ホンダ モビリオスパイク 試乗レポート

  • 筆者: 西沢 ひろみ
  • カメラマン:小宮岩男
ホンダ モビリオスパイク 試乗レポート
リアスタイリング フロントグリル ラゲッジスペース ラゲッジアレンジ シートアレンジ フロントシート サイドビュー リアシート エンジン フロントスタイリング 画像ギャラリーはこちら

いわゆる派生機種ではあるが、モビリオとまったく異なる個性が与えられていた。

リアスタイリングフロントグリル

フィット、モビリオと絶好調の販売を続けるホンダが、「スモールMAXシリーズ」の第3弾として誕生させたのが「モビリオ スパイク」。ネーミングからわかるように、ホイールベースまでモビリオと共有する完全な派生機種だ。けれどもコンセプトは完全に差別化されている。生活の道具として3列シートを配置したモビリオに対して、スパイクはガレージボックスをイメージ。ラゲッジの使い勝手に力を注いだ5人乗りの2列シートとなっている。

スタイルはモビリオ同様に四角いカタチ。だけど厳ついフロントマスクと極太のリアクォーターピラーが個性を主張していて、まったく違うクルマの印象を受ける。ガレージの扉を思わせる大きなテールゲートも特徴のひとつだが、バンパーに埋め込んだリアコンビネーションランプは、後続車が見づらさを感じるかもしれない。

ラゲッジの使い勝手にこだわった、新しいジャンルのクルマといっていい。

フロントシートシートアレンジ

スパイク最大の自慢であり魅力といえるのが、自分流にとことん使えるラゲッジスペースだ。ウルトラカーゴと呼ばれるこの空間は、新しいアイディアが盛り込まれている。そのひとつが、ブレイングボードをフロアの表皮材に採用したこと。泥や汚れ、水滴が拭き取りやすいおかげで、スポーツや遊び道具が気軽に積み込める。収納も左右上下、フロア下に合計5ヶ所と多く、ウエットスーツやスキーウエア、ランタンが掛けられるフックもテールゲートの2ヶ所に装備された。

ワンアクションで後席の背もたれを倒すと、なんと1045Lもの大容量のフラットなスペースが生まれる。また背の高い荷物は、後席をチップアップすることで高さ1390mmまで積載が可能だ。ただし、シートを元に戻すときは、フィットと同じで座面がいっしょに持ち上がる。このため、かなり重たさを感じてしまうのだ。ここは、もうひと工夫が欲しいところ。

前席はセパレートタイプのモビリオに対して、スパイクは大型アームレスト付ベンチシートを採用。広々感と座り心地のよさはスパイクに分があがるだろう。

新VTECエンジンと7スピードモードでスポーツ性もアピール。

サイドビューエンジン

車重に対してエンジンのパワー不足を若干感じるモビリオに対して、スパイクは元気のいい走りを披露する。それもそのはず、燃費志向のI-DSIエンジンではなく、新開発の1.5L VTECエンジンが搭載されたからだ。

確かに、発進時の低速トルクではモビリオが優る。けれども抜群の吹き上がりと、軽快な加速が、アップダウンをものともせずに車速を気持ちよく伸ばしていくのだ。5000rpmの常用回転域はモビリオと変わらない。だけど静粛性が高く、レスポンス感も得られるおかげで、CVTのうっとおしさが消え去っている。スポーツライクな楽しさが味わえるのは、ステアリングスイッチで変速できる新採用の7スピードモード。ただし、メインスイッチを押したあと、さらにシフトスイッチを押さないと7速マニュアルモードに入らない。また、マニュアルモードでも自動変速するため、Sレンジと同じ走行フィールになってしまうことが気になった。

モビリオを合わせて、月販1万台を超える人気車種になるのは間違いなさそうだ。

ラゲッジアレンジラゲッジスペース

足回りは、誰が乗ってもわかるくらい、かなり硬めに味付けされていた。もちろん、重い荷物やかさばる道具をたくさん載せることを意識しているとは思うが、それにしてもスポーツ系のコツコツとした乗り心地がはっきり伝わってくる。マイルドな味付けのモビリオに比べれば、左右に連続するコーナーをキビキビと駆け抜け、高速クルージングでも背の高さを感じさせないが、もう少し乗り心地に振ってもよかった気がする。

それでもモビリオのデビュー後、9ケ月の開発期間は、全体的にスパイクを熟成させるのに十分だったようだ。モビリオを上回る仕上がりに加えて、ホンダらしい走る楽しさを身につけ、さらに独創のラゲッジの使い勝手を備えているのだ。スパイクがヒットするのは当然の結果だろう。

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筆者西沢 ひろみ
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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