ホンダ オデッセイ 試乗レポート

3代目は再び新しいミニバンジャンルの確立を狙った意欲的なモデル

94年に登場した初代オデッセイは乗用車ベースのミニバン市場を確立させたクルマとし大ヒットした。2代目はキープコンセプトで、次々に出現するライバルと激しい戦いを繰りひろげた。3代目は再び新しいミニバンジャンルの確立を狙った意欲的なモデルとして登場したのだ。

新しいミニバンとは、走るミニバン。ホンダのクルマは走りが命、と考えた。そのためにボディは低く、ワイドにしたい。しかしミニバンは室内の広さがポイントになる。

そこで全高を一気に80㎜下げ、室内高は従来型より5㎜高くするということを実現する ボディを開発したのだ。床を低くしてこの2つの条件をクリアした。

マフラー、ガソリンタンク、サスペンションを低く、小さくしたのだ。もちろん室内の使い勝手もいろいろなアイデアが実用化されている。ホンダらしいユニークなクルマの登場だ。

3タイプ用意される2.4L 直列4気筒DOHC i-VTECエンジン

新型オデッセイのエンジンは直列4気筒DOHC i-VTECの2.4Lだけ。ただしチューニング は駆動方式とグレードにより、3タイプある。

メインになるのは160ps/5500回転、22.2kgm/4500回転のノーマルタイプ。

スポーティモデルの「アブソルート」用は200ps/6800回転、23.7kgm/4500回転がFF車に、190ps/6800回転、23.2kgm/4500回転が4WD車用に用意される。ノーマルグレードの4WD用はFF車と同じエンジンになる。

組み合わされるミッションは無段変速CVT＋7速マニュアルモード付が、160psエンジン FF車用。5速マニュアルシフトモード付ATがアブソルートと4WD用に用意された。

160psエンジンは全車、超-低排出ガス認定を取得、10・15モード燃費はFF車で12.2km/Lを達成した。アブソルート用のエンジンは優-低排出ガス認定で10・15モード燃費はFF車 で11.0km/L。こちらはプレミアムガソリンを使用する。

スポーツモデルという感じではないが

ノーマルエンジン（160ps）のグレードはS、M、Lの3グレード。最上級のLグレードFF車にまず試乗する。

CVTをDレンジにシフトする。スタートから3000回転あたりまではややトルク不足。 0→100km/h加速12秒台というのも、決してスポーティミニバンの数値ではない。しかし CVTの制御がち密なので走行中の不満はあまりない。アクセル/ブレーキの操作や車速などから走行状況を判断し、適切な変速比を選択して走行するので、不自然な加減速がないのだ。

さらにアップダウンのある山道ではマニュアル7速モードを使えばかなりスポーティな 走りも楽しめる。重心の低いコーナリングもロールが小さく安定している。乗り心地もゴツゴツしたかたさがなく快適だ。

一方、FF200psのアブソルートはトルクの盛り上がりもフラット。Dレンジでの0→100km/h加速は11秒台。スポーツモデルという感じはあまりしない。

ゆったりと、そして走りも楽しめるミニバン

室内は3列シートだが、セカンドシートはシートの厚みもあり、着座は高め。ヘッドス ペースはあまり広くはない。全グレード3人掛けのベンチシートになる。

サードシートは背もたれのみ2分割。可倒させるのは電動スイッチを押すだけ。約9秒というスピードで格納と復帰ができる。これは便利だ。

居住空間は、セカンド、サードシートともに大人が座っても疲れないほどのスペースは確保されている。サードシートまで使用頻度の高い人にもすすめられる。

160psか200ps（190ps）かだが、2車を試乗した範囲では160psの7速で充分。CVTはスムーズだし、スポーティ走行も充分に楽しめた。アブソルートを選ぶ必然性はあまり感じなかった。アクセサリー類も、安全装備を含めて、ノーマル仕様で充分、とくにLグレー ドは充分だろう。