[試乗]家族のコンパクトミニバン、新型「ホンダ フリード」の使い勝手を徹底的にチェックしてみた(3/3)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:島村英二
新型フリードの走り、なかなかの好感触
さて、装備類は良しとしても、同乗者を乗せるクルマとしては、走行中の乗り心地が気になるところ。今回試乗した1.5リッターの直噴エンジンは131馬力を発生するもので、燃費はJC08モードで19.0km/L。
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いざ動き出してみると、なかなか好感触の走り出し。わずか1000回転程度からスムーズにクルマを前に押し出してくれるし、踏み込めばクォォンという響きでクルマを走らせている実感を与えてくるあたりがホンダらしい。加減速するときは車体の沈み込みが少なく、唐突な揺れを感じにくいから穏やかに構えてドライブできる。それほどレスポンスを意識させるモデルじゃないけれど、そのぶん、急かされないところがいい。
運転席からの見晴らしは、フロントガラスの上方視界が広くとられて、もっと大きなミニバンに乗っているような気分になれるし、車内は狭く感じないのに、狭い場所でも車幅感覚が捉えやすく、街中をスイスイ走れるところも嬉しい。
ミニバンですから・・・フリードのセカンド・サードシートにもしっかり試乗
お次は同乗者の気分を確認するために2列目に試乗。編集部の方に運転してもらい、都内周辺をドライブ。
厚みがあるクッションは、ゆっくり段差を通過すればマイルドな乗り越え感が得られて好感触。でも、その一方でザラつく路面を通過する時はロードノイズが響いてくるところはちょっと気になる。シートの座り心地を含めて、全体としては先代より居心地は良くなっているものの、足下から感じる細かな振動を含めると1列目の方が快適に過ごせそう。
アレンジ優先の3列目は背もたれが低く、大人が座ると上体が支えにくい。横方向に面積が取られているのでゆったりしていますが、シートが車軸の上にあるので、走行中は縦揺れを拾いやすい傾向があります。長時間のドライブは酔いにくい人限定という感じかも。
また、ちょっとした未来感を与えているのが音の演出。半ドアなどで警告を発するときは「ポワン」という音を発したり、右左折時はウインカーの音が「コツッ、コツッ」と聞こえてきたりして、何だか楽しい気分にされてくれます。
ユーザーひとりひとりの利用シーンを考え尽して誕生した新型フリード
大ヒットしたモデルのフルモデルチェンジは実に難しいもの。攻めれば新たな客層を取り込む可能性はあるけれど、万人受けを狙うと退屈になる。トヨタの場合、シエンタが攻めたキャラで冒険できた背景には、幅広い層に向けて「プリウスα」が守りを固めていることも挙げられる。一方のホンダはフリード一車種で勝負をしなければならない。
しかし、ホンダの場合はユーザーのクルマの向き合い方に焦点を当て、ライフスタイルに応じて使い方が異なる「フリード」と「フリード+」を選べるようにクルマ作りを行っていました。メカニズムはコンパクトに設計し、人が使う空間はなるべく広く確保する。フリードを見ると、クルマを使い倒して遊べる乗り物を提案するホンダらしい世界観はしっかりと確立されていることがわかります。ガソリンエンジンだけでなく、ハイブリッドモデルを設定し、更にはパッケージ面で不利になりがちなハイブリッド×4WD仕様まで設定。ユーザーが自分にピッタリの一台が選びやすい配慮も幅広いお客様にこのクルマの魅力を届けたいという思いの現れなのかもしれません。
[レポート:藤島知子/Photo:島村英二]
ホンダ フリード「G Honda SENSING」[FF/ガソリンモデル] 主要諸元
全長x全幅x全高:4265x1695x1710mm/ホイールベース:2740mm/車両重量:1350kg/最小回転半径:5.2m/乗車定員:6名(※7人乗り仕様もあり)/駆動方式:前輪駆動(FF)/エンジン種類:直列4気筒 DOHC 16V ガソリン直噴エンジン/総排気量:1496㏄/最高出力:131ps(96kW)/6600rpm/最大トルク:15.8kgf-m(155N・m)/4600rpm/トランスミッション:CVT(自動無段変速機)/燃料消費率:19.0km/L[JC08モード]/サスペンション形式:(前)マクファーソン式(後)車軸式/タイヤサイズ:185/65R15 88S/メーカー希望小売価格:2,100,000円[消費税込]
※取材・撮影車両はオプション装着モデル
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