「デトロイトモーターショー2015」発表会レポート/九島辰也(2/2)
- 筆者: 九島 辰也
新型NSXは、まずは北米で先行発売
GMはキャデラックがCTS-Vを、シボレーが2つのボルトを発表した。620hpを発揮するCTS-VはE63AMGやBMW M5をも上回る。レンジエクステンダーEVのVOLTはマイチェンで、BOLTはまったくのオールニュー。コンパクトハッチのボディは純粋なEVだが、英語では区別できてもカタカナでは区別できないのが難点だろう。
クライスラー系では発売間近と噂されるジープ レネゲードが目立った。これまでのジープファミリーとは異なるポップな印象がウリの一台だ。
日本勢ではホンダの上級ブランド、アキュラNSXは外せない。いわゆる日本版ホンダNSXの市販モデルで、生産はオハイオ州にあるホンダの工場で行う。まずは北米で先行発売、そして日本上陸となるであろう。本来は逆のような気がしなくもないが。
レクサスは事前情報にもあったが、GSにハイパフォーマンスの“F”が追加された。RC Fと共有するパワートレーンは473psの5リッターV8。IS、NX、そしてRCの登場で少し追いやられた感のあったGSだが、これでまた新たな息吹が吹き込まれた。
インフィニティはQ60コンセプトが発表された。これは次期スカイラインクーペと目される。ただ、デザインはセダンのそれとは一線を画す。というのも、派生モデルとしてのデザインキューは保たれながらもクーペらしいエモーショナルな仕上がりは別モノ。エッジの効いたラインと柔らかい曲面を見事に調和させている。発表によるとほぼ90%が市販車というから期待は膨らむ。
レクサスとインフィニティの違い
ではドイツ勢はどうか?
メルセデスはF015ラグジュアリー・イン・モーションというコンセプトを発表した。これは先だってラスベガスで行われたコンシューマー・エレクトロニクスショーに飾られたもので、外部充電式バッテリーと燃料電池を組み合わせたパワーソースを持つ。まったく新しいコンビネーションが新たな可能性を導き出した。ただ、こいつの目玉はそこではない。それ以上に注目すべきは自律走行。ドライバーが操作することなく、目的地へと走ってくれる。まさにロボットカーである。
市販車ではGLEクーペの発表がなされた。フルモデルチェンジしたMクラスのボディをクーペにしたものだ。言ってしまえば、BMW X6の対抗馬である。また、SUVカテゴリーではアウディがQ7をフルモデルチェンジされたのもニュース。日本では大きすぎるが、このサイズはアメリカではホットな存在となる。
といった今年のデトロイトモーターショーであったが、今回インフィニティのバイスプレジデントをインタビューすることで長年の疑問が解けた。それはレクサスとインフィニティの違い。そこに関しては日本メーカーであっても日本にいるとわからないのが正直なところである。
で、彼によると、レクサスはメルセデスやBMWのポジションのブランドをつくることが目的だったそうだ。なので、この2つのドイツブランドをかなり研究してつくられた。だが、インフィニティはそうではない。発想はニッサンのアッパーブランド。ニッサンユーザーの社会的な地位が上がったり、裕福になったときの受け皿となるためにつくられたという。まぁ、結果ポジションは近くても生い立ちが異なることがわかった。そう考えるとフーガがインフィニティブランドであることがよくわかる。と同時にスカイラインもあちらではインフィニティ。つまり、そのクオリティで仕上がっていることを鑑みると、日本での評価はもっと高くてもいいのでは……と思えなくもない。というか、そろそろ日本でインフィニティブランドを立ち上げてもいいんじゃない!?
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