ホンダ フィットハイブリッド 試乗レポート(3/4)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:オートックワン編集部
モーターアシストによる余裕の走りと高い静粛性
フィットハイブリッドの走りのキャラクターはどうなのだろう?
1.3リッターエンジンにCVTを搭載したフィットと車重を比べてみると、ハイブリッド仕様は100kg程重い。しかし、それでも10・15モードで「30km/L」という魅力的な燃費を掲げている。
ハイブリッド専用車のインサイトと比較すると、フィットのボディは60kgほど軽いものの、全長が短く、ドアミラー形状などの影響があって空力的に不利だった。
そこで、グリル周りの開口部やライト周りのフォルムの変更、リアのディフューザーを張り出した形状にするといった対策で空気抵抗を改善。
さらにはフリクションの低減と、エンジン始動時のロスを抑えるために「CVTフルードウォーマー」を追加するなど、燃費向上デバイスを追加することで、インサイトと同等の燃費が実現したのだという。
1.3リッターエンジン+モーターから得られる動力性能は、モーターアシストによってトルクが底上げされた感覚で、1.3リッターや1.5リッターエンジンでアクセルペダルを深く踏み込まないといけないようなシチュエーションでも、フィットハイブリッドは軽く踏んだだけでスーッと前に出ていくイメージ。
とくに中間加速にゆとりがあって、一般道から高速合流の加速まで、気持ちに余裕をもって運転することができる。
今回はハイブリッド以外の他のフィットについても、それぞれのキャラクターを生かした方向で改善されており、軽快な吹け上がりをみせる1.3リッターエンジン、ゆったり構えて加速していく大人っぽいフィーリングの1.5X、レスポンスに優れた1.5リッターのRSのフィーリングなど、それぞれ甲乙がつけがたい。
それらを踏まえたうえで、フィットハイブリッドの優れた点を考えてみると、高い静粛性が要求されるキャラクターを踏まえて、専用に吸遮音材を追加しているというのもポイント。
モーターアシストで余裕の走りを見せる分、エンジン回転が抑えられることも手伝って、走行中の静粛性は、他のフィットと比較しても高いレベルにあると思える。
いっぽう、ハイブリッドカー特有のエネルギーインジケーターは、メーター内のディスプレイに表示される程度。減速時にエネルギーを回収する「回生ブレーキ」のフィーリングも自然な感覚で扱えて、一般的なガソリン車とさほど変わらない感覚でドライブできる。
インサイトやプリウスと比べて、フィットハイブリッドはハイブリッド車ならではの演出自体が控えめなので「ハイブリッドカーに乗っているという実感を味わいたい!」という人にとっては、もう少し何らかの演出があってもいいのかもしれない。
15インチのエコタイヤを装着し、13G並に穏やかな乗り心地をみせるキャラクターは、街乗りに適した仕様といえるが、エンジン始動時や走行中にはベーシックなモデルと比べて、前後に揺れるプルプルとした動きをわずかに感じるあたりは、今後、改善の余地がありそうだ。
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