後輪の左右に1つずつ独立したモーターという、計3つのモーターを搭載する。

後輪の左右において、外輪にプラスを、内輪にマイナスのトルクを与える(=ブレーキをかける)ことで後輪の左右の駆動力を自在に制御することが可能となっている。アクセルオンでは当然、アクセルオフでも機能して、モーターの駆動力によりヨーを発生させている点が、2004年発売のレジェンドに採用された従来の機械式のSH-AWDとの大きな違いだ。

ハイブリッドカーゆえ、バッテリー残量の余裕があれば、走り出してからしばらくは(おとなしく走っていれば)モーターのみでの走行となる。そして同じようにスラロームを試すと、ステアリングワークやアクセルワークに対する反応はけっこう違う。もちろん、いくら前出のプレシジョン・オールホイール・ステアにもトラクションコントロール機能が付いているとはいえ、トラクション性能は4輪駆動(AWD)のこちらが上回る。またスラロームやレーンチェンジでは、ステアリングを切る角度がこちらのほうが圧倒的に小さくてすむ。こちらも以前の舗装路での試乗と今回の雪上で、概ね同じように感じたのだが、以前は操舵量が大きいときに巻き込むような動きを感じたところ、それがあまり感じられなかった。振り回して楽しもうという乗り方には適さないかもしれないが、より安心感は高い。思わずペースがかなり速くなってしまった。

「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両]「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両]「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン1「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン3「Honda プレシジョン・オール・ホイール・ステア」(左)と「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」(右)[共にプロトタイプ]
「Honda SPORT HYBRID SH-AWD」[試験車両] テスト走行シーン6

ヘッドアップディスプレイで、SH-AWDのシステムがどのような制御を行なっているかの表示を見ていると、ただまっすぐ走っても、左右輪で個別にちょこまか細かく制御していることがわかる。それは直進性を高次元で維持するためのものでもあり、よりドライバーが意図したところに進めるように、ステアリングでの意思表示に合わせ、まっすぐでもステアリングを切っていても、その舵角で曲がっていけるように最適な制御を行なっている、というわけだ。

「直進でもコーナリングでも考え方は同じ。極端な話、直線というのは半径が無限大のコーナーと考えられます」と開発者は語る。

とかく我々は、ようするに直進安定性とコーナリング性能を別々の要素と考えがちだが、SH-AWDにおいては同じものとして考えているのだという。なおこのスポーツ・ハイブリッドSH-AWDに搭載される新技術の一部は今後、次期「レジェンド」に搭載されるほか、2015年頃に発売予定の高級ミッドシップスポーツカー、次期「NSX」にも採用される模様。大いに期待したいところだ。

[レポート:岡本幸一郎]

【後編「CR-V・N ONE・N BOXからアクティトラックまで! ホンダの市販車で雪上試乗を満喫!」にも乞うご期待!】

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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