日本版コンシューマレポート-ホンダ インサイト ユーザー試乗レビュー-(3/6)
- 筆者: 桃田 健史
インサイトのユーザー評価・レビュー/インテリア
話題を絞って話をしたい。「インサイト」のインテリア、その注目点は大きく次の2点だ。
(1)メーター類など、ダッシュボードの見易さ/見づらさの評価
(2)後席の広さの評価
まず(1)についてだが、インサイトのインテリアについては、賛否両論があった。賛成派は、「未来的」「先進的」「かっこいい」「エコカーらしい」など。
対して、否定派は「ゴチャついている」「どれがどれだか、よく分からない」「色がチカチカして見づらい」などだ。
インテリア評価点の詳細を見ると、「メーターの見易さ」が全体で3.8点、「メーターのデザイン」は3.9点(全体)、さらに「スイッチの使い易さ、タッチ感」は3.6点(全体)。ということで、ユーザー側はホンダが意図するデザイン工学・デザイン感性を受け入れることが出来ている。
「インサイト」運転席のイメージは、男性的でスポーティなコックピット型。「プリウス」も、シフトレバーがあるセンターコンソール部分が高くなっているので、コックピット感はある。しかし、センターメーターのため、どこかしらセダンのような中性的な雰囲気がある。
纏めると、「インサイト」のインテリアデザインは「若い男性狙い」に感じる。対する「プリウス」では「中性的な全世代狙い」だ。
本稿の最初に円グラフでご紹介したように、「インサイト」のユーザーは「プリウス」に比べて、「より若い」「通勤通学での毎日の使用が多い」「男性が多い」ことが挙げられる。
こうした「インサイト」ユーザー層は、このインテリア造型を決して「ゴチャゴチャしていて見づらい」とは思わないのだろう。
コーチング、ティーチング、アンビエントメーター、燃費グランプリなど、まさに「グリーンマシン」。「インサイト」導入当初のグリーンマシンという宣伝文句そのままだ。
こうした「マシン」感を許容出来るのは、一般的なイメージでは「(2010年時点での)40代前半まで」だと思う。つまり「インサイト」はインテリアで「ユーザー層の幅」を自らが選んでいる(選んでしまった)のではないだろうか。
次に(2)の「後席の広さの評価」について考える。
今回のデータでは「室内の広さ」は全体で3点。また「乗り降り・運転席」の同3.7点に対し、「乗り降り・後席」は同2.9点。年齢分布で36.7%と最も多い「30代」では、「乗り降り・後席」が2.5点と厳しい評価だ。
「インサイト」の実寸を見ると、後席の横幅は1,260mm(車幅は1,430mm)、ヘッドクリアランス(座った状態で、イスの上面から天井まで)が885mm、イスの(座った状態)長さは485mmだ。前席では、ヘッドクリアランスが930mm、イスの長さが500mm。ということで、後席だけが特別狭いワケではない。
だが、実際に後席に座ると、狭く感じる。それは、ボディのサイド面が後部に向かって大きく絞り込まれているからだ。空力効果の最適化による燃費向上のため、そうしたボディデザインだ、と一般的には言われている。
だが、筆者は「インサイト」発売直後、ホンダ青山社屋で「インサイト」の開発総責任者、関康成氏に個別インタビューした際、「後部座席の秘密」がヒモ解かれた。それは・・・。
関氏「もともと、クーペのイメージなんです、インサイトは。後席はもちろん乗車の設定はしていますが、シートをフラットにしたラゲッジスペースのイメージが強いんです」
さらに関氏はこう続けた。
関氏「4ドアだと、シビックハイブリッドがあります。インサイトとキャラクターが被らないようにするため、インサイトはクーペっぽいんです」
確かに、コンセプトモデルでは後席のドアハンドルがなかった。現在、日産「ジューク」が採用しているような、ドア後部の縦型のドアハンドルのイメージが「インサイト」にもあったはずだ。
「ジューク」も5ドアコンパクトクラスだが、後席は「そこそこ狭く、ラゲッジスペース向き」のクーペイメージが強い。
日本で5ナンバーサイズのボディ、事実上「2+2」のクーペ的なデザイン発想。これが、ユーザー(やディーラー関係者)が「インサイト」の後席に抱く「疑問」の回答である。
(※ 以下グラフ「年代別」の「50代以上」データについては、データ数が少ない上、一部ユーザーが高評価なため極端なデータとなっています)
この記事にコメントする