時速100キロで自動追い越し!2020年にはこれが現実に!?ホンダの自動運転車をテスト

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:和田清志/本田技研工業
時速100キロで自動追い越し!2020年にはこれが現実に!?ホンダの自動運転車をテスト
高速道路を想定した自動運転実験車両 高速道路を想定した自動運転実験車両 高速道路を想定した自動運転実験車両 高速道路を想定した自動運転実験車両 高速道路を想定した自動運転実験車両 高速道路を想定した自動運転実験車両 高速道路を想定した自動運転実験車両 高速道路を想定した自動運転実験車両 一般道路での完全自動運転を想定した実験車両 一般道路での完全自動運転を想定した実験車両 一般道路での完全自動運転を想定した実験車両 画像ギャラリーはこちら

シビックタイプR、クラリティ三兄弟に乗ってから…

本田技研工業 八郷社長ホンダ クラリティ FCV/EV/PHEV

期待いっぱいで、JR宇都宮駅からバスに乗った。朝の通勤渋滞を抜けて1時間弱、本田技術研究所・四輪R&Dセンター(栃木)の正面入口に到着した。

ホンダが定期的にメディア向けとして、ホンダの最新技術を実際に体験する取材会『ホンダミーティング』が行われたのだ。

まずは、本田技研工業の八郷隆弘社長のスピーチでキックオフ。グローバルモデルと地域専用モデルの両立における、車体と部品のグローバル相互補完を説明。技術面では、電動化、HondaSensingなどの先進安全技術、そして自動運転技術の開発について紹介した。

その後、午前中の前半、ホンダ社内で『クラリティ三兄弟』と呼ぶ3車両を比較試乗した。既存の燃料電池車に続き、アメリカで8月発売予定のクラリティEV、そして同じくアメリカで11月発売予定のクラリティPHEV(プラグインハイブリッド)に乗った。

次に午前中の後半は、シビックの外装をした新しいハンドリングや乗り味を体感できる実験車両、そしてシビックタイプRをアクセル全開で楽しんだ。

>>ホンダミーティング2017の様子を写真で見る(画像41枚)

注目の自動運転車の試乗へ

一般道路での完全自動運転を想定した実験車両一般道路での完全自動運転を想定した実験車両

ランチは、本田技術研究所の松本宜之社長と5人掛けの丸テーブルでご一緒し、ホンダが目指すクルマ造り、そしてコト造りの実態について意見交換した。

こうして、ホンダがいまクルマの開発について何を考え、今後どのように動こうをしているかを体験することで、『本日のメイン』に対する筆者自身の身体のウォームアップができた。そして、注目の自動運転車に乗った。

用意されたのは、2台の実験車両だ。1台目は、人工知能(AI)によるディープラーニングを活用した、市街地走行を想定した車両だ。

ホンダのエンジニアが運転席に座り、筆者は同乗して、市街地を想定したテストコース内の移動路を走った。最初は助手席に座り、次にUターンする場所で後席に乗り換えた。

クルマは停止線のない交差点で一時停止し、ハンドルを切り、時速40キロまで加速し、背の高い植木があるコーナーを進む。当然だが、自動運転モード中は、運転席のエンジニアはステアリングを握らず、アクセルもブレーキも踏まずに走行した。クルマにギクシャクした動きはまったく感じられず、筆者は自動運転車に対して安心して身を任せることができた。

同車がハードウェアとして使用しているのは、前方の正面、斜め右側、そして斜め左側それぞれを映す1機づつ、合計3機の単眼カメラのみ。画像処理を行う演算装置は、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を使うが、部品メーカー名称は実験車両であるため非公開だ。

自動車メーカーや自動車部品メーカーでは通常、こうしたAI関連の自動運転の実験車両では、カメラの他に、ミリ波レーダー、レーザーレーダー(通称ライダー)、超音波センサー、GPS、そして高精度な三次元地図など様々なセンターを融合するセンサーフュージョンを行うのが一般的だ。

一方でホンダの場合、カメラによる走行の精度を追求した上で、他のセンサーとの融合を目指し、その結果として、量産する際のセンサーの種類を絞り込むことでコストが低減できるという狙いがあるという。

ホンダは、AIを活用した完全自動運転を、個人が所有するパーソナルカー(別の呼び方では、オーナーカー)ではなく、サービス事業者が利用するサービスカーでの実用化を2025年頃に見込む。

高速周回路のバンクで時速100キロで追い越し

高速道路を想定した自動運転実験車両高速道路を想定した自動運転実験車両

もう1台は、個人が所有するパーソナルカー(オーナーカー)を想定した実験車両。こちらは、現在量産されている先進安全技術のホンダセンシングの発展版というイメージで、2020年前半の実用化を見込む。

国土交通省や、米運輸省による自動運転レベルでは、完全自動運転の領域であるレベル4及びレベル5の手前の、レベル3を想定している。

レベル3で課題となっているのが、セカンドタスクだ。これは、運転者がクルマのシステムに対して『運転交代』を要求して自動運転が始まり、自動運転中に『運転以外のこと』を車内で行うことを指す。具体的には、スマートフォンでのSNS利用、読書、テレビゲーム、食事、そして仮眠などである。

今回の走行ルートは、オーバル形状の高速周回路。運転席に座って、ギアをDレンジに入れて発進。コースの本線に入る前、時速40キロほどで走行中にステアリングスポークにある、自動運転開始ボタンを長押ししてから手を放すと、ダッシュボード内の表示が、『パーシャル・オート』となり、ステアリングスポーク上部が緑色に変わり、自動運転モードに入った。

コース上では、事前の設定速度の時速80キロまで一気に加速。前を走行するミニバンに追いつくと、車線変更をしながら時速100キロまで加速してミニバンを右車線から追い越す。その後、バックストレートの中央で低速走行しているセダンを確認すると、急減速して『トラフィック・ジャム・パイロット(渋滞中自動運転)』となり、前車の速度に合わせて前車を追従し始めた。

この時点で、Skype(スカイプ)によるテレビ電話がかかってきた。センターコンソール中央の大型モニターにホンダの女性社員ふたりが映り、モニター脇のカメラを通じてこちらとの会話を30秒ほど行った。これが前述の『セカンドタスク』の想定だ。

その後、前車が自車の走行レーンから離れると、再び時速80キロまで加速。高速周回路の後半で左車線に車線変更した時点で、ステアリングスポークの上部がオレンジ色が変わり、またシートベルトに振動が加わりドライバーへの注意喚起を行うと同時に、ダッシュボードには赤い大きな表示で、左側の出口に進路変更しますという表示に、ステアリングに両手を添える図形が見える。

このタイミングで、ステアリングを握る、またはアクセルやブレーキを踏むことで自動運転が解除され、手動運転に戻る。ステアリングは、操舵に対する反力を感知するトルクセンサーの他、ステアリングスポークにセンサーがあり、指2本以上で握った際にステアリングを握ったと判断している。

走行後の感想としては、既存のホンダセンシングで培われたキメの細かく、ドライバーに対して優しい予防安全の技術に裏打ちされた自動運転、という好感触だった。

こうした、パーソナルカー(オーナーカー)によるレベル3、さらにはレベル4以上の自動運転の実用化については、内閣府が2019年度末まで行う、戦略的イノベーション創造プログラム(略称SIP)のひとつとして、自動車メーカー各社が共同で参加する自動運転プログラムが主導的な役割を持つ。そのため、ホンダとしてもSIPの実用化ロードマップを準拠する形で高速道路などの自動車専用道路でのレベル3を始めることになるだろう。

[Text:桃田健史]

>>ホンダの先進技術を写真で見る(画像41枚)

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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